竹を掴む者。
竹取のお話です。
歳月人を待たずと言いまして、人は集中をすると時間の経過を忘れがちですが。むしろ時間に置き去りにされているのが実情ですね。似たような言葉に、光陰矢の如しってありますけど。初めはカッコイ必殺技の名前かと思っておりました。お馬鹿なワタクシは、姉上に教えてもらいました。ぼーっとしてると時間は過ぎちゃうんだよ? って頭を撫でられながら聞いていましたな。しかし、ぼーっとしてて異世界にまで来ちゃうとは、思いもしませんでしたよ。だから今世では目的の為に邁進して一瞬も無駄にしません。
師匠と離れて29日目、双子が旅から戻って1日目。
「今日の分の石英は、これで最後だな」
新しい魔力操作の練習開始から五日が経った。
あれから修練の日々だ。
朝、起きて顔を洗い汚れを清め。
朝食をマザーに感謝を捧げながら食し。
食後、日課の石英錬成に従事。
昼食をダディの狩ってきた獲物で舌鼓を打ち。
食後、昼寝をして英気を養う。
午睡から抜け出せば、また練習を再開。
夕食時には、お手伝いをして徳を積む。
宵の星が見えるまで、家族と談笑し情報を得て。
その後就寝。
これを五日間繰り返した。
そして五日目の朝にふと思った。
『あれ? これって、いつもと同じじゃね?』
だが成果が出てしまったのだ。
「リラックスさぁ~。なんくるないさぁ~」
力むより抜いて自然体になったら魔力が周囲に溶け込みだしたのだ。
いつ気付いたのか? 今でしょ。
石英の錬成で疲れた時に、どうでもいいかと思っていたら出来た。
一つの事に黙々と従事していたら、そう思うよね。
前世でも仕事中に余計な事考えずに仕事した方が調子良かったしな。
「無駄な力が抜けて、自然体になれたのかもな」
そう言えば、テオ少年も黙々と働いていたな。
契機は人それぞれだ。
俺には合っていたんだろう。
切っ掛けは掴んだ。
後は慣れて行けばいい。
「ふふっ。師匠に課題を課せられて約一ヶ月か。どれ、日々の成果を羅列してみるか」
俺は1ヶ月でどれだけ成長出来ただろうか。
今まで手に入れた能力もついでに纏めよう。
1.魔眼で魔力視認。
2.魔力フィールド展開。
3.鉱石の錬成。
4.魔力付与。
5.魔力磁石で魔力量アップ
6.暗視魔法。
7.除菌魔法。
8.光学迷彩魔法。
9.望遠魔法。
10.気配消失。←new
「うむ。最初に言われた事と全然違う!」
あれー? おっかしいな?
四元素の一つも引っかかってない?
いや、鉱石の錬成は土だからOKか?
だが見事に生産系とスカウト系の能力だな。
「クラウスー? 昼食にしましょう」
「はーい!」
魔法鍛冶師や狩人になれそうな能力は置いといて飯だ。
今日のご飯は何ですかー?
「今日のは、すじ肉を細かく切って玉ねぎと炒めた物をスープにしたのよ」
ほほ~ぅ。いい匂いがしますなぁ。
「美味しそう!」
「いい匂いだね」
俺もダディもご満悦だ。
「この前ホーリーさんちに行ったらね? 娘さんが結婚するって聞いたの」
「そうなのかい? それは良かった。あの娘さんは良い子だからね。幸せになって欲しいよ」
大人二人の会話を聞きながら無心で食す。
娘さん? もしかして、この前見たピンク色の魔力のお姉さんか?
器量良しな人だったからな。
旦那さんは幸せだろう。
俺も早く師匠と結婚して幸せにしたい。
「クラウスは、いっぱい食べるわね」
「そうだね。沢山食べて早く大きくなるかもね」
「大きくなったらクラウスも誰かいい人と一緒になるのかしら?」
マザーよ。俺は既にいい人と出会っております。
「あのエルフの女の人かしら?」
なんだ分かってんじゃん。
てか女性だから恋ばなが好きなのか?
「うん! 僕、大きくなったら師匠と一緒になる!」
宣言は大事だ。
周知する事で外堀を埋めるのだ。
昼食、大変美味しゅうございました。
食後自室で休んでいたけど。
何か忘れてるんだよな。
なんだっけ。
「何か思い出さなくてもいいような気がするんだが……」
そう最近、誰かの親族を監視していたような。
まあ言いながら思い出したけどね。
そう、双子だ。
昨日帰って来たと言っていた。
顔くらい見に行かないとな。
竹の事もあるしな。
早速行きますか。
「お母さん。村長さんの所に行ってくるね」
「それならお母さんも一緒に行くわ」
「はーい!」
そしてマザーをエスコートしましたよ。
まあ手を引かれる側ですけどね!
「こんにちは!」
「あっ! クラウスにぃだ!」
げふぅ。いきなりタックルされた。
「……兄さん。ただいま」
アンネ。見てないで助けて。
「こんにちは。そしてお帰りなさい。旅はどうでした?」
「おお。ディアさん。こんにちは。旅は順調でしたよ」
大人も見て見ぬ振りか!
「クラウスにぃ! クラウスにぃ! あのね? あのね? 旅は楽しかったの! 他の村を見てきたのよ? いろいろ見たわ! 竹も見てきたのよ? 凄いの森いっぱいに生えていたわ! それにね? 面白い子とも友達になったのよ?」
カレンの勢いが止まらない。
よりパワーアップしてる気がする。
「……カレン落ち着いて」
漸くアンネが止めに入ったか。
てか気付いたら定位置に居やがる。
いつもの双子サンドイッチだ。
全然嬉しくねー。
この後、無茶苦茶、挟まれた。
双子の話は色々だ。
それこそ男の子と友達になったとか。
その子が騎士の子供とか。
騎士の詰所を見たとか。
森いっぱいの竹を見たとか。
炭小屋を見たとか。
女の子の集団と渡り合ったとか。
……最後のは何をしたんだね? 君達。
「そろそろお暇しますわね」
「僕も帰るー」
マザーいい考えだ。
「そうだ。クラウスに頼まれていた竹を持って来たんだ。見てみるかい?」
「伯父さんありがとう。もちろん見る!」
クラウスは高性能ツールを手に入れた。
そして男二人は小屋へ。
「どうだい? 大きいだろう」
「おっきいい」
中々立派な竹だ。
節も隆起しているが中々の大きさだ。
少し青臭いか。
「これ一本貰って良いの?」
「一本と言わず全部いいよ」
「ありがとう!」
これだけ有れば有効に使えそうだ。
大人ほどの背丈に切られた竹が5本程ある。
明日から竹水筒の制作に入るか。
「一本だけ持っていくね。あとは置いてもらっていい?」
「構わないよ。そんなに場所を取らないしね」
「それじゃあ貰っていきます!」
何から何まですまないねぇ。
その後、村の中を竹を引きずる幼子が居たとか。
高性能ツールになるのか?
主人公次第です。
読んでくれてありがとうございます。
次回も会いましょう。
少し修正しました。




