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鏡に映るその国は。

お待たせしました。

 鏡ってすばらしい。鏡ってふしぎ。鏡っておもしろい。自分を見れるのが、すばらしい。左右逆に映るけど上下逆じゃないとか、ふしぎ。猫が鏡を見て動きが止まるとこなんか、おもしろくてしかたがない。可愛いよ猫、可愛い。エルフの次くらいに猫好き。そんな素敵な鏡を完成させた俺が、喜び勇んでドッドに見せたのだが、動きが止まってしまった。おっさんじゃ可愛げなんてねーよ。



 師匠と離れて22日目、双子が旅に出て7日目の午後。



 「ドッドー! 居る~?」

 勝手知ったる他人の家。

 ドッドに声をかけてみる。


 「おーう! ちょっと待ってな!」

 鍛冶場の奥から声がするね。


 「ようクラウス。よく来たな」

 片手に石を持ったドッドが出てきた。


 「こんにちは! ドッド」

 「おう。今日も元気だな」

 傑作を生み出したからな!


 「その片手に持ってる石は何?」

 「うん? これか。これは研ぎ石だ。ナイフを研ぐ所だったんでな」

 研ぎ石なのね。


 「お仕事中だったんだ。邪魔したかな?」

 「大丈夫だ。急ぎの仕事でもねぇ」

 機嫌は良さそうだな。

 なら良かった。

 仕事を途中で中断されると不機嫌になる人もいるからね。


 「クラウスこそ大事そうに持ってる箱は何だ?」

 「これ? これはねドッドに見せたい物だよ」

 これがどれほどの価値があるのか?

 ダディとマザーに見せる前に一度誰かに見せた方がいい。

 変な心配何てかけたくないからね。

 これがもし高価な品物だった場合。

 親なら心配するはずだ。

 そこで気心の知れているドッドの方がいいだろうと言う判断だ。


 「俺にか。また何か作ったんだな?」

 「うん。一番最初に見せるって言ったからね!」

 そして驚き慣れているだろうからね。


 「それじゃ早速見せてもらおうか」

 ドッドは身構えた!

 ドッドの防御力が上がった?


 「はいどうぞ」

 どうぞどうぞ。

 そして箱をオープン!

 プライスもオープン?


 「どれ今度は何が出る…の…やら……」

 そして時は止まった。

 ドッドは止まった。

 いや、ドッドだけが止まった。


 猫が鏡を見て一瞬止まるのは分かるが、おっさんが止まってもな。

 あっ手が動いた。

 鏡の前で手を動かしてるよ。

 今度は顔を鏡の前から外したか。

 裏を見て? また前から見て。

 一体このおっさんは何がしたいんだ? 猫の様だ。


 「ドッド?」

 返事がない。

 ただのドワーフの様だ。


 「…なんだこりゃ……」

 だめだこりゃ。


 「何って、鏡?」

 「これがか!? こんな…こんなに綺麗に映る鏡なんて見たことねぇぞ!!!」

 だから声がでかいんだよ!

 まあ予感がしたから耳は塞いだけどな!


 「ドッド! 声を抑えて!」

 できれば気持ちも抑えて!


 「こんな……これじゃあ俺達が磨いて作りだした鏡が……」

 あっ。師匠みたいにフリーズしだした。

 何か声が洩れてるよ。

 磨きにかけた時間が、とか。

 鏡とは何だったのか、とか。

 見事なカルチャーショック? を起こされたもよう。

 しばらくお待ち下さい。



 それから約10分後。



 「すまねぇ。取り乱しちまった」

 「いいよ。慣れたから」

 現代科学とか異文化極まるからね。

 知らない人は、そうなるよ。

 うん。


 「これをクラウスが、か……」

 未だ、矯めつ眇めつ鏡を眺めてますな。


 「まだ誰にも見せてねぇんだよな」

 「約束だからね」

 このクラウス余程の事が無ければ約束を違えたりはせぬ。


 「それならいい。コイツは誰にも見せちゃならねぇ」

 「なんで?」

 何か問題でも?


 「こんな綺麗に映る鏡なんて、『普通は』ありえねぇんだよ。もしだ。もしも、この存在が帝国貴族にもで知れれば必ず厄介なことになる断言できる」

 「そうなの?」

 「ああ。必ずお前を召し抱える貴族が出て来るだろう」

 ふむ。


 「そうなると、お前の自由は無くなる。良くて飼い殺し。悪けりゃ幽閉だ」

 「そんなのおかしいよ?」

 ありえへん。マジありえへん。

 喋りがおかしゅうなるくらいに、ありえへん。


 「理不尽に聞こえるかもしれねぇが、貴族って生き物はそうなんだよ。自分の利益を守る為なら何でもする。昔、貨幣を偽造しようとした奴が居たんだがな? そいつの親類縁者に至るまで皆殺しにあったんだよ。殺されないだけマシに聞こえるが、どうせ同じだ」

 貨幣偽造で皆殺しっすか!

 おお怖い怖い。


 「それじゃ鏡は、もう作れないの?」

 「そうだな……方法は…ある」

 希望はある?


 「どんな方法?」

 「簡単だ。前と同じに俺達ドワーフが後ろ盾になりゃいい。俺達は貨幣を作る事を帝国から委任されている。信頼があるから、おいそれとちょっかいが出せねぇ。これは帝国の公爵でも手が出せねぇくらいだ。いくら皇帝の親類縁者だろうと俺達には手が出せねぇ。なんせ初代皇帝から続く勅命だからな」

 「そうなの?」

 初代皇帝からの命令ですか。


 「ああ。帝国では、初代皇帝は神に等しい存在だとかで、その頃に決められた事は今も有効なんだとよ」

 「ふ~ん」

 神格化して神の代わりか。

 だから宗教らしい宗教が無いのか?

 神格化される程の人ってどんなだろ。


 「初代皇帝ってどんな人だったんだろ」

 「クラウス知りてぇのか?」

 今の内に知ってて損は無いな。


 「うん。ドッド教えて」

 「分かった。教えてやるよ。まず帝国の名前からか――」


 その後、教えてもらった事は帝国の名前と、どうやって出来たかだった。

 帝国の名はロアーバ神聖帝国と言い。

 初代皇帝陛下の名前は、ラインハルト・フォン・ロアーバ。

 格好良さそうな名前だな!



 今から、およそ600年前に四つの国があった。四つの国は啀み合い。争い合い。奪い合い。民草を顧みない泥沼の戦争だった。その戦争当時に一人の男が立ったそうだ。彼は虐げられた者達を救うべく。四つの国の中心に帝国の設立を宣言したらしい。これを聞いた四つの国の王達は、当初侮ってたみたいだ。だけど血気盛んで武に秀でていた西と東の王達が、皇帝何するものぞと挑んだ結果。見事! 軍を崩壊させられて、西と東の国は渋々ながらも帰順の意を見せて皇帝の下に治められたとか。北と南の国は戦々恐々と震え上がった末に、戦わずして帝国に治められたとか。その後、皇帝の下で四つの国の名は消され。民に新しい国を授けたとかなんとか。



 4対1で勝つとかどんだけだよ。

 そりゃ神格化もされるだろ。


 「初代皇帝は凄いんだね!」

 「そうだな。伝え聞く所だと中々な人格者で、若い頃は苦労していたとか言ってたかな」

 なぜ知っているのだ? ドッド。


 「ドッドはそんなことまで知っているの?」

 「大親方からの受け売りだ。大親方が若い頃に少し知り合ったらしい」

 なるほどね。


 「どれ、この話はここまでにするか」

 「だね。」

 そんな凄い初代様の勅命なら大丈夫かな。


 「それじゃあ。鏡の作り方とか色々ドッドに任せてもいい?」

 「ああ。任せとけ。この分も後で見返りはやる」

 どんどん貸しばかり作ってそうで申し訳ないな。


 「ドッドありがとう!」

 「クラウスの頼みだ。どってことねぇよ!」

 感謝は表さないとね!





 そして男同士の握手を交わした。

読んで下さる方々お待たせしてすみませんでした。

見直してから投稿しようかと思っていたら。

ネットワーク不通とか……。


予約にしとけば良かったです。


それでは明日も会いましょう。

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