遠くに見える貴方は誰?
思いつくままに動く主人公ですが、時に本道に戻るので暖かく見守ってください。
風呂と言う野望を手に入れた私には新たな使命が生まれた。その使命は一片の曇りもない。まさに明鏡止水である。明鏡止水とは、邪でなく、澄み切って落ち着いた心の在り方だ。今の心境に一致している。師匠の御身を映す様に澄み切っている。だが心に映すだけでは飽き足らない。だから俺は師匠を映す為の鏡を作ろうと思う。鏡に映して鏡プレイ……いや違った。師匠の身嗜みの為に作ろうと思ったのだ。だが作成第一号はマザーに贈ろう母親だしな。マザーが美女であるのは何時もの事だ。だが不十分な鏡では十分にその美貌も映しきれまい。故に真の鏡を作るのだ。
今日は、師匠と離れて21日目、双子が旅に出て6日目だな。
昨日はあの後、妄想が止まらず難儀した。
「今日は、この鉱石から目的の物を抽出可能かどうかの実験だ」
俺の予想通りなら出来る。
この白い鉱石。
これって『石英』だよな。
所々に澄んだ結晶も付いているけど白い鉱石だ。
綺麗だから置物に出来そうだ。
交易品として使われているのかな。
たしか石英は二酸化ケイ素(SiO2)の結晶だったな。
これの覚え方は、簡単だった。
塩に似ている石英だ。
しSi おO に2 だ。
実際、塩の結晶に似ているのだよ。
この石英で鏡を作るのだ。
「何故だか、この世界の鏡って銅板を磨いただけの銅鏡なんだよな」
ドワーフは作らなかったのかな?
戦う事が最初の習い事で、鍛冶が好きなんだよな。
戦う事に必要でないから作る気が起きなかったとか?
でも、ドッドを見てると別にバトルジャンキーには見えないよな。
単純に身嗜みに頓着しないから作らなかったのかもしれないな。
物事とは複雑に見えて、その実単純だ。
「単純に構造が解らなかったってのもあるか」
俺は、構造を知っている。
前世で姉上が、姿見が欲しいと言っていたので、いくらくらいするのか調べたのだ。
ネットで調べて、あらびっくり5万円もする物から3千円のお手軽品まであったんだよ。
何がそんなに高いのか、理由が知りたくて色々調べたんだよな。
ガラスの厚みが違ったり、大きさ次第で値段が跳ね上がるんだよ。
次に構造を調べたら、銅、銀、塗料膜等を鏡の裏側に蒸着されて出来ているのだ。
ちなみに鏡を買うなら厚さに注意な! 薄いと像が歪むらしい。
「鏡の構造がガラス、銅メッキ膜、銀メッキ膜、塗料膜で出来ているなら、それを魔力操作でメッキの様に薄く、銅や銀を貼る事が出来るはずだ」
理論上は、これで作れるハズだ。
まずはガラス部分が出来るかどうかだな。
石英の混じった鉱石から石英を抽出しよう。
「魔眼発動! アーンド魔力フィールド展開」
まずは魔力フィールドで、鉱石中の石英を把握だ。
うむ。やはり二酸化ケイ素だな。
頭の中に描いた物を魔力が判別している。
やっぱり楽だね。
頭の中に描いた物と合致していると反応する。
そうでないなら反応しないのだ。
「あとは石英を他の鉱石の様に形を変えて~」
む? 少し難しいな。
初めての物は、やっぱり形を変えにくいね。
少し時間と根気のいる作業になりそうだ。
約1時間後。
「な…なんとか手の平大に…形成完了」
あー疲れた。
初めての物は魔力を通し難いね。
土を掘るとかだと、移動させるだけだから楽だけど。
組成式に干渉して、形を変えるのは時間かかるね。
「まあ慣れれば、もっと楽に形を変えられそうだけどね…」
さて、綺麗に結晶化できましたな。
なんだか、これだけ見ると透き通った宝石の様にも見えるな。
形は三角柱にしてしまった。
形を変えるのが楽しくて、やり過ぎた。
平らな板にするはずが、何故か三角柱だ。
「日本人の物作りの魂の成せる技よ。異世界の匠に神が降りたのだ…」
てか絶賛、俺の体に居候中じゃないですか。
神様が。
この神の石を見たからだ。
三角柱になってしてしまったのは!
同じ三角形だからイケナイのだよ。
忌々しい。
「だけど綺麗だから良いか」
まるでプリズムみたいだな。
陽の光に当ててみるか。
「おお。綺麗だ。光の三原色ですな」
床に光で綺麗な色彩が描かれている。
光がプリズムによって分けられたんだな。
摩訶不思議なり。
「うん? 光を分ける? ……あっ」
ほぅ。ほほぅ。ほっほーぅ。
あっ別にフクロウじゃないよ?
良い事を思いついたのですよ。
「プリズムが光を分ける物なら。光を集める物があるじゃないか」
現代人に無くてはならない物ですよ?
これが無ければ話にならない。
何だか分かるかな?
そう、レンズですよ。
なぜ、レンズが無くてはならないのか?
色々な所で使われています。
携帯やスマフォで写真を取る時に何を使ってますか?
そうレンズです。
パソコンでハードディスクから情報のやり取りしているの何ですか?
そうレンズです。
望遠鏡に使われているのは?
レンズですよね?
今や人の生活の中で手放せ無い携帯に、レンズが使用されているのは否定できない事実です。
携帯の販売台数分レンズが有る。
これは凄い事ですよ?
「その叡智の結晶とも言えるレンズを異世界に誕生させましょう」
レンズ、レンズ言いすぎてゲシュタルト崩壊起こしそうだ。
その後、休憩を挟んで約30分後。
「ふははははっ。レンズの完成だ」
作るのに苦労したぜ。
陽の光を利用して、太陽光の焦点を集められるように凹凸レンズの形を作り出したんだよ。
「これでレンズの一応の構造が理解出来た」
計算式だのなんだの言うより実物作れば一発よ。
さて、まだ魔力は余裕があるな。
「まさか鏡作りで、新しい魔法が完成するとはな」
さあ、いざ往かん、我らの戦場へ。
「まずは窓の側へ」
そして、外を見ます。
遠くに人影が見えますね。
でも、ここからじゃはっきりと見えませんね。
そこで魔力操作です。
レンズの構造を頭に思い浮かべます。
その構造通りに魔力で空気や光を歪めます。
すると、あら不思議。
「遠くにいる。マイ・マザーが見えます」
今朝は用事があるとかでヴェラさんの所に行ってたんだよな。
俺が自室で工作に没頭してても大丈夫だった理由です。
お昼の準備の為に戻って来たんだね。
「戻って来る前に石英ガラスの板にしてしまおう」
レンズとプリズムを一つにして~。
綺麗な平面の板状に形成。
歪みねぇな。
完成だ。
「石英ガラスを作れたのはいいけれど…」
今日は魔力の使い過ぎで疲れた。
鏡の完成は明日かな。
その後、家に戻ったマザーとダディと一緒に昼食を食べた。
マザーは布に刺繍を縫い。
それを物納して来たみたいだ。
針仕事とは、お疲れ様です。
待っててくださいね!
その内お風呂を作ってみせますから!
疲れも取れるハズです。
主人公は幼いんで(身体が)あまり無理出来ません。
徐々にトンデモナイ事をやらかすかも?
次回をお待ち下さい。




