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ドッドと僕の楽しい科学実験その1。

 人を驚かせるって楽しいですよね? 人の驚愕した顔を見れるとなんだか自分が誇らしく思えます。世界記録を出した時やプロジェクトの成功を勝ち得た時に周りの人や上司を驚かせると人は満足感と共に優越感も味わうものです。でもね? 驚かされる側に回ると途端に自分が小さく見えるのは何ででしょうか?




 「ドッド…。声が大きいよ」

 耳がキーンってなったぞ。


 「す、すまねぇ。いや、なに、あれだ。驚きすぎて我を忘れちまったんだ」

 こっちが驚いたわ! 忘れすぎだろ。


 「それでクラウス。こいつぁどーゆうことだ? なんで鉄の棒が動いてんだ? どんな仕掛けなんだ? あれか? 実はこっそり魔力で動かしたとかか?」

 一気に捲し立てるんじゃないよ!

 それに魔力操作で動かして驚かすだなんて小さい事はしないよ。


 「今から説明するから落ち着いてよ。ドッド」

 「おう、すまねぇな。年甲斐もなく胸が高鳴っちまってな」

 笑って誤魔化すな。


 「最初はね。くっつけて遊んでいたんだ。次に水の上に葉っぱを浮かべて、その上に置いて石で動かして遊んでいたんだ」

 「ほぅ。なるほどな。面白い遊びを考えるもんだな」

 それほどでもない。あちらの世界じゃ児戯に等しい。

 まあこれが子供らしい発想って事で納得するだろ。


 「遊び終わって片付けようとしたらね。ずーっと同じ方向だけ向いてるのに気づいたんだ」

 「同じ方向だけだと?」

 「うん。棒の端と端が北と南を指していたんだ」

 さあこれで気づくか?


 「ん? クラウス。そいつは本当なんだろうな?」

 「本当だよ?」

 気付いてくれたか?


 「方角が分かるだと? てことは何か? 山や森で迷っても、広い草原でも。絶えず方角を確認できるって事か? おいおいおい。こりゃすげぇことじゃねーか! なぁクラウス!」

 流石ドワーフだ物を見る目がある。方位磁石の有用性に早くも気付いたか。


 「これがあったら奴も何日も迷わずすんだのかもしれねぇな」

 遠くを見るような目だな。誰の事だ?



 「誰か困った人がいたの?」

 「ああ。俺がここに来る前の話だ。人族の商人なんだがな? 荷馬車と共に別の町に向かった時だったかな、獣の群れに襲われちまって、荷を捨てて逃げたんだと。そしたら逃げるのに必死で、自分が何処に居るかも分からなくなっちまったんだ。そのまま三日三晩彷徨って漸く近くの村に辿り着けたんだとさ。実はその村は近くにあったんだけど、商人は分からなくて森の中で同じとこをぐるぐると回っていたらしいんだ。これがありゃ迷わずに済んだかもしれねぇな」

 なんともまあ悲惨な事で、森で方角を見失うなど死活問題ですよ。



 「助かってよかったね」

 「まあな。だが荷が全部駄目になってたんで、今じゃ別の商人の下に付いているんだとさ。ケチらず何でも屋を頼れば良かったんだよ。」

 何でも屋? 万事屋やですか?


 「何でも屋?」

 「クラウスは知らねぇか。まだ小さいもんな。何でも屋ってのは色々と危険な事や汚い事を請け負ってくれる集団の事なんだよ。町々で程度の差はあるが、職にあぶれたゴロツキみたいのから、その仕事に誇りを持ってる奴まで様々だ」

 「へぇ~。」

 何でも屋集団ねぇ。覚えておきましょ。



 「おっと、話が逸れちまったな。そんでこの方向の分かる棒なんだがどうやって作るんだ? 見当が付いてんだろ?」

 知りたいよな。だけどコレは、簡単に作れる物なんだよ。

 まさか磁石と鉄を擦り合わせるだけで、出来るなんて思わないよな。

 ドッドが待ち望んでいるし教えましょうか。


 「これはね? この石と鉄を擦り合わせると簡単にできるんだ」

 ふふふっ。思いも寄らない作り方だろ?


 「そんなに簡単に作れる物なのか?」

 そうなんです。簡単でしょ?


 「だが、水に浮かべていちいち使うのは面倒だな」

 ならば知恵を披露するかね。


 「この平べったい鉄の棒をね。真ん中あたりをへこませて、先の尖った棒の上に置けばいいよ」

 そうすれば水いらずですよ。エコだね。


 「おお! そうか、そうすりゃ水もいらないし簡単に使えるな!」

 お分かりいただけたようだ。

 後は試行錯誤して使いやすくするだろ。


 「どれ、さっそく作ってみるか!」

 物作り魂に火を付けた?


 「できたぜ!」

 はや! 1分もかからず作ったよ。

 まあ? へこませるだけだしな。

 先の尖った棒も既にあったみたいだ。


 「どうだ。クラウスの言った通りにできてるだろ?」

 クライアントの要望通りに作成完了ですね。

 見事、我らは方位磁石をこの世に誕生させたのでした。



 「うん。しっかり北と南を指してるね」

 「すげぇな。これが有れば何処に居ても方角が分かる。コイツは大発見だ!」

 ドッドが今まで見たことないくらい大興奮しているな。

 ただのクズ石と鉄の切れっ端で世紀の大発見だもんな!


 「これを手の上に乗るくらいの大きさにできればいいのにね」

 小型化は日本人の癖ですね。


 「ほほぅ。小さくして持ち運びやすくするってことか。中々考えるじゃねぇーか。そうだな小さい箱に入れて使うのもいいな。」

 要望を言えば作ってくれそうだな。



 「それとね? この石なんだけど。他にも面白い事が分かったんだよ!」

 そう、こちらがメインなのですよ!

 これまでは前座です。


 「なんだ? 他にも何かあるのか? これ以上の物があるってのか!?」

 ほっほっほ。人の驚く様子は楽しいですな!


 「この手の中にある石が、僕を宙に浮かせてくれるんだ」

 「は?」




 驚き過ぎてドッドが止まってしまった。

なんとか消えた部分を再現しました。


でも少し違うんですよね。

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