君子危うきに特攻す。
お待たせしました。
昨日は、思いもよらない過去を垣間見た。邪神の眷族が実は生き残っていて、そいつらに人が喰われていたなんて。エルフに退治されたから良かったけど。一つ間違えば、この村も被害を受けていたかもしれないな。でも師匠から教えてもらったのと少し違うね? まあ人の立ち位置次第で情報の色が変わるのは仕方ないのかな。それより竹ですよ竹。これをどうにかしなければ今の重要な問題はこれだな。
「やっぱり正直に話してみるか。まずはドッドに知恵を借りよう」
朝も早くからベットの上で考える事がこれか。
できれば師匠との情事を夢想していたいよ。
だが、これも二人の将来の為だ。
村の窮地を救えば村人に感謝され。
なれば師匠のお褒めの言葉も賜われよう。
そして師匠が居なくなって十日目の朝を迎えた。
「早いものだ。だけど師匠と会えない日々は少し切ないね」
あの見事なナイスバディを拝めないなんて。
お預けですか? くぅう~。
今度来たら絶対抱きついてやる!
そして添い寝して? 一緒に朝を迎えるんだ!
そりゃもう人には見せられないよってな事をするんだ。
師匠の笑顔、師匠のいい匂いのする髪、師匠の麗しきつやつや唇、白い肌に張り付く上着。
嫋かな肢体、その割にデカイ特大のお乳、あれは極上の乳なり。
触れる事さえ咎められそうな白き肌を俺の手で縦横無尽に撫で擦り。
そして恥ずかしげに、だけど受け入れてくれる師匠。
彼女の肩を抱き、引き寄せ、唇を奪い。
そして愛を囁くのだ…。
――妄想が激しくなりました。暫くお待ち下さい――
「ふう。シャドーはここまでにするか。やはり実戦で技を磨かなければ…」
まだだ。まだ実戦投入するのは早いか…。
成長が待ち望まれる今日この頃です。
「それはさておき。ドッドの家に行くか」
妄想が爆発しちゃった。
「お母さん。お出かけしてくるね。」
自室からするりと抜け出しマザーに声をかける。
「いってらっしゃい。危ないことはしないようにね?」
昨日の話で心配性が伝染ったのかな? 伝染るんです?
「はーい。危ない人や場所には近づきません」
そうさ。まだ危険には近づくまい。
まだ力を貯めねば。
でも気合を溜めすぎて攻撃する前に終わったなんてないようにしないとな!
昨日の話が嘘のように、今日も平和な村を歩いて行く。
「おや? あれが村長の乗る馬車かな?」
途中で馬車を見つけましたよ。
アレで東の開拓村まで向かうのかね? どれ別れのお見送りでもしますかね。
「おや? クラウスじゃないか。どうしたんだい?」
村長のご登場だ。
「おはようございます!」
「うん。おはよう」
隙のない。いい面構えじゃないですか。
流石この村のイケメントップツーだ。
もう一人は誰だって? 俺のダディだよ。
「今日はドッドさんちに行く日なんだ」
「そうか。ドッドさんは色々と面倒見いいもんな」
そうなんです。顔は厳いけど。
「伯父さんは出かけるんでしょ?」
「そうか。トリスに聞いたんだね。伯父さんは知り合いの助けになるよう。少し行かなきゃいけないんだ」
イケメンは生き方までイケメンなのか?
中々真似できないぜ。
「頑張ってね!」
「ああ。できるだけやってみるさ。そう言えばクラウスは竹が欲しいんだったかな?」
覚えておいででしたか。
「うん。竹を使えないか考えているんだ。ドッドさんにも竹を何かに使えないか聞いてみるね」
「クラウスは良い子だね。トリスのように立派な大人になるんだよ?」
意外と村長の手はゴツかった。
「「お父さん。準備出来たよ」」
あれ? なぜに双子が出てくるか?
「あっ! クラウスにぃだ! どうしたの? 一緒に行くの? そうなの? 一緒に行こう」
おいおい待て待て、暴走するなカレン!
止めてくれアンネ!
「…カレン。兄さんはうちの子じゃないから一緒には行かないよ。…残念だけど」
アンネよ。お前もか。
なにその獲物を前にして手が出せなくて残念みたいな顔!
流石は双子だ。
そんな事で同調しなくてもイインダヨー?
「えぇ~。一緒に行きたいぃー。ねぇ? 行こう?」
すんげぇ掴んできた。
これでもかって掴んできやがりました。
甘えても駄目だ。
俺はこの村で師匠を待つという重要な任務があるんです!
「…行く?」
んなぁにぃ期待を込めた眼差しを向けますかね? この子は!
やっぱ双子に掴まれた!
アンネ! 痛い。君の握力が俺には痛い!
どうせなら愛が痛いと言ってみたいけど、痛いのは俺の心じゃなくて腕でした!
「ぷっふふふっあははっくっくっくっ…」
こらそこの双子の保護者! 笑ってんじゃねーよ。
双子を責任もって保護しなさい!
そして俺の人権も保護してぇえええ。
「二人共…痛いよ。腕が痛いから落ち着いて」
頼む。まだ回復呪文? も使えないんだ。
いきなりヒットポイントを減らさないで下さい。
「ふっ二人共、くっくっくっ。はっ離してあげなさい。」
腹抱えながら笑ってんじゃねーよ。
どこが抱腹絶倒の喜劇に見えるんだよ。
俺には悲劇だ。
やっぱ前言は撤回したい。
どこが頼れる村長だ!
「ほーら。二人共。初めての旅なんだから遊びじゃないのよ?」
おお。救いの神が現る。
名をヴェラと言う。…てか双子の母親やん。
「「はい。お母さん」」
すげぇ。なにこの統率力。
一瞬にして俺を開放して村長の脇に並んだよ。
どこの軍隊? これなら村長不在でも大丈夫かもしれないな。
「ふう。面白かった…」
おい? 村長おい? 今面白いって言ったろ!
くそっ。この人も肝の太い人か!
「あなたも。遊びじゃないんでしょ? いくら甥っ子が可愛いからって二人をけしかけないの」
ヴェラさんいい人や。胸は控えめだけど。
「分かったよ。二人の事は任せなさい。その代わり村の事を頼む。」
漸くまともな大人の顔になったか。
さっき笑ってた顔は、まんま悪ガキの顔だったぞ。
「「お父さんの事は任せて」」
双子に面倒見られる方かよ…。
「うん。皆気を付けて行っておいで!」
これじゃどっちが上に立つ人やら。
母は逞しいですね。
「「行ってきます」」
双子が馬車に乗り込んだよ。
「「行ってくるね?」」
双子が揃って挨拶してきたよ。
「行ってらっしゃい」
できれば俺以外の興味対象でも探して来てください。
そうなれば少しは俺の心が休まる。
そして慌ただしくも賑やかに、姦しく、村長一行は旅に出たのでした。
アディオス! アミーゴ!
「そう言えば、双子はなんで付いて行ったの?」
教えてヴェラさん。
「ああ。二人共やかましいからね。旦那の監視も兼ねて連れて行かせたのさ」
ああ~。なるほど。監視ね…。
「それに今の時期なら旅に出しても安全なんだよ」
「そうなの?」
その心は?
「丁度今の時期ならエルフが動いてくれるのさ。狩りのついでに危ない獣も狩ってくれるんだよ」
なるほどエルフの見回りの時期なのか。
昨日の話通りに邪神の眷族が居ないか見て廻るのね。
「なら安心かな? みんな無事が一番だよね」
悲劇はさっきの俺で十分さ。
「ふむ。クラウスは出来た子だよ。あの悪ガキ兄弟の血が入っているとは思えないね」
ダディよ? あなたの謎が一つ増えましたよ? 何したの。
「安心しな。悪ガキなのはウチの旦那とその上の兄だよ。トリスは別さ」
なーんだ。一安心だよ。
「トリスに似て立派な男前になるんだよ?」
ラジャー。あんな大人にはなるまい。
「僕もお父さんのようになりたい!」
「うんうん。それが良いよ」
なんだか頭撫でられるの慣れてきたよ。
そして赤毛の似合う美人の肝っ玉母さんと別れを告げた。
今日のメインであるドッドの家に向かうのだ。
意外な所で時間をくったぜ。
「こんにちは! ドッド居るー?」
「おぉ? クラウスかー? ちょっと待ってな! 今行く」
奥から髭もじゃのドワーフが顔を出してきた。
「今日はどうした? この前のヤツで何か出来たのか?」
やはり気になりますか。ではお見せしましょう。
「うん。ドッドにもらったお土産で面白いの出来たんだ」
へへへっ。例のブツができやしたぜ! 旦那ぁ!
それがこれだ!
「はい。これだよ」
「おぉ? こりゃあ鉄の切れっ端とクズ石だな。何か違うのか?」
うんうん。見ただけじゃ解らないよね。
「この鉄の棒があるでしょ?」
「おう」
「それをね? 桶に水を入れて葉っぱを浮かべて使うんだ」
葉っぱを使って創世記ならぬ新世紀へと導こうじゃないの。
「へぇ~水に浮かべた葉っぱねぇ」
ドッドは構えている。
様子を伺っているようだ。
「おし! 見せてもらおうか。桶と水は入口にある好きに使え」
そして準備を完了した。
「じゃあ始めるね?」
少し緊張しますね! なんだかプレゼンテーションしてるようだよ。
そして見守る中で葉っぱの上に設置です。
ドッドに見えるように退くか。
「うん? ん? んん? …こいつぁ。おい! クラウスどういうことだ!」
やけにデカいドワーフの銅鑼声が轟いた。
ちょっとね失敗がありまして、投稿が遅れました。
テキストをね保存しようとしたんですよ。
いつものように華麗に保存ボタンをクリックしたハズなんですよ。
そしたら…いいえを押して消しちゃったんです。
一気に3万文字以上を消し去ったんです。
最初何が起こったか解らなかったんですけどね。
気づいた時には全て手遅れでした。
あるんですね。こういうこと。
いや、昨日一日掛けた物が綺麗さっぱり消えると
人間どうしたらいいかわからなくなるもんなんですね。
2時間ほどフリーズした後で1時間で1話書き上げました。
サブタイトルは私です。自虐を込めました。
本当なら一気に4話更新して驚かせようとしたんですが裏目にでました。
なぜ一つに纏めてたんだ。
それだけが悔やまれる。




