愛の涙ひとしずく。
GW突発企画連続投稿をしてみます。
寝不足。それは頭と身体を夜に酷使する事により起こる生理現象。徹夜で受験勉強。深夜のアルバイト。徹夜で麻雀。徹夜で夜遊び。様々な理由は数あれど疑問が膨らんで眠れなくなる事程間抜けなことはない。まあ俺の事なのだけれど。昨日の夕方に起きた現象が俺の中の疑問を膨らませたのだ。呪文の必要なくね? と思う疑問だった。
「くぁあ~ああぁっと。眠い…」
昨夜は試行錯誤のし過ぎで寝るのが遅くなった。
やはり成長期の夜更しは駄目だな…。
だが疑問を疑問のままにしてはおけない。
俺は昨日の夕方頃に家の庭で魔法の訓練に勤しんでいた。
何の変哲もない土の魔力操作、だった。
おかしなことにあの時夕日を遮っていたのは俺の周りだけだった事だ。
陽の光を遮る壁が出るなら分かる。
だが何故俺の周りごと遮ったのか?
更に紫外線、可視光線、赤外線、この三つ全てを遮ったのかも疑問のタネだ。
その疑問を解くべく自室に篭もり色々試して見たのだが…。
まず遮る事が出来るなら生み出す事もできるのか? と思うだろう。
まあ結果は生み出せませんでした。
そもそも光の性質を理解できていない俺が生み出せるわけがない。
次に紫外線、可視光線、赤外線だ。
魔力だけでこれらに作用出来るか試して見たのだが。
紫外線、これは陽の光が無かったので検証不能。
可視光線、これも光の無い状態では見えるか見えないかが検証できなかった。
そして最後の赤外線、こいつだけは意外な事に検証できたのだ。
と言ってもただの赤外線じゃない。
熱赤外線だ。
物体が放つ熱を感知して暗闇でも見えるかどうか試したのだが。
なんと見えてしまったのだ。
瓢箪から駒な状態だった。
最初は薄ぼんやりと物の形が分かるかな? くらいだった。
そこで前世の知識と言うか文明の利器を思い出した。
有名な映画にも出ていた技術だ。
宇宙の狩人、最強の捕食者の奴の視界だ。
サーモグラフの様な視界にできないかと試したのだ。
結果としては満足のいく出来だったのだが。
今度は明暗がはっきりし過ぎて目がチカチカしたのだ。
これじゃない感が出たのでこの方法は、お蔵入りと相成った。
ならばと次に試したのが…。
「クラウス? どうしたの? まだ眠いのかしら?」
どうやら朝食の最中に惚けていたようだ。
「うん。少し…眠い…かも?」
駄目だ。どうにも頭がはっきりしない。
この時ばかりは子供の体が恨めしい。
少しの睡眠不足がここまで堪えるとは。
色々と頭の中が取っ散らかっている。
散らかると言えば部屋の中も散らかってたな。
魔力を注いだ磁石が部屋の中に散らばっていたな。
せっかくドッドに見せて驚かせようとせっせと魔力を注いだ磁石が…。
いかん、遺憾。少し意識が遠のいた。
どうやら重症な寝不足のようだ。
ちょうどいい寝不足な人間の魔力の色は何色だろうか?
自室で休む前に魔眼で見てみよう。
「お母さん。ごちそうさまです。眠いからお部屋で寝てるね?」
マザーのご尊顔も眠気でしっかりと見れない。
「そうね。寝ぼけたまま外に出て怪我してもいけないし。そうしましょう」
マザーの労わるような優しい手付きのナデナデは眠気を加速させれうぅ。
このままでは部屋に辿り着く前に寝れる。
「おやすみなさー…い。」
そして部屋に睡眠を取りに戻ったのだが…。
「なんだこの部屋…」
部屋に着いて魔眼を発動してみれば部屋の中が歪んで見えるのだ。
蜃気楼を見ているような気分だ。
部屋に何かが充満している。
ちなみに睡眠不足の魔力は薄いブルーだった。
「なんなんだー…昨日からこっち色々起きすぎだろ」
俺が何をしたと言うのだ。
まあ半分自業自得ですけど? だけどここまで摩訶不思議な現象が続くといよいよ俺の頭も処理しきれなくなってくるのだが思うに神は俺に試練を与えすぎな気がするんだこれを苦難と言わず何を苦難と呼ぶのか俺の前で誰か証明してくれないと匙を投げる3秒前な俺を誰も責められはしないだろう。
故に俺はもう寝る。おやすみ。
そしてベットに身を投げ出して午睡を取るのだった。
昼前だけどな!
ここで記録が終わった。
――――………・………――――
「う゛んっんーふう。良く寝た」
大分眠気が取れたようだ。やはり子供の内は早寝早起きをできるだけ守ろう。
さて頭がスッキリした所で諸問題を確認してみるか。
1.魔法発動と魔力操作での事象干渉はどう違うのか。
2.紫外線、可視光線、赤外線の魔法への流用は可能か。
3.魔眼で見たこの部屋の蜃気楼具合は何なのか。
まず1から検証するか。
魔法とは呪文を詠唱する事で発動するものだ。
なら呪文とは何のためにあるのか? 例を上げよう。
『水よ、清廉なる我が願いを聞き、水よ清らかであれ』
マザーが使ってくれた魔法だ。
一節目『水よ』これは対象の指定でいいはずだ。
何に対して魔力を注ぐのか認識することで発動までの時間を短縮すると考えられる。
魔力操作より早く魔力が手に集まっていた。
二節目『清廉なる我が願いを聞き』これは自身の精神集中と水との同調を図っているのだろう。
人の水に対するイメージ喚起と同調を試みている詠唱だ。
これは自己暗示と消費魔力の低減を同時に行なっていると見ている。
この前試したのだが魔力操作で異物排除を試みて少しばかり燃費が悪かった。
三節目『水よ清らかであれ』最後の詠唱だ。
対象に何をさせたいのか、その指定だな。
発動の為の『キー』いわゆる鍵だ。
車の運転に例えるとこうかな。
魔力がガソリンで、イメージと同調は運転技術、キーはそのまま鍵だな。
まあ極端な例えだけど、だいたいこんな所だな。
だけどまだ重要な検証が残っていたな。
この魔法はどこまで異物を排除しているのか?
更に認識していない物まで排除できるのか?
ここに科学によるメスを入れなければなるまい。
だが現代日本では無い、この世界、この場所でどうやって検証するのか。
これは昨日の夕方に昔を思い出したお陰で糸口が見えた。
夏休み、子供、宿題、とくれば自由研究だ。
科学を子供らしく解明しようじゃないか。
その為の材料も実は集めてあるのだ。
何時集めたのかって? ダディと一緒に村の外にでた狩猟体験の時だ。
珍しい物が有れば何かに使えないか集めるのは常識だろう。
竹炭はどうだって? アレもその内ナニカニツカエルサ。
今はその時ではない。それだけのことだ。うん。
話を戻そう。脱線させたのは…それも私だ。
気を取り直して、材料はこちらです。
1.黄色い果実
2.紫色の花
3.桶
4.水
5.我が家の女神
1は、これは酸っぱい味が特徴のアレです。レモンです。
歩いている時に落ちてたので拾いました。
2は、どう見てもアサガオですね。
サツマイモがあるからあるだろうなと思ってたら、やっぱりあったし。
ヒルガオ科サツマイモ属の一年性植物。前世の優秀な姉上に教えられたお陰だで覚えられた。
夏休みの自由研究を手伝ってくれたのも姉上だ。
サツマイモ属だからって食べられないよ? と教えてくれた。
食ったら下痢起こすから注意な!
しかし姉上よ。いくらお馬鹿な俺でも食べないよ…たぶん。
そして桶だな。これに水を入れます。そこにレモンの絞り汁を少々加えます。
最後にこの桶の水をマザーに水魔法で綺麗にしてもらうのが今回の実験で検証したい実験内容です。
果たして認識していない物まで綺麗に排除できるのか?
そしてどこまで綺麗に排除できるのか?
では実験協力者の下へと行こうか。
「お母さん。おはよう」
「あら。おはようクラウス。もう眠くない?」
どこか心配そうな顔のマザーである。
悪いことしたな反省せねば。
「うん! もう眠くないよ」
「なら良かったわ。あら? その桶は何?」
丁度良い。この話の流れで魔法を使ってもらおう。
「これはね。お母さんに魔法を使ってもらいたいから持ってきたの」
「ふふふっ。クラウスったら起きたばかりなのにもう魔法の事? 先生にいいところを見せたいから練習したいのかな?」
頭ナデナデで、こそばゆいですよマザー?
確かに師匠にいいとこ見せたいですけどね!
「お母さんの凄いところも見てみたいかな?」
「あらあら。クラウスったら。トリスみたいな嬉しい事言っちゃって。抱きしめちゃうんだから」
何故かナデナデが女神の抱擁にグレードアップしました。
やっぱり柔らかくて、いい匂いで、暖かくて安心するわぁあああ。
しかも今回は頬ずりのおまけ付きだ。
年上の美女の抱擁と頬ずりだ。これ以上のご褒美は今のところ皆無だな。
「それじゃあクラウスの為にいいとこ見せようかしら?」
マザーの魔力が俄然、濃い赤ピンク色になりましたよ。
やる気と嬉しさでめっちゃ濃い色だ。
そして山脈から解放された俺は、マザーに手を引かれながら庭に出た。
「桶の中の水を綺麗にするだけでいいの?」
「うん」
マザーが魔法の確認をして来たので、俺は実験の為の指示を出した。
「他に何も入れないのね。先生からの課題か何かかしら?」
少々解せないと云う感じの顔ですよ。
ですよねー? 何か綺麗にするんじゃないんだしな。
「まあ良いわ。これがクラウスの為になるなら、お母さんやってみせるわ!」
なんだか可愛らしいんですけど? この人本当に経産婦?
腕まくりをして意気込む姿は可憐と言えよう。
「ありがとう。お母さん」
「愛しい我が子の頼みだもの。任せなさい」
ああ。なんという女神の微笑みか。
なんという慈愛の眼差しか。
材料なんて上げて、ごめんなさい。
深く反省。
そしてマザーは姿勢を正して詠唱に入っていった。
『水よ、清廉なる我が願いを聞き、水よ清らかであれ』
そして俄かに水が波立ち始め。
飛沫を上げて行き。
最後には水面は静寂を取り戻した。
「ふう。これでいいかしら?」
「ありがとう。お母さん」
そして俺はマザーに抱きついた。
抱きついて労う事を忘れてはイケナイ。
「いいのよ。お母さんはクラウスのお母さんだもの」
なんという慈しみ溢れるお言葉か。
母とは偉大だ。
母とは慈愛だ。
世のお母様方にありがとう。
涙が出る思いです。
それじゃあ早速、母の愛に応えるべく行動に移すか。
「お母さんの魔法で綺麗になったか試してみるね!」
「お母さんも見ていいかしら?」
ふむ。協力者だし? 母だし? 別に憚ることは無いな。
「いいよ! お母さんに見せてあげる」
「あらあら。ありがとうクラウス。どんな事が起こるのかしら?」
笑顔で楽しそうに事の顛末を待ちわびる美女。良いですね。
「この花を使うんだ!」
そして紫色の花であるアサガオを取り出した。
「あら? 綺麗な色の花ね。それをどうするの?」
「これをね。桶の中で揉んで色を出すの」
そう揉んで揉んで紫色を出すんですよ。奥さん。
「それで綺麗になったか分かるの?」
「うん!」
では、実験開始だ。
俺は桶の中の水でアサガオを揉んで水の色を変えた。
その結果は…。
「あら。綺麗な紫色ね? クラウス」
「やっぱりだ…」
俺は実験結果に対し独り言ちた。
「どうしたの? クラウス」
「え? ああ。やっぱりお母さんの魔法は凄いなって、ね。」
俺は少し動揺しながらも何とか受け答えをした。
「ふふふっ。ありがとう。それで? 水の色が変わると何が分かるの?」
やはりソコですよね? 色が変わっただけじゃ解からないよな。
「これを入れると解かるよ。お母さん」
「あら。綺麗な黄色の果実ね」
「これを絞って入れるんだ」
そう言って俺はレモンを絞るのですよ。
そして水は紫色から濃いピンク色へと鮮やかに変化していった。
「あらあらあら? 水が…水の色が変わっちゃったわ! クラウス」
そりゃ驚きますよね。
凄い良い反応だ。
でも俺の肩を掴んで揺するのはどうだろうか? まるで子供のようですよ? マザー。
「凄いわ! 凄いじゃない! どうしてこうなるのかしら?」
新しい玩具を手に入れた子供状態のマザーを見ているのも楽しいが先に進めよう。
「この前ね。花を絞った色水の中にね。果実の絞り汁を入れて遊んでいたら水の色が変わったんだ」
「そうなの? クラウス凄いじゃない。これは凄いわ! 魔法でもないのに、こんなに、凄い、なんて…」
おや? マザーの様子が変だ?
「私、クラウスを産めて、良かったわ…」
いきなり涙ぐみ始めましたよ!?
どうしたんだ?
「どうしたの? お母さん」
「んーん。大丈夫よ? 何でもないの…」
何でも無い訳ないじゃないか。
「悲しいの?」
「違うわ…。嬉しくても、涙が出るのよ? 私が、クラウスのお母さんになれた事が、嬉しいの」
女神が流す涙は目から零れ。
頬にひとしずく涙の軌跡を描いていった。
「無事に産めて、本当に良かったわ」
だけど笑顔は輝きを増し。
マザーは幸せを噛み締めていた。
なんて素直な笑顔だろう。
まさに母親の顔だ。
やばい、俺もウルッときた。
「僕はここにいるよ? 泣かないで、ね?」
そう言ってしゃがんだままのマザーを抱きしめて頭を撫でた。
せっかくの実験結果だけど検証とかはもうどうでもいい。
そんな気分にはなれそうもなかった。
世の中GWですが、そろそろ母の日などが来る季節ですね。
感謝の心を込めて母エピソードを少し絡めてみました。
私は別にマザコンじゃありませんが、感謝は忘れません。
親なくして子は生まれずですね。
そしてこの話を読んでいただけている読者の方々にも感謝は忘れません。
本当にありがとうございます。
今日は連続で行けるとこまで投稿します。
実は、お話を少し変更して現在進行形で書いています。
それでは次回をお楽しみに。




