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名工への道。

手直ししてたら時間ががが

すいません。

 昨日は双子に手解きをして、一日が終わってしまった。だが成果もあった。やはり魔力の操作は見えていなくても、ある程度は出来るようだ。既成概念に囚われてない幼子だから出来たことだろう。これが老齢ならどうだろか。ふむ興味深いな、ドッドあたりで検証、及び実験をしてみようか。三百歳のドワーフは、果たして魔力操作を会得可能か? 今日の予定は君に決めた!



 などと考えながら村の中を歩いているのだが、いつかの農具破壊をやってのけた阿呆面二人組が今日も走っている。そして後ろをおじさんが追いかけている。今日も飽きずに悪事を働いたらしい。学習しないものなのか? 今日も村は平和だ。



 「ドッドさん。こんにちはー!」

 「おう。クラウスじゃないか、今日はどうしたんだ?」

 いつもの銅鑼声で応えてくれたが、その顔色は優れないみたいだ。


 「魔法の事で聞きに来てみたんだけどー…どうかしたの?」

 髭もじゃの厳い筋骨隆々なおっさんが難しい顔してるし気になりますがな。


 「ふぅ~。どうもな、自分の鍛冶師としての腕に疑問があってな。大親方みたいにゃ出来ないのかと悩んでたんだ」

 そう口にして見下ろす先には、草などを刈る時に使う鎌が置いてあった。

 何の変哲もないただの鎌だよな? これがどうかしたのか?


 「その鎌が何か関係しているの?」

 「ああ。草刈りに使われていたんだが、どうも石にぶつけちまったとかで刃先が少し欠けちまったんだよ。ほら、この部分だ」

 言いながら件の鎌を俺に見せてきた。

 確かに言われてみれば、というか言われないと解らない程に小さなヘコみだった。これくらい許容範囲じゃないんですかね? それとも匠としては許しがたい事なのだろうか。



 「農作業してれば磨り減ったり欠けたりは当たり前だが、ドワーフとしちゃあ見逃せねぇ事なんだよ」

 矜持が傷つけられるとでも言うのだろうか?

 そして俺は傷つけた二人に心当たりがある。

 その情景もありありと想像可能だ。どうせまた騎士の真似事して遊んでたんだろ。現にこの鎌の柄の部分を見ると分かる。所々に傷が付いている。刃物で付いた傷だ。それに刃の部分が草の汁などで汚れていない。確実に遊びに使われていた結果だ。


 でもドッドもそれは理解しているんだろう。

 納得している顔だ。

 だけど道具を作る自分の腕に疑問が残るのだろう。



 「道具は大切に使わないと駄目だよね。作ってくれる人に失礼だよ」

 物は大切に扱おう。使い捨ての物を大量生産している現代日本では少しずつ忘れ去られている概念だ。忘れてはならない。


 「ふっ。クラウス。おめぇ分かってるじゃねぇか! お前みたいな奴がいれば俺達は喜んで、これからも作るだろうよ!」

 ドッドは豪快に笑いながらごつい手で頭を撫でてくる。

 俺の慰めの声が少しは届いただろうか?

 だが腕の違いが、そこまで出る物なのか?

 新たな疑問が湧いてきた。



 「そうえいば大親方とか言ってたけど。その人は凄い物を作れるの?」

 俺の問にドッドの眼光が鋭く光る。


 「おう! ドワーフの中でも随一の鍛冶師だ! 今の時代あの人の右に出る奴は、そうそういねぇだろう! 俺の自慢の師匠だ」

 なんだろうね。この男臭いニカッとした笑い。

 余程嬉しいんだろうな。



 「俺じゃ足元にも及ばねぇ腕で希にしか武器を作らねぇんだが。出来た物はどれも業物だ。本当に滅多なことじゃ作らねぇ。指示を出すか、たまに仕上げをして見せて弟子に教える時に動くくらいなんだがな!」

 ほうほう。業物の武器ですか。そうですか。


 俺は嬉しそうに語るドッドの声を聞きながら頭の中で考える。

 そんなドワーフが作った武器を見てみたいと。

 魔眼で見たら何か違いが分かるんじゃないかなと。

 だから口から溢れていたんだが。



 「そんなに凄い物なら見てみたいな…」

 「おっ? クラウス興味があるのか?」

 「うん!」

 「そうかそうか。興味があるのか!」

 凄い嬉しそうだな。このおっさん。


 「お前は運が良い。なんせ大親方の作った物がここにあるんだからな!」

 なんだろう。こういうのどこかで見た記憶があるぞ?

 あれだ。コレクターが自慢の品を披露するのと、お同じなんだ。



 「そいつがこれだ!」

 ドッドが息巻いて奥から引っ張り出してきた物は…。

 超ド級の両刃の大斧だった。

 なにこの子供程もあろうかと言うデカイ斧。

 斧の両刃部分は端から端が子供が両手を広げた位の大きさだ。

 刃の部分は滑らかな曲線で曇り一つない。

 柄の部分も質素だが作りがとても素晴らしい。

 豪奢ではなく渋い燻し銀で、いかにも戦専用といった感じで飾りがない。

 まさに漢の武器! と言った様相を呈している。


 「これが……ドッドさん見てみてもいいかな?」

 「おう! クラウスなら触って、見てもいいぞ!」

 お許しが出たことだし早速『視て』みますか。

 『魔眼発動』



 こりゃ……凄い! なんだこれ!? 嘘だろ? これ、この武器。



 こいつ魔力を宿してやがる!

 この斧の周りが陽炎の様に歪んでいる。

 刃だけじゃない。全体が、だ。

 何をどうしたらこうなるんだ? 一定の魔力がこの斧全体を覆っている。

 試しに俺も少し魔力を出しながら触れてみるか。



 軽い気持ちで魔力を纏ながら柄の部分に触れてみた。

 するとどうだろう。俺の手に吸い付くような感じを受けた。

 まるで手の延長上だとでも言うような一体感を受けた。


 「クラウス。おめぇ…。魔力を動かせるのか?」

 「え?」

 「いや、お前と斧が一体になったように感じたんだ…」

 どうやら魔力が同調したように感じられたみたいだ。

 確かにすんごい馴染む。


 「この武器が凄いんだよ! 大親方って凄いんだね!」

 だが俺は気にせず答える。


 「ああ。確かに大親方は凄い。だがクラウス。おめぇも凄い。俺には分かる。お前の目が俺に教えてくれるんだよ。物を見る目があるってな」

 しかしドッドは真剣な目で俺を見てくる。


 「おめぇ歴戦のドワーフみたいな事やってるだろ? 別に咎めやしねぇ。正直に答えな」

 ドッドは尚も言い募る。


 「うん。エルフのおねえさんにも言われたけど魔力を少し扱えるよ?」

 「やっぱりか…。それじゃあ渦の課題もすぐ出来る訳だ」

 合点がいったという顔で納得している。


 「ん? エルフだと? もしかしてこの間来た。調査官とかいうお嬢ちゃんか?」

 「そう。僕の魔法のお師匠様になってもらったんだ。今日はそれを言いに来たんだけどね」

 先にドッドに教えてもらった手前少し言いにくいな。


 「そうか。クラウスならエルフに教えを受けても損にはならねぇだろう」

 あら? なんだか納得のご様子で。


 「なに変な顔してんだ。構わねぇよ。こちとら本職は鍛冶師だ。小せぇことで兎や角言わねぇよ。」

 流石ドワーフだ。顔に出てたのが分かったか。


 「まあそれはいい。他には誰かに教えたか?」

 ここは正直に言うか。ドッドなら信頼できそうだし。

 なんて言うのかな。男同士腹を割って話すって感じだ。



 「双子にも少し?」

 「双子にもか! おめぇ大胆な奴だな」

 呆れと言うか、見上げた奴だというかそんな目で見られた。


 「双子には誰にも話さないように言ったけど。まずかった?」

 「いや、大丈夫だろう。あの双子は素直でしっかりしている。問題ねぇだろう」

 大丈夫みたいだ。


 「それより、こいつの感想を聞いてなかったな」

 「うん。この斧はね刃の部分は曇り一つないし欠けた部分もない。戦うことを目的に極められた斧だね。それに魔力が宿っているかな。」

 「ふっ。子供の癖に難しい言葉知ってやがるな! だが魔力が宿っているか。そうかなるほどな。そいつが他の武器との違いか。俺達みたいな魔力が多いと自分の魔力と誤認するのかもしれねぇな」

 確かに見ないと明確な違いって認識できないしね。

 一度認識できれば違いが分かるのかもね。



 「クラウス。ありがとうな! お前のおかげで俺に足りなかった部分が何なのか分かった気がするぜ! そうか魔力が関係してたのか。だからあの時お親方は…」

 なんだか自分の世界に没頭し始めたよ。

 お役にたてたのかしら?


 「クラウス。この礼は必ずする」

 「おおげさだよ」

 日本人は遠慮から入る生き物です。


 「いや、師匠から言われたんだ。お前は外の世界に行ったら。お前の運命と出会うだろうってな! それがお前の様な気がするんだ。運命と出会い一人前の鍛冶師になれるって言葉は確かなようだ」

 なんだか知らないけど恩師の言葉なら仕方ないのかね?




 今日もまた人との繋がりが出来た日だった。

 ドワーフだけどな!

気になるとどうも手直ししたくなりますね。


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