共犯者は少ないほうが良い。
主人公のうんちくはたまに間違いもあります。
鵜呑みにはしないでくださいね?
朝食は、サツマイモのポタージュに少し固めのパンだった。サラダとかの概念ってないのかしら? しかしサツマイモ旨いな。サツマイモの天ぷらとか食いてぇ。大学芋もいいな。焼き芋に蒸し芋。スイートポテトも食べたい。干し芋や芋ようかんも捨てがたいな。油で上げたサツマイモチップスとか食いながら漫画読みてぇ。マザーは料理上手だから概念教えたら何か作ってくれんだろか? しかし村の畑にサツマイモなんて無かったよな? どこから採って来たんでっしゃろ? ダディに聞いてみよう。
「お父さん。このお芋のスープ美味しいね!」
「そうだな。ディアの料理の腕が良いから余計に美味しいな」
早速のろけ入りました。ごっつあんです。
「このお芋は何処にあるの? 村の畑に無かったよ?」
「これはね。野草とかと一緒に採って来たんだ。村では育ててないんだ」
「そーなんだ?」
なら野生のサツマイモですかな?
森の中には、他にも色々あるのかね。狩人になったら森に入るから自力で探すのもいいな。
「この芋の事は、昔狩猟のやり方を教えてくれた恩師に教わったんだ。」
なるほど先達者達の経験の結晶な訳か。
やはり先達の言葉は聞くものだな。思いもよらな良い物が出てくる時がある。
語るダディの顔もどこか誇らしげだ。
「僕もお父さんに教わる!」
「ああ。そのうち大きくなったら教えてあげるよ」
そんな男二人の話をマザーは微笑みながら見ている。
「僕が取って来た物で美味しい物作ってね? お母さん」
「もちろんよ。楽しみにしているわね?」
今朝もマザーは良い笑顔だ。
その後は朝食も終わりダディはお仕事へ。マザーも家の事や縫い物をしている。
畑仕事の代わりに縫い物とかで貢献してるのかな?
さて、俺は何をしようか?
1.魔力操作の練習。
2.村を探検。
3.ドッドの所に遊びに行く。
4.双子のおもちゃになる。
1、2はいつものことだ。3は忙しかったら悪いしな。
4……は無いな。あいつらに捕まればまた酷い目に会う。
あいつらの興味が俺じゃなく別の物に向けば或いは…。
うん? 興味か。
今あの双子の興味と言えば魔法か。最近教わって、はしゃいでいるしな。
魔法に興味を惹きつけられれば、俺が村の中を動いていても捕まる事もなくなるか…。
幼いクラウス少年は、何かと双子に捕獲されていた。
その都度おままごとで、子供役を押し付けられて居た。
今後も何かと動く身であれば、いちいち捕まるのは得策じゃないな。
いっそのこと魔力の初歩的な使い方を教え込み。何かに利用できんだろうか。
いくら俺が魔力を扱えても一人では所詮できることなど知れている。
ならば協力者的な物を今の内から育てておく。うむ合理的だ。
善は急げだ。今の内からどちらが上か教え込もう。
「お母さん。村長さんの家に行ってくるね」
「あら? カレンちゃんとアンネちゃんに遊んでもらうの?」
「んーん。師匠から教わった事を教えに行くの」
「そうなの。クラウスは優しいわね。いいこいいこ」
マザーが頭を撫でてくれる。それだけでよかった。頭に幸せが満ちた。
愛がアップ!
やる気がアップ!
腕力がアップ…はしなかった。
まあ幸せで、くるくる回りそうだったがな!
そして村長さんちまで来た訳だが。
双子は桶を睨んで腕を振っていた。葉っぱは動かせたけど渦が作れず苦戦中なようだ。
そこへ颯爽と登場した俺。
捕獲されることは間違いなしだった。
「おはようクラウスにぃ! 遊びに来たの?」
「…兄さん。おはよう」
元気いっぱいのカレンと難しい顔してるアンネが挨拶をしてきた。
「おはよう。魔法の練習中?」
「そうなの。練習してるけどできないの。ぜんぜん渦にならないの」
「…むずかしい。兄さんはどうやって出来たの?」
どうやってと言われても感覚だから教え難いんだよな。
それに人族の魔力量じゃ正直厳しい気もする。
使える魔力量に限りがありすぎて、話にならない。
「渦を作るやり方は教えられないかな」
「「そうな(んだ)の…」」
意気消沈と言った顔ですな。
「でも水を動かしても、あまり疲れ難くなる方法なら知ってるよ」
「「本当?」」
「うん。二人には教えてあげる」
「やったわね! アンネ」
「…そうね。カレン」
興奮状態のカレンと本当なのか疑わしいといった顔のアンネだ。
カレンは単純だな。
アンネは深慮深いのかもしれない。
「でもこの方法は他の人には秘密だよ?」
「どうして?」
カレンが私気になります! みたいな顔で聞いてきた。
「大人が知ったらびっくりするから、かな」
「皆を驚かせることができるんだ!」
「…カレン。そういうことじゃないと思う」
カレンがアンネに窘められている。これじゃどっちが姉なのやら。
「この方法はエルフに伝わっている秘密の方法だから。悪い人に伝わらないように秘密にしなければいけないんだ。悪い子には教えちゃだめなんだ。二人は良い子でいられるかな?」
最もらしい事を言って念を押しておく。
「私良い子でいるわ! だから教えてクラウスにぃ」
「…うん。約束する。大人になっても秘密を守る」
懇願してくるカレンとそんなカレンを見詰めて居るアンネ。
アンネが監視するって意味か? ホントどっちが姉だよ。
まあ真面目なアンネならカレンを上手く誘導できるだろう。
「それじゃあまり人の居ない場所で教えるね」
「「分かったわ」」
そして村長宅の空いてる家で教える事にした。
お客が来た時用の家らしい。
「まずは二人に聞きたいけど魔法はなんで使えるのかな?」
「ん? 分からないわ」
「…魔力があるから?」
「そうだね。アンネの言う通りだ」
アンネは当たったのが嬉しいのか頬を赤くしている。
「なら魔法の回数を多くするには?」
「はい! 魔力を多くすればいいんだわ!」
挽回するようにカレンが元気に答えてきた。
「そうだ。魔力の量が多くなれば良いんだ。そしたら多く練習できるだろ?」
「…だけど人族は、多くないって言っていた。違うの?」
やはり訝しげなアンネが異論を唱える。
「だから今からそれを教わるのよ! アンネ」
カレンは単純だ。
まあ物事を教わるには都合がいいんだけどさ。
この二人はあれだな。
アホ可愛いクラスのアイドルタイプのカレンと真面目で融通の利かない委員長タイプなアンネってとこかな? クラスによくいるよな。もちろん俺はオタクな奴らの部類だ。しかし社交性を持ち合わせたオタクの方だ。いや今はそれはいいか。
「今から教えるのは、その魔力を溜める方法なんだ。魔力は体から出て湯気の様に空に昇るんだ。だからそれを体の周りに溜める方法を教えるね」
「「湯気?」」
「そう。水を温めると湯気が出るでしょ?」
「「お母さんが料理してる時に見たわ」」
「なら分かるよね。その湯気の様に体から魔力が出ているんだ。それが戻る様子を頭の中で思い浮かべて魔力よ戻れって言ってみればいいよ。出来たかどうかは僕が見るから」
「「分かったやってみる」」
二人共やる気はあるんだ。直ぐ出来るだろう。
そして魔眼発動!
「「…魔力よ戻れ…」」
おぉ~人のやる姿は初めて見るけど、少しづつ魔力が二人の周りに留まり始めている。
だがカレンの方が優秀かな。アンネの方は少し不安定だ。
「いいよ二人共。魔力が二人の周りに戻っているのを感じるよ」
「本当!?」
あっカレンの方は魔力が霧散していった。気を抜くと駄目だな。
「あーカレンの方は魔力が散っちゃったかな」
「えぇー!?」
そんな悲しそうな顔しても駄目です。
アンネは持続力があるかもしれない。量は少ないけど安定して周りに戻っている。
「二人共。分かったかな?」
「んー分かったような分かんないような?」
「…私は少し分かった。でもこれ難しい…」
そりゃそうだ。頭の中にイメージを焼き付けないと持続するのは難しい。
「…魔力が戻った時にカレンの魔力を少し感じられたわ。」
「そうなの? 私は気づかなかったわ」
二人共それぞれ感じ方が違うのかな?
それともカレンが大雑把なのか。
「二人でやると分かり易いかもしれないね。朝起きた時と寝る前にやってみたらいいよ」
「いつもやってたらいけないの?」
「…カレン。それじゃ動けないわ。お母さんのお手伝いもあるもの」
「それもそうね!」
アンネが居れば安心かもしれん。
「そうだね。あまりそればかりしてても駄目かな。じゃあこれは三人の秘密だ絶対に守るんだよ?」
「「分かった(わ)」」
良し良し。これで俺の事を捕まえる事もなくなるだろう。
人は興味の対象が移ればその前の事はおろそかになるものだ。
幼いなら尚の事。
そしてゆくゆくは俺の協力者になれば言うことなしだな。
だがこの二人が俺を新たな出会いに導くとは露ほども思わなかった。
主人公の周りの出来事が続きますが、楽しめていますでしょうか?
これから少しずつ物語を動かして行きます。
暖かい目で見守ってくださいませ。
それでは次回をお待ちください。




