朝飯前の腹ごなし?
師匠といきなり離れ離れはキツイ。だけどもう会えない訳じゃない。一ヶ月に一度会えるじゃないか! 織姫と彦星よりいいじゃない。あっちは年に一回よ? 一ヶ月なんて余裕ですよ! 余裕! …嘘です。寂しいですよ。強がって見せても魔眼で見れば丸分かりだ。ブルーな感じになってやがる。今なら氷雪系の魔法も撃てそうなくらいブルーです。エターナルでフォースな吹雪じゃないぜ? 冗談はここまでにするか。
師匠から言い渡された課題を熟そう。そうすれば時間なんて直ぐ経ちますよ。まずは魔力で、事象に干渉することから始めますか。水は動かす事でいいだろう。火は形を変えたりでいいかな? 土は穴を掘って埋める…。どこかの拷問か? 風はー…風ってどうやるんだ? ドッドあたりに聞けば直ぐ分かりそうだけど。ここは一つ自力で探ってみるか。と、言っても既にヒントは今までの調査で出ている。部屋に漂う埃、これを外に出せるようにする事だろう。
風の流れを作り対象を動かす。
これについては魔力を自在に操り、高貴なる師匠を愛する私めがズバッと解決してしんぜよう。
ズバッと参上、ズバッと解決。これで師匠も惚れるに違いない。ぐふふっ。
いかん、遺憾。話が逸れた。
まずは魔力を展開しようか。
そして俺は自室の窓を開け、椅子に座り、魔力を広げる事に意識を傾けた。
「ふう。ここまでは楽にできるんだよな」
だが問題はここからだ。
果たして風の流れとはどう作り出すのか?
手で扇ぐ? 口から息を吹く? だが違うような気がする。
魔力は身体的なものではなく。
精神に作用されるものではないだろうか?
ならばここは精神集中をしてみよう。
目を瞑り。
初め呼吸は浅く。
鼻から空気を吸い込み。
吸い込んだ息が額に来るイメージ。
頭、脳、そう前頭葉の当たりを意識する。
そしてゆっくりと口から息を吐く。
脳を思い描け。
前頭葉のあたりから光が走るイメージ。
そして後頭葉までを包む。
その光は脳幹を辿り脊髄に流れ。
光は四肢に渡る。
手は膝の上に置き力を抜く。
弥陀の定印のような形だ。
よし。いい感じに体から力が抜けて神経が鋭敏化してきたな。
なんで弥陀の定印なんて知ってるかというと西遊記で検索して仏様の手の形に至ったら出てきた結果だ。
別に俺は熱心な仏教徒じゃない。
「周りに展開した魔力が薄い膜のように感じられるな」
魔力は俺の周りで、半円状のドームみたいな形に展開している。
これなら空気中に浮く埃まで感じられそうだ。
そう考えた時、不意に窓から風が流れ込んできた。
そして、肌で感じるより先に風を感じた。
もちろん魔力で、だ。
「んー変な感じだ。二重にぶれて風を感じた」
だが初めに感じた風は、涼しいとかいった感じは無い。
文字通り風に触れたといったところだ。
「ん? 触れた? んーもしかして…」
物は試しだ。
魔力で空気を包んでみよう。
展開した魔力ドームの中にある空気だけを包むんだ。
空気は…酸素、窒素、二酸化炭素、その他はこの際、除こう。
最初の内は、そんなに多くを認識しても混乱するだろう。
包む…丸く包む。
シャボン玉のように。
だが、思い描いたものより違う物ができてしまった。
「ありゃ? 水で出来た丸いのが出来た…」
シャボン玉をイメージしたからか?
光を浴びて綺麗に光っている。
だが目的と違うので直ぐ消した。
朝早くだから空気中に水気がありすぎるのかね? だから水も反応したとか?
じゃあ違うイメージだ。
空気を取り除くイメージだ。
酸素も二酸化炭素も除くんだ。
「ふうー…。はっ!」
息を静かに吐いて腹に力を込める!
「んー? 出来た、のかな?」
出来たような気がする。
魔眼で見ると、そこだけポッカリと穴が出来た感じだ。
てかこれって真空状態を作り出したんじゃね?
あれ? 魔法じゃないのに。
魔力だけなのに。
なんだか、トンデモナイ事をしたような…。
「クラウスー朝食よー?」
「はーい!」
まあいっか! 飯だ飯だ!
腹が減っては練習もできぬ!
マザーの美味しいご飯が俺を呼んでいる!
着替えて、顔を洗い、俺は食卓という名の戦場へと趣いた。
主人公の魔力考察回でした。
魔法と言えば中二病みたいな格好良い? 詠唱を思いますが。
なぜかコイツは一足飛びで変な事をします。
なんとかと馬鹿は紙一重…。
伏せる方が違いましたね。
では次回も会いましょう。




