師弟の絆は使命よりも恋い?
人は、与えられた材料だけで何かをやれと命令されると。時に思いも寄らない事をやってのけてしまうものだ…物事の良し悪しは別にして…。特に偉い人や想い人の前では、手に力が入り過ぎたりしないだろうか? 良い結果を出せば褒めて貰える。認めて貰える、と変な色気を出し勇み足を踏んだ末に滑ったりするのだ。皆も何かをする前は必ず周りの事も考えよう。でないと…睨まれることになる。私は現在進行形で睨まれている。しかも美人に…迫力ある~ぅ。
「何って水を温めようかな~と思ったんだけど…」
もしかしてやり過ぎてしまったのだろうか?
「違う! そうじゃ無くて。水を温める前に、こう魔力を大きく震わせるような事をしなかったかい?」
女神が身振り手振りで何かを表そうとしてるみたいだ。
とても興奮していらっしゃるようだ。
やだ…可愛い…。
「うん? ちょっと待ちたまえ。水を温めるだって? 火の気配は無いはずだ。なのに水が温められる? そんな…」
あっ、フリーズしたっぽぃ?
茫然自失っぽぃ?
何か声が洩れていらっしゃる。
何か『危険だ』とか『人には早すぎる』とか『私が導かなければ』とか『特別は私だけで十分だ』とか少し目が虚ろですよ? まだハイライトは消えてないけどね!
あっ、頭抱えてしゃがみだした。大丈夫だろうか?
「…どうする使命もあるが、まだ小さい子供だ…」
女神は悩む姿も悩ましい。
ここは、わたくしめが正気に戻してしんぜよう。
物語りの定番で言うと王子様のキッスをこうチュツと。
女神の頬にしてみた。
「へぇ!? いっいったいにゃにを!?」
噛んでしまう程に驚かれたようだ。
ますます可愛い。
ついでだ頭も撫でてみよう。
「おねえさんが苦しいのかなって思って。お母さんがしてくれる事をやってみたんだ」
マイ・マザーは平気でやってしまう。流石母。
「ああ…。すまない取り乱したようだね」
凛々しく襟を正しているけど頬の赤さは隠せませぬ。
「一つずつ問題を解決しようか」
不意に使命感に燃えた目をされましたよ?
「まずどのように水を温めたのかな? 私に教えてくれないかな?」
顔は笑ってるのに目が笑ってないです。
ここは一つジャパニーズジョークで和んでもらおう。
「んとね。まず手を前に出します」
「ふむ」
「次に手と手を合わせます」
「こうかい?」
「手のシワとシワを合わせて幸せ~なんちゃって」
「クラウス君?」
半目の美女は迫力あるなぁ。
「じょ、冗談だよ。おねえさんが怖い顔で迫るから和ませようかなーと、ね?」
美人には笑顔が似合うもんです。
「子供に気を使わせてしまったみたいだね…すまない」
力なく微笑んでいる。
「君が今使った力は、非常に稀有な物なんだ。我々エルフの中でも長く生きた戦士しか使えないような力だ。魔力が膨れ上がり渦巻くような感じを受ける。それは特殊な身体強化の方法なんだ。私でもまだ少ししか使えない。それほど希なんだけど。どうも君のはまだそこまで行ってはいないみたいだ」
魔力操作がソコまで珍しい物だとは。
「クラウス君。君は今までその力を誰か他の人に見せた事はあるかな?」
「んーん。おねえさんが初めてだよ?」
「そうかそれは良かった。それは人族には過ぎた代物だ。直ぐに魔力半減症を引き起こしてしまうんだ。希に無意識で使いこなしている人族もいるけど本当に希なんだ。」
ガス欠起こして、ぶっ倒れるのかね?
「君の力は特別だ。特別故に受けなくてもいい重荷を背負わされる事になる」
女神の目が真剣だ。
「君は、お母さんやお父さんが好きかい?」
「うん」
気負うこともなく素直に答えた。
「そうか」
どこか納得した顔だ。
「なら特別になどなる必要はない。離れ離れになってしまうから」
「んー…」
「どうかしたかな?」
特別か…。それなら。
「僕はおねえさんの特別になりたい」
「へ?」
「おねえさんだけの特別になりたい!」
「いや、今はそういうことじゃ」
女神の顔が真っ赤に染まっている。
魔力は赤に近いピンク色だ。
やはり押しの一手で行くべきだ。
「…それじゃあ特別な関係を結ぼうじゃないか」
おおぉ!
困惑していた女神が正気に戻って下知を下さる。
「今日から私と君は特別な関係だ」
いきなりエンディングですか?
「今日から私と君は」
うんうん!
「師弟関係を結ぶ事にする!」
はい?
「君はどうも危なっかしい。見ていて心休まる気がしない」
あるぇー?
「今日から私の事を師と仰ぐように」
どうしてこうなった?
待て待てそうじゃないだろ!
いかん!
師弟関係では後々支障が出る気がする。
師匠だけに…。
じゃなくてだな。
少し方向修正を加えるべきだ!
まずは返事をするか。
「はい! 師匠!」
「うん。いい返事だ」
「弟子は師に学び、師は弟子を教えて学ぶって村のおじいさんが言ってました!」
「うん? まあそうだね」
「じゃあ僕が師匠に教えられる事もあるはずですよね?」
「そうなるのかな?」
「じゃあ早速学びましょう!」
「何を学ぶのかな?」
ふへへ…。
「恋愛を学びましょう!」
「はい?」
「師匠は恋愛経験はありますか?」
透かさず純真な瞳で見詰める俺。
「い、いや。経験は…無いかな?」
「なら好都合です。一緒に学びましょう!」
「え?」
「寝食を共にして同じ事を学ぶ。いい考えです」
「いや、まっ」
「よろしくお願いします!」
そして頭を下げて顔を合わせぬ俺。
「あっあれ?」
解せぬと言った感じの声が洩れてきた。
こうして俺に師匠が出来たのだ。
魔法と恋愛の両方のな!
勢いって大切ですよね。
ただ、周りは良く見ましょうね。
最近、お気に入り入れてくれたり。
見てくれている人が増えたみたいで嬉しいです。
楽しんで頂けるお話を頑張って作ります。
明日もまた会いましょう。




