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幕間―あるエルフの独白―

少し長いです。

 私の名はアデリーネ。私はエルフとして、この世に生を受けた。

 エルフとして生まれたのだが、私は他のエルフとどうやら違うらしい。

 まず目に付くのが髪の色だ。

 他のエルフが綺麗な金色の髪であるのに対し私は薄く緑がかった金色だ。

 次に瞳だ。

 皆は碧眼なのに私だけ翠眼なのだ。

 最後に耳だ。

 私だけ他より短い。


 そんな違いは、幼い頃はそれほど気にはならなかった。

 でも、ある日の朝、エルフの長の使いが家に来てこう言ったのだ。

 『君は我々エルフの中でも特別なんだ。だから周りとは違う教育を施さなければいけない。明日からは他の子とは違う場所で学びなさい』

 そう言われてしまった。


 初めは何を言っているのだろうかと、のんきに考えていたものだ。

 私の何が特別なのだろう。

 初めは解らなかった。


 次の日から始まった教えは、確かに特別だった。

 エルフの歴史から始まり。

 魔法の訓練。

 武技や剣術。

 弓の射ち方。

 武器の手入れ。

 非常時の訓練。

 どれも子供が習う事ではなかった。


 これだけ特別扱いされたら。

 ある弊害が出るのも当たり前だった。

 そう、同世代のエルフとの格差とでも言おうか。

 大人がやっていることを幼い私が習っているんだ。

 それ故、次第に同世代からは敬われる事になった。

 初めて孤独を味わった。

 前は一緒に遊んでいた子も次第に離れていった。


 私は特別になどなりたくはなかった。

 だけど長の言うことは絶対だ。

 やらないという選択肢は無かった。

 だから続けた。


 続けた結果は顕著に現れた。

 魔法の才能が明らかに同世代と比べられない程に秀でていたのだ。


 剣の扱いもそう。

 その他も。

 また少し他のエルフから遠のいた。


 その頃、親世代のエルフも敬いだした。

 私は異質な者なんじゃないかと考え出した。

 次第に窮屈な気持ちになっていった。


 私が修練に身を賭している時。

 同世代には恋の季節が訪れていた。

 遣る瀬無さを感じた。

 私には来ない季節。

 時が経てば…。

 私にも…。

 そう、淡い期待もあった。


 だけど時が経ってまた一つ。

 他のエルフとの違いが来ただけだった。

 同性のエルフより胸が大きくなった。

 もう貰い手もいないだろうと。

 恥ずかしさに身悶えた。


 この頃になると居場所を失ったような気分になっていた。



 そして私は故郷から飛び出す事にした。

 伯父の伝手で人族の世界に行くことにしたのだ。

 伯父は外の世界では、ある程度の権力者に伝手があったのだ。

 伯父自身はいい人であった。

 その子供と母親は別として。

 伯父の息子が私に言った言葉が最悪だった。

 『君は他のエルフと違うから貰い手もいないだろう? 僕が貰ってやってもいいぞ』


 気持ちの悪い目線で上から見下してくる目に鳥肌が立った。

 母親もそれはいい考えだと言っていたが正気だろうか?

 あんな加虐に満ちたいやらしい目は正気じゃない。

 子供のことを見抜けないのか。

 嘆かわしい。


 そんなこんなで伯父の知り合いを頼り。

 外の世界へ飛び出した。


 外の世界で鍛える為と言って。



 生きる為には働かなければいけない。

 その頃、私は百三十五歳になっていた。

 外の世界では子供でも働いていた。

 私にも出来ると思った。

 何か出来ないかと相談をした。

 そして私の出来ることを述べた。


 その結果、私は魔法を教える事になった。

 相手は貴族の子弟、子女だった。

 子供が相手なら大丈夫だと安心したものだ。


 だがその希望も脆くも崩れ去った。

 私が教える事を素直に受けないのだ。

 自尊心が強いというか。

 誇り高いというか。

 要は、うぬぼれが過ぎるのだ。


 当時の事はもう思い出したくもない。

 癇癪を起こしたり。

 いやらしい目で私の胸に触れようとしてきたり。

 もちろん触れさせはしなかった。

 強かに手を打ってやった。


 そんな中にも優秀な子は居た。

 ある子爵の令嬢で、他より秀でていた。

 人格、能力共にだ。


 そして四年後、その彼女に救われることになった。

 もう貴族の子弟に教える事にうんざりしていた頃だ。

 彼女の親である子爵閣下に誘われたのだ。

 君の力を貸してはくれないだろうか、と。


 『私の力をですか?』

 『そうだ。君に頼みたい事がある』

 『なんでしょうか?』

 『今、人の世は平穏に見えるだろう?』

 『はい』

 『私はそうは見えない』

 『なぜですか?』

 『この公国は帝国の支配下にあるのは知っているね?』

 『はい』

 『その北の帝国がどうも不穏な空気が漂っていてね』

 『はあ…』

 『有事の際に力が必要なんだ』

 『我々エルフは人の争いに不干渉を示したはずですが?』

 『それは承知だ。だから君自身を戦いに引き込むつもりは無い』


 『それでは私の何を必要としているのですか?』

 『君には、その力となる者を探してもらいたいのだ』


 そうして私は魔法適正者を探し始めた。

 初めて必要とされた事に嬉しさもあったが同時に不安も感じた。


 その思いを胸に抱き調査の旅に出た。

 半年後。

 一つの開拓村に訪れた。

 長閑な村だと感じた。

 早速調査を開始した。


 まあ結果は他とあまり変わりなかった。

 火魔法に執着を見せる子が居たくらいか。

 だが五回しか使えないのでは話にならない。

 力みすぎで魔力が不安定なのだ。


 見るものは見たので明日にでも別の村に行こうかと村長に話していた時だった。

 村長の子供で双子の可愛い女の子が私に言ったのだ。


 『おねえさんは魔法の上手な人を探しているのよね?』

 『そうだよ』

 『それなら私知っているわ!』

 『…カレン? 兄さんのこと?』

 『もちろんよアンネ!』

 『君達のお兄さんなのかな?』

 『違うわ。クラウスにぃは私達の兄弟じゃないわ』

 『…兄さんは、お父さんの弟の子供』

 『村長のご兄弟の子なんだね』

 『『そう(です)よ!』』


 私は村長に何処に居るのかを聞いた。

 そして村の外れにある家だと言われた。

 夕方頃なら家に居るはずだと教えてもらった。

 一応調べてみるかと気負うこともなく。

 夕方頃に訪れた。


 まさかいきなり求婚されるとは思いもしなかった。

 初めは小さい子供だった事に魔法の適正は見なくてもいいかと油断していたと言うか気が緩んでいたと言うか。


 いきなり抱きつかれてしまったのだ。

 いきなりの告白と抱擁? は私に衝撃を与えるものだった。

 そしてあれよあれよという間に夕食をいただき。

 そして泊まることになり。

 何故か、その子と一緒に寝る事になった。


 その子の目は輝いていた。

 キラキラと眩しいほどに。

 まるで憧れを宿すように輝いていた。


 初めは変な子だと思った。

 でも、私に溢れる程に好意を向けて来ることは少し嬉しかった。


 そして話していく内に面白い子だと思った。

 素直で、甘えん坊で。

 私の事を強く必要としてくれて。


 でも、甘えすぎて私の胸を吸うのだけは遠慮して欲しい。

 私でも恥ずかしいんだ。

 外に出て胸の事で、ある程度慣れたとはいえ。

 あんなに激しく…。

 いや、それはいい。


 問題は次の朝のことだった。

 彼は目の前でありえない事をやってのけた。

 歴戦のエルフの戦士がするような事をしたのだ。

 私は驚愕を顕にすることになった。

 だからつい口から零れたのだ。


 「クラウス君!!」

 「なーに?」

 彼はのんきに応えたきた。


 「君…いったい何をしたの?」




 まさかこれが私の運命の分岐点だったなんて…。

明日も17時にお会いしましょう

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