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女神の褒美は、斯もありがたきもの?

まだ夜は続きます。

 虚空の彼方より邪神来りて世に災いを齎らす。

 天に暗雲たなびき世界を闇に落とそうと画策する。

 大地は乾き。

 水は腐り。

 森は枯れ。

 世に破滅の鐘が響く。

 闇の魔物が漆黒の剣を振り落とす。


 まさにその時。

 雲を裂いて。

 闇を払い。

 天上より神が救いの手を差し伸べたのだ。

 邪なる神を討ち。

 世界の隅々まで命の水を零した。


 しかし邪神の呪いが神を蝕む。

 神は御使いを地に降ろし。

 力尽きた。


 天の御使いが地に降り立ち。

 大地に生きる者たちを救う。

 その身は神代の力を使う。

 御使いは聖戦の為に分け身を生んだ。

 闇の魔物との熾烈なる戦いの果てに。

 数多の闇を振り祓う。

 薄緑に煌く金の御髪を靡かせ。

 緑の眼で魔を射抜く。

 足は地を駆け、天を昇る。

 放つ矢は十重二十重と貫く。

 振るう剣は岩をも裂く。

 幾重にも居並ぶ闇は須らく剣の前に露と消える。


 戦いの果てに傷付き倒れた命に。

 慈悲の念を抱く。

 身命を賭して命の水を天より零し。

 そして二度と地に降り立つことはなかった。




 「そして、その姿を知る最古参のエルフの長老方が言ったんだ。私は初まりのエルフに似ているんだって」

 言葉もないとはこのことか。

 本当に神話があったってことじゃないか。

 邪神を倒す代償がデカ過ぎるけどさ。

 おねえさんの胸もデカイ…。いや違う。


 「今は神様はいないの?」

 「エルフの言い伝えではそうだね」

 神様いなくて大丈夫なのかね? この世界は。


 「だからかな。北の大陸は神を祀ることをせず。初代皇帝を神格化しているのは」

 へー北は皇帝が治める帝国があるのか。

 北というと、やはり寒いんですかね?

 ここは常に暖かいけどさ。

 南国万歳? 暖かいは正義。


 しかし…おねえさんも暖かい…。

 柔らかい…。

 でかい。

 顔が埋まるっ!

 かなり揉みごたえのあるお胸様ですなっ!

 こんな、けしからん乳に育つのに一体どれほどの年月が費やされているのやら。

 ううむ。

 そういえば、おねえさんの歳聞いてないや。


 「ねーねーおねえさんはどれくらい生きているの? エルフだから長生きしてるの?」

 「そうだね…。私が生まれてだいたい百三十九年ほど経つかな?」

 さすがエルフ長生きだね!


 「見ただけじゃ分からないや」

 「ふふふっ。確かに人より長く生き。姿もあまり変わらないね。でも私はまだエルフの中じゃ幼い方なんだ。人の世なら、まだ成人前と言ったとこかな?」

 へー人の年齢に換算すると成人前な…のか…。

 あれ? 人族の成人っていくつだ?


 「成人はいくつなのか知らないよ?」

 「人族は十五歳で成人だね。クラウス君ならあと十年経つと成人だよ」

 「…」

 ちょい待て? じゃあ何か? このおねえさん人族の年齢に換算するとまだ十四歳?




 アデリーネさんを人間の年齢で換算すると十四歳…だと?…。ヘイ! ウェイウェイ! ちょっと待て何だ? エルフで? 極上の乳で? 十四歳だとおぉお? そんな彼女はなんだかしっかり者の年上のおねいさんな性格…。そして、その身は初まりのエルフに瓜二つな先祖返りだあ? なんだこの萌えの総合商社のようなエルフは!



 いかん! 大変に遺憾ですよ! このまま放置すれば大変なことになる! 断言できる! 世に災いを投じることになるではないか! 



 時は帝国暦六百有余年テキトウ、世に降り立つ神秘の美姫は世に遍く全てをその美により魅了した。其の者の名をアデリーネと云ふ。かの美姫はこの世に生まれ奇跡の美を兼ね備える者なり。東方に微笑めば人々の心を射抜き。西方に振り向けば靡く髪より光が零れる。南においてはその美しさに太陽さえ姿を隠すであろう。北に赴けば春が訪れ険しい雪山も緑の山に姿を変える。三千世界にその美を燦然と輝かせていくのだ。そうなれば世の男達が我先にと手を伸ばす事は言うに及ばず。天下は戦乱の世に没するであろう。力ある者が無理やり連れ去れば。その暴挙に怒りを覚える漢達が結束して悪漢を討ち取る為に集うのだ。今まさに一人の美姫を廻る漢達の熱き戦いの時が始まる。篭る悪漢を討つべく次々と門を潜り抜け怨敵を斬り捨てるのだ。映像化したら名作間違いなしだな…そうタイトルは…。



 『僕が呂布で貴方が貂蝉? どきっ! 群雄割拠の虎牢関! 女神エルフの聖戦!』

 上映待ったなしっ!

 裏切りも待ったなし!


 ジャーンジャーンジャーン! げえっエルフ! 神ミング・スーン。


 神だけに…。


 決まった。…何がだ?



 「クラウス君もう眠いのかな?」

 「へっ?」 

 埓もない事を頭の中に宿した俺を女神が覚醒させてくれた。


 「まだ大丈夫だよ?」

 「そうなの?」

 女神との歓談だ。まだ終わらんよ!

 肝心の事を聞かねば!


 「おねえさんは、まだ成人じゃないなら結婚は?…」

 「まだ結婚はしたことないね」

 うむ。朗報じゃぁああ!!

 これで後顧の憂いは無いな。


 「だから君にいきなり求婚された時は驚いたかな?」

 「えへへ」

 面目ない。先走りしましたね。


 「それなら僕と結婚して夫婦になってよっ!」

 契約じゃないよ? 似たようなものだけど。


 「んーその気持ちは素直に嬉しいけど…。ここまで素直に言われた事もないし…。でも他のエルフが…。」

 なにやら考え出してしまったようだ。

 悩む横顔も美しい…。


 「…そうだね。君と将来結婚するのもいいかもしれないね」

 おっ!?


 「ふふふっ。嬉しそうな顔だね。でも条件があるかな」

 おぉお?


 「条件?」

 「そう条件だ」

 一体何が言い渡されるのでしょうか?





 「君が大人になって。何か一つ、この世に轟く偉業を成したなら考えなくもないかな?」

 女神は悪戯が成功したみたいな顔で微笑んだ。

 どこかのエセ女神など足元にも及ぶまい。





 だけど課題が大きくないですか?


お楽しみいただけたでしょうか。


何かを得るには対価が必要ですよね。

今の世の真理ですね。


では、明日も17時にお会いしましょう。

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