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人生は予定通りにいかない?

 狩人の仕事を知りたいと言ったらダディは快く俺を迎え入れてくれ色々教えてもらった。

 例えば狩人の仕事というと。ただ獲物を狩っていれば良いとはいかないみたいだ。道具の手入れ。獲物の処理。魔法がある世界だからと言って簡単に済む訳ではないらしい。どうでもいいけど獣臭いな。

 それと意外な事に食べられる野草の採取や茸の栽培までしていた。俺が知らないだけで元の世界でも普通にしてることなのか?


 その後昼食を食べた。今日の昼食は少量の肉と茸を朝食の残りの野菜スープに入れた物と焼いた芋だった。これって、さつまいもじゃね? 等と新たな発見もあった。


 昼食後、一人で村長宅前の村の広場まで行く道中で誰かが走って来る。



「ん? 前から誰か走って来てるな。」

 前方から二人組が、まるで逃げるように全力疾走してくる。


 「ひーひーっ」

 「にっ逃げろっ! 捕まれば終わりだっ!」

 何から逃げてるんだ? ちょうどいいから魔眼の実験に付き合ってもらおう。

 まあ予想通り真っ青ではあったが。


 「ごらぁー!! クソガキ共ぉ!!! 待てぇーっ!」

 その後を追うように四十歳くらいのおじさんがやって来た。

 こちらは、まさに火が付いた様に真っ赤だ。

 熱血のあの人みたいに真っ赤だ。

 お前熱過ぎる。って言われるあの人だ。


 何をしたかは知らないが、正直に謝ればいいものを逃げるから余計事態が悪化する。桜の枝を折った少年の様に素直に謝れば初代大統領になれるかもしれないが…。この世界が絶対王政なら無理かもしれんがね? しかし、あれじゃ謝ったからと言って必ず許される保証はないな。人生は無情なり。


 「せっかく新しくしてもらった農具で騎士の真似事なんぞして壊しやがってぇ!!! 許さんぞクソガキ共が! じわじわと痛めつけてやる!」

 まさに鬼気迫ると言った顔で鼻息荒く追いかけて行くのであった。そりゃ農具で遊べば怒られるべぇ。百姓さんの飯の種だでぇ。やっぱり許されんかもしれん。さらば若人よ。君たちの尊い犠牲の上に私は教訓を得るのであった。などと思いながら広場に来たのだが。どうも魔法の勉強とはいかない雰囲気だ。




 「すまねぇなあ。今日は仕事が入っちまってよ。壊れた農具を直さなきゃならねぇ。だから今日の魔法の勉強は無しだ。」

 申し訳なさそうに頭を掻いてドッドは謝罪してきたが、原因は分かるので否やはない。あの悪ガキ二人のせいだろう。阿呆そうな面してたしな。


 それを聞いた双子も素直に聞き入れたみたいだ。赤毛のカレンが不満を洩らすかと思ったが別に赤毛は関係ないらしい。赤というと怒りってイメージが湧いちゃうね。あまり魔眼に頼るのは良くないな。偏見は無くそう。片割れのアンネも気にしてないみたいだ。そうそうアンネリースの愛称はアンネだ。こちらは父譲りの綺麗な金髪だ。


 「遊びにいこか」

 「うん」

 どうやら双子は遊ぶらしい。


 「僕はドッドさんについて行くー!」

 巻き込まれる前に逃げよう。これは戦略的撤退なり!


 「えぇー! クラウスにぃ遊ぼうよぉー」

 カレンが駄々をこね始めたよ。

 「…カレン。それじゃ駄目…。お母さん言ってた男にはやりたいことさせとけって。それがいい女の魅力だって…」

 ヴェラさん幼女に何を教え込んでんのよ…。


 「分かった。お母さんの言うことは絶対」

 どこの世界も母が実権を握るのか。


 「そんじゃクラウスは俺に付いてくるのか? あまり子供が見ていて面白いことないぞ?」

 「大丈夫だよ。大人しくしてるから見させて」

 いえいえ。鍛冶なんて前世でも見たことないから楽しめますよ。

 「それじゃあ付いてこい!」

 そして双子と別れ。俺は、髭面のおっさんに付いていったのだ。


 しばらく歩くと前方に二棟の家が見えてきた。

 「そっちの小さい方が寝泊りする場所だ。こっちの大きいほうが鍛冶場だ」

 そう言ってドッドは先導してくれた。なんだかんだで面倒見いいなこのドワーフ。よくファンタジーとかだと気難しいとか言われてるが、そんな素振りは見えないな。


 『火よ、我が意に従い燃え上がれ!』

 ドッドが何か言った次の瞬間。火の無かった炉に火が灯った。

 すげー火の魔法だ! でもマザーが言ってたのと少し違うな。

 まあいいか。それより色んな物が置いてあるね。

 家探し開始だ!

 「色んな物があるね」

 「まあな。鉱石やら道具やら色々だ。道具は大事な物だから触らせられないが。鉱石くらいなら触ってもいいぞ。ただし気をつけろよ?」

 「はーい」

 何が出るかな? 何が出るかな?

 ふむふむ。これは…鉄か? これは銅かな?

 インゴットもあるな。

 うん? なんだこれ繋がってるように見えないのに引っ付いてるぞ。

 もしや磁石?


 「ねーこれってなあに?」

 「んー? どれだ?」

 「これこれ。この引っ付いてる石」

 「なにぃ? 引っ付いてるだぁ? 誰だクズ石混ぜた馬鹿はっ!」

 「これクズ石なの?」

 磁石じゃねーの?


 「ああ、別に使い道もねぇただのクズ石だ。鉄によく引っ付いていて邪魔でしかたねぇ。引鉄石って言う石だ。どうせ見習いが間違って混ぜちまったんだろうな。後で文句言っておかにゃならんな」

 へー。他にも面白い物ないか調べるか。

 あれ? この鉄のインゴット同じ大きさなのに重さが違うくね?

 こっちが軽くてこっちのが重い色もなんだか微妙に違う?


 「ねーこれも何かなー?」

 「どれ。……こりゃ鉄じゃねぇ別のやつだ。硬くて使い物にならん。俺よりもっと長生きで腕の良いドワーフじゃなきゃ扱えない代物だ。やはり自分の目で見なきゃ駄目だな。昨日は魔法を教えにゃならなかったから見られなかったが。今度からは見なきゃ駄目だ。教えてくれてありがとうなクラウス!」

 礼を言いながらごっつい手で頭を撫でてきた。

 もしかして…これチタン?

 軽い。硬い。ってくるとチタンじゃないですかね?


 なぜそのような事を知っているかというとだな。日本人の特性と言いますか。他の外国の方には理解出来ない考え方なのだが。物に人格を与えるアレですよアレ。要するに擬人化と言うやつだ。日本人は何かと業の深い生き方を生み出す人種ですね。チタンを擬人化して萌えに取り込んだ末に様々な萌え絵が生まれたのですよ。そんな萌えに塗れた男がここにも居たのですよ。チタン…白くてクールなイメージそんな萌え絵があるんです。ええ。


 しかし普通のドワーフじゃ扱いきれないのか。意外だ。


 「そろそろいい頃だな。欠けちまった農具を直すから大人しく見ていろよ?」

 「はーい!」

 中々に面白い物が見つかりましたなぁ。

 こりゃ付いて来て正解だったな!



 その後、壊れた農具を直すのを見てから夕暮れ前に帰路に付いた。

予定通りじゃなくてもいい人や物に巡り会ったりしませんか?


この話もそうなればいいですね。

また明日も17時に…?

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