掴んだ力の価値。
異世界で目覚めて二日目。
本当なら清々しい朝なはずだ。
だけど今一気分が晴れない。
その原因は、今も静かに俺の左手に鎮座ている石。
薄く黒い色の石だ。
神曰く、白く輝く時が供物が満ちる時だそうだ。
普通の者には見えも触れもしない。俺は見えるけど触れない。
だけどそこにある。傍から見れば中二病だなこりゃ。俺の左手がうぐぐ…とか。
とにかくそういうことなのだ。
そういえばもう一つあったなアレな証が…。
そう魔眼だ。
もうお腹いっぱいだよ。ギブだギブ。
だが嘆いても始まらない。やるだけやってみよう。
まずは見たいと念じるんだっけかな。
被験者はー…横で寝てるダディでいいか。
よし。見えろー見えろー…。
むむむうぅ…はっ!
「あっ見えた」
軽い気持ちで念じたら見えちゃったよ。
なにこれ桃色? ピンク色? 淫乱ピンクですか?
幸せそうな顔でマイ・マザーに抱きついて、いい夢見てるんでっしゃろな。
てかマザーも同じ色だし。
なんだこれ幸せの色ですか?
なんともふしだらな幸せの色もあったもんだぜ。
もう一つ重要なことがあったな。恐怖と後悔か…。
確かにそうだな目覚めてすぐの時、何かが足りなかった。
そう周りを把握するって行為だ。
基本周りを見ると言うのは恐怖からくる確認行為だ。
周りの物や人、危険など無いか。
だから考えだけが膨らんで周囲に気が回らなかったのか。
言われないと気づかないとは嘆かわしい。
などと早速手に入れた後悔でプチ後悔。
でもこれでもまだ初めの段階だってんだから油断はできないな。
早く正常になりたーい。
確認も済んだし朝食まで二度寝でもしますかね。
――――………・………――――
「おはようクラウス。朝食はできてるわよ?」
「おはよう。お母さん、お父さん」
「おはようクラウス」
金髪を短く刈っている精悍な顔つきの二枚目
この人が俺の父親トリス、二十五歳だ。
背は180くらいある高身長だ。
そしていつも笑顔を絶やさない。
微笑みの美女ことクラウディア。
見事な山脈を胸にお持ちの二十歳。
背は160から165といったとこだ。
共に美男美女、絵に描いたような夫婦。
その子供クラウス。俺だな。
今年で五歳で背は100くらいかな。
マザーの腰辺りに頭が来るから多分そう。
前世の知識に照らし合わせるとそうなる。
ダディはマザーより頭一つくらい大きい。
そして俺はマザーの腰辺り、そこから導き出した答えだ。
等と考察していれば朝食が終わってしまった。
朝食は、ナンの様な物に肉を挟んだ肉のナンサンド。
それと野菜のスープ簡単だが美味しい朝食であった。
さて、朝食も済んだし何をしようか…。そうだ魔法だ。せっかく魔眼なんて能力を手に入れたんだ。一つマザーに魔法でも使ってもらうか。魔法がどんな風に作用しているか見てみたい。午後からある青空魔法教室まで事前に調べておこう。それで行こう予定は決まった。
「お母さん。今日も魔法見せてくれる?」
「いいわよ。今日はお母さんの大事なエプロンを綺麗にするわね」
どうやら汚れの酷い物や大事な物限定で魔法を使うみたいだ。
なんでもかんでも魔法頼みとは行かないらしい。
それにしても刺繍の施された綺麗なエプロンだな。
お高いんでしょうか。
そして場所は外に移り昨日と同じタライに水を張っている。
「今から魔法を使うからよーく見てるのよ?」
「はーい!」
よし。よく観察しよう。やはり見るなら美人がいい。
でわでわー、魔眼発動だ!
ふむ…マザーの周りが陽炎のように揺らめいてますな。
色は…無色…はて? 今朝見た時は桃色だった気がする。
詠唱が始まったな。
おや? マザーの手元が水色になったぞ? それがそのままタライへ…そして昨日と同じ現象が起こった。
色が関係しているのか? 水の魔法だから水色。
じゃあ今朝見た桃色はなんだ?
やはりエロいことが関係しているんだろうか。
まだ子供だから試す事もできん。
この疑問は大事だが、まだ検討できる時期にあらず。
非常に遺憾ではあるが、先送りにするしかなさそうだ。
誠に遺憾である。
「どうだったかな? クラウス」
「お母さんすごーい!」
そして美女に抱きつく。
これは母と子のスキンシップなり大事なことだ。
「ありがとう。クラウス。ふふふっ」
そして慈愛に満ちた笑顔で撫でてくれる。
至福の時だ…おや? 薄い桃色だ。
もしかすると嬉しい時に魔力の色も変わるのか?
だとすると感情により魔力の色が変わる事になる。
これは確かに神の言うとおり役立つ能力かもしれん。
相手の感情を見る事が出来る。
ふふふ…中途半端等と言った事は撤回しよう。
使えるではないか! ハハハハハっ!
おや? ダディが離れの小屋に行くようだ。
あれ? 魔力見えませんよ? どういうことだ?
まだ解除していないのに…。
はっ! もしや有効射程距離があるのか!?
チィッ! やはり中途半端なり。
駄目な能力を授ける神だぜ。
略して、駄神だ!
…なぜだろう。大御所お笑い芸人の持ちネタのように聞こえる。
まだ時間があるな。
ダディのお仕事風景でも見ますかな。
駄神の言っていた供物云々の話もあるし。
今のうちから覚えても損にはならず得になろう。
「お母さん」
「なあに? クラウス」
「お父さんのお仕事見てもいいかな?」
「いいわよ? けど、どうして?」
「お父さんみたいになりたいから」
「あらあら。お父さんが聞いたら喜ぶわよ」
「それじゃお父さんの所に行ってくるね!」
「いってらっしゃい」
笑顔で送り出してくれるマザーを背に俺は駆けて行くのであった。
新しい力を試した一幕でした。
私はゲームとか取説をあまり見ない方です。
皆さんはどうでしょう?
感想お待ちしています。




