↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アマガタリ  作者: ひよりの
第二章
PR
71/108

導火



 くろちる。


 れなかったものが、身体からだおくふくがる。


 かえそうとしても、かえされる。


(……てない)


 ちからりない。


 かかえきれない。


 意識いしきしずむ。


 足場あしばえる。


 そこへ――ちる。



『まったく……』



 そのときだった。


 こえちてくる。


 しわがれたこえ


 けれどしんとおったこえだった。


『タヅマから便たよりをもらったときは、みみうたがったよ』


 やみこうからこえる。


 姿すがたえない。


 だが、たしかにそこにいる。


『こんな力任ちからまかせなやりかたがあるかね』


 あきれたような口調くちょう


 けれど、どこかわらっている気配けはいもあった。



 ふいにかぜる。


 やみなかに、一筋ひとすじひかりはしった。


 ばたき。


 かげかれる。


 ――とり


 ……ムスビ……?


 ちがう。


 まぶしい。


 しろともきんともつかないひかりをまとい、そのはね一枚いちまい一枚いちまいが、える朝日あさひのようにかがやいている。


 とりおおきく旋回せんかいする。


 その軌跡きせき沿うように、やみけていく。


 くろかくきしむ。


 つぶされるようにちぢんでいく。


 アサのむねおくで、なにかががされる。


 ――いける。


 いまなら。


『そのやりかたじゃ、おまえさききる』


 いきまった。


「……なら、どうすれば」


 アサははじめていかける。


 老女ろうじょみじかわらった。


りな』


 あまりにも簡単かんたんう。


は、ひとつじゃない』


 つぎ瞬間しゅんかん


 とりちてくる。


 ぐに。


 アサのむねへ。


 ぶつかるのではなかった。


 うようにかさなる。


 その瞬間しゅんかんねつわった。


 さっきまでのとはちがう。


 ただはげしいだけではない。


 おもく。


 ふかく。


 るがない。


『それでりな』


 老女ろうじょこえひびく。


中心ちゅうしんはずすんじゃないよ』


 その言葉ことば同時どうじに、みちえた。


 くろかく


 ゆがみの中心ちゅうしん


 そこへ――


「――ッ!」


 たたむ。


 内側うちがわからく。


 そとではない。


 もっとおくから。


 かく悲鳴ひめいげる。


 ひびがはしる。


 くだける。


 くずれる。


 ――れる。


 ひかりひろがった。


 やみえる。


 おともなく。


 跡形あとかたもなく。


 完全かんぜんに。


 静寂せいじゃくおとずれる。


 アサはおおきくいきいた。



『――おまえ


 ばれる。


は?』


「……アサ、です」


 一瞬いっしゅん沈黙ちんもく


 それから、ひくうなず気配けはい


『アサ、か』


 そのを、はかるように。


『……ちすぎているね』


 ぽつりと。


 だが、その一言ひとことおもい。


『そのままじゃ、いずれわれるよ』


 さらりとう。


 まるで、たりまえのことのように。


 アサのいきまる。


『おまえ一日いちにちでもはやく、こっちにな』


「……わたし……んだんですか?」


 こえが、かすれる。


 老女ろうじょが、はなわらった。 


馬鹿ばかうんじゃないよ』


 あっさりと。


『おまえなせたら、ミナギの坊主ぼうずなんわれるか』


 すこしだけ、あきれたように。


 だが――


 どこか、やさしい。


『どちらにせよ』


 ひといき


『おまえに、ゆっくりえらんでいるひまはない』


 るようにう。


 意味いみは、からない。


 そして――


 ふっと、こえ調子ちょうしわる。


『ほら』


 かるく、かすように。


『さっさときてやりな』


 なんでもないことのようにう。


にそうなかおしてるやつが、一人ひとりいるだろ』


 あまりにもあっさりと。


 だが、その一言ひとことで――


 現実げんじつが、せられる。


 ミナギのかおが、脳裏のうりかぶ。


 くるしげにゆがんだ表情ひょうじょう


「……ッ」


 いきまる。


 老女ろうじょが、はなわらう。


『まったく、のかかる』


 あきれたように。


 だがどこか、たのしんでいるように。


『――じゃあね』


 かるく。


ってるよ』


 こえとおざかる。


 ひかりがほどける。


 ねつが、現実げんじつへともどされる。


 そして――


 アサの意識いしきは、もどった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。