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粥
粥は薄く、具も乏しい。
木椀の縁に、わずかな欠け。
本来なら、指で掬っても咎められぬような粗末な食事だった。
だが――
ミナギの手は、違った。
匙を持つでもなく、箸でもなく、指先と器の角度だけで、粥を乱さずに口へ運ぶ。
一度も零さない。
一度も音を立てない。
そして、食べ終えた後の椀には、粥の跡がほとんど残らなかった。
まるで最初から、そう設えられていたかのように。
無駄が、ない。
アサは、ふと気づく。
粗末な器が、その手つきに追いついていない。
器の方が、そぐわないのだ。
何も言わぬまま、アサは目を伏せる。
見てはならぬものを、見てしまった気がした。




