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アマガタリ  作者: ひよりの
第一章
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赤い石


 むらにはいしがあった。



 ――あか瑪瑙めのう



 それは、のようにく、のようににぶひかっていた。


 ひかりつよくはなかったが、はなすことをゆるさぬおもさをっていた。


 そのいしは「神子みこ」のみがつことをゆるされていた。


 いま、その役目やくめにあるのは、アサのははカヤであった。


 カヤはうつくしかったが、寡黙かもくおんなだった。


 日々(ひび)言葉ことばはほとんどなく、意思いしくちにすることは滅多めったになかった。


 そのはいつもとおくをていた。


 アサがそばにいても、ははとしての自覚じかく感情かんじょうをはっきりしめすことはなく、あたかも彼女かのじょ世界せかいにアサはとどかぬもののようにうつった。


 その距離きょりのせいで、アサの孤独こどくはひそやかにつのっていった。



 ――だがまつりのになると、彼女かのじょわった。


 大岩おおいわまえち、あしをゆっくりとすと、はは身体からだは、あたまからこしかた指先ゆびさきいたるまで、全身ぜんしん波打なみうほのおのようにらめいた。


 もりはそのらぎにふるえ、つめたい空気くうきさえねつびる。


 空気くうきるたび、指先ゆびさきから火花ひばなのような律動りつどうひろがり、かたこしうごきがほのおをさらにたせる。


 アサには、それが自分じぶんまでがるかのようにかんじられた。


 もりひかりかげかぜまでもみ、はははもはやひとではなく、ほのおそのものとして、圧倒的あっとうてき存在感そんざいかんはなっていた。



 ――つぎ瞬間しゅんかん、アサはふと見張みはった。


 ははむね瑪瑙めのうが、薄暗うすぐらやみなかで、まるでいきをするかのようにあかにじみ、あわかがやきをびていたのだ。


 いしそのものがははまいこたえるかのように。


 アサはおもわずいきみ、そのひかりばしたくなる衝動しょうどうおぼえた。


 村人むらびとたちはみなこうべれた。


 アサは、その光景こうけいをただていた。


 ほこりとも、おそれともつかぬ感情かんじょうが、むねおくしずかにひろがっていた。


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