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労働――午前
午前の仕事は、殊更容赦がなかった。
水場と厨房との間を、アサは何度も往復する。
桶に満たした水は、思いのほか重く、肩と腕にずしりと圧をかけた。
だが、立ち止まることは許されない。
床を掃き、器を洗い、布をすすぐ。
指先はすぐに荒れ、ひび割れた皮膚に水が染みて、じくりと痛んだ。
乾かした衣を取り込み、ほつれを見つけては繕う。
針を通す手はぎこちなく、布を滑らせるたびに小さなため息が漏れる。
糸が絡まったり、何度も縫い直すうちに、手先だけでなく心まで疲れ果てていく。
それが終わると、次は魚を裂く作業に移る。
刃を入れるたび、ぬめりが指に絡みつき、血と内臓の匂いが立ち上る。
それを拭う暇もなく、ただ手を動かし続ける。
腰が、重い。
屈み、立ち、運び、また屈む。
その繰り返しが、じわじわと身体を削っていく。
侍女頭の視線が、背にある。
無駄な動き、遅れ、わずかな粗も見逃されることはない。
「――遅い」
「そこ、汚れが残っている」
低く抑えた声が飛ぶたび、身体が反射のように動いた。
考える余地はない。
ただ命じられるままに動き、次の作業へと押し出される。




