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アマガタリ  作者: ひよりの
第一章
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32/46

守る者



 みや空気くうきは、まだいくさ余熱よねつびていた。


 そのなかで、そのすべてをけるかのように、ミナギはまることなくうごつづけた。



 そと瞬間しゅんかん空気くうきわる。


 ひかえていたへいたちが、一斉いっせいこうべれた。


「ミナギさま


 その一人ひとりすする。


 かおにはいま疲労ひろういろい。


「――報告ほうこくを」


 ミナギはまらない。


 あるきながら、う。


「……焼失しょうしつした集落しゅうらくは、いつつ」


生存者せいぞんしゃは、わせて三十七さんじゅうなな


負傷者ふしょうしゃ多数たすう


 淡々(たんたん)としたこえ


 だが、その一語一語いちごいちごおもい。


遺体いたいは――」


 わずかに、言葉ことばまる。


「……ほとんどが、焼損しょうそんしております」


 あしが、まった。


 沈黙ちんもく


 かぜが、ひくとおける。


 ミナギは、せた。


 ほんの一瞬いっしゅんだけ。


 そして、すぐにかおげる。


を、ひろえ」


 へいかおげる。


判別はんべつできるものは、すべてだ」


 ひくく、るがぬこえ


もなくかれることはゆるさん」


 空気くうきが、まる。


「――すべて、とむらえ」


 へいふかあたまげた。


「はっ」


 ミナギはあゆみを再開さいかいする。


らえたものは」


「は……数名すうめい


ころしておりません」


 わずかな緊張きんちょう


 ミナギは、即座そくざこたえた。


くちらせろ」


 そのこえに、まよいはなかった。


「だが――」


 一瞬いっしゅんだけ、言葉ことば区切くぎる。


無意味むいみこわすな」


 へいが、ぴんとびる。


「はっ」


 さらにあるく。



 回廊かいろうさきかれているのがえた。


 そのまわりに、いくつかのかげ



 ――ひとだ。



 ぼろぬののようによごれたころも


 すすにまみれたかお


 あしきずるものだれかにささえられているもの


 いたおんなが、くしている。


 なにかをさがすように、ただおな場所ばしょつめていた。


 こえとどかない。


 だが、その姿すがただけで十分じゅうぶんだった。


 ――すべてをうしなったものたち。


 ミナギは、あゆみをゆるめない。


 ただ一度いちどだけ、その光景こうけい視線しせんける。


 らさない。


 めるように。


 そして、そのまままえいた。


「……食糧しょくりょうまわせ」


生存者せいぞんしゃ優先ゆうせんしろ」


 次々(つぎつぎ)くだされる指示しじ


 よどみはない。


ふゆせぬものすな」


 最後さいご一言ひとことだけが、わずかにひくちた。


 へいは、ふかこうべれたままこたえる。


御意ぎょい


 ミナギは、あしめない。


 そのは、もはや一人ひとりおとこのものではなかった。


 まもるとめたものを、現実げんじつとして背負せおもののそれだった。


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