ささやかな宴
日は傾き、火が起こされた。
村の中央に小さな火がいくつも焚かれ、食べ物が持ち寄られた。
焼いた川魚の香ばしい匂いが立ち上り、鍋では、粟の粒がふっくらと煮え、煮た根菜――ヤマノイモやカブ、ワサビダイコン――の匂いが漂った。
タラの芽と粟とをまぜて発酵させた、醪酒も振る舞われた。
宴と呼ぶにはささやかなものだった。
誰もがミナギを見ていたが、誰も近づきすぎようとはしなかった。
ミナギは人の輪の中心にいた。
籠の中から、小さな石や玉、色漆で飾られた管玉、簡素に編まれた貝や骨の装飾品を取り出し、軽く指先で撫で、揺らして光を確かめる。
品を掲げて見せると、火の明かりに反射してキラキラと輝いた。
それを見て、村人たちは思わず息を呑んだ。
「これは何の貝だ?」
と年寄りが尋ねる。
「タカラガイだ」
とミナギは答えた。
「これは縞模様が面白い。色合いを揃えて並べると、管玉や骨の装飾品と組み合わせて面白い模様が作れる」
と小さく笑いながら示すその仕草には、遊び心と余裕が感じられた。
少しずつ、村人たちは恐れを押さえ、装飾品を手に取るようになった。
火の揺らめきと香りが漂う夜の広場で、ミナギの飄々とした存在感は、村人たちの緊張を少しずつ解きほぐしていった。
その後もミナギは愛想よく笑い、村人から尋ねられれば応え、求められれば品を見せた。
アサは、その少し外にいた。
火の明かりは届いていたが、輪の中には入っていなかった。
木の腕を手に取り、同じく木でできた匙で静かに口に運ぶ。
だが、視線はときどき、ミナギの方へ向いていた。
ミナギもまた、何度かこちらを見た。




