表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アマガタリ  作者: ひよりの
第一章
PR
16/46

奔流


 やがて、みや大広間おおひろまに人があつめられた。


 臣下しんか。  


 へい。  


 雑役ぞうえきものいたるまで。


 普段ふだんしずかなそのが、ざわめきにちる。


 なにきるのか。  


 なにげられるのか。



 やがて――おとちた。


 ひと気配けはいが、すっと一方向いっぽうこうる。


 隼比古はやひこあらわれた。


 ゆるやかな足取あしどりで、広間ひろま中央ちゅうおうすする。


 ころもととのえられ、姿勢しせいくずれない。


 そのあゆみには、すでに「せる」意識いしきがあった。



「――け」


 ひくく、よくとおこえ


 それだけで、ざわめきがえる。



ちちは――狗奴国くなこくによるものだ」


 その一言ひとことで、空気くうきわる。  


 動揺どうようは、べついろへとてんじる。   


 ざわめきが、するどくなる。


りの最中さいちゅうねらい、よりられた」


 く。


卑劣ひれつだ」


 だれかが、らした。


 こぶしにぎおとが、あちこちでひびく。   


 いかりが、かたちはじめる。


 隼比古はやひこは、その変化へんかのがさない。


 一歩いっぽす。


おうころされて、もくしているか」


 こえが、つよまる。


「このまま退けば、われらはあなどられる」


 視線しせんめぐらせる。


 ひとりひとりを射抜いぬくように。


つぎだれられる」


 しずかに、だが確実かくじつおそれをとす。


「このか」


 広間ひろまゆかを、あししめす。


「おまえたちのいえか」


 ――沈黙ちんもく


 だが、その沈黙ちんもくは先ほどのものとはちがう。  


 ころされたいかりと不安ふあんが、そこまっている。


「――つ」


 みじかく、る。


へいす」


 その言葉ことばが、火種ひだねとなる。


かたきて――」


 だれかが、ひくつぶやいた。  


 それがひろがる。


かたきて!」


狗奴くなて!」


 こえかさなり、うねりとなる。


 隼比古はやひこは、その中心ちゅうしんっていた。  


 かおには、たしかな昂揚こうようかんでいる。 


ちからせ」


 うでひろげる。


「このくにのために」


 こたえるこえは、もはや統制とうせいされていない。  


 いかりとねつが、たしていく。



 ミナギは、その後方こうほうってていた。


 ひとながれが、ひとつの方向ほうこうそろっていくさまを。


 いかり。  


 おそれ。  


 熱狂ねっきょう


 それらが、ゆっくりとからい、たばねられていく。


 視線しせんを、わずかによこながす。


 臣下しんかのタヅマが、おなじようにこのていた。


 いてなお、じょうながされず機微きびる、なき視線しせんで。


 ミナギは、わずかにいきいた。


 ――もうまらぬ。


 その確信かくしんだけが、しずかにむねちた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ