再会
第6話です。
ここから少しずつ、物語も終わりに近づいていきます。
「……助け……!」
かすかな声を頼りに、レイは森の奥へと走る。
ミリアもすぐ後ろをついてきた。
「こっちだな」
方向は間違っていない。
やがて、木々の向こうに人影が見えた。
「……あれは」
ミリアが息を呑む。
そこにいたのは、数人の冒険者。
そのうちの一人が、膝をついている。
周囲には、倒れた仲間たち。
そして――
「くそっ……まだ来るのかよ……」
聞き覚えのある声。
レイは足を止めた。
「……ガルド」
思わず名前が口から出る。
「っ!?」
その声に、男が顔を上げた。
「レイ……?」
信じられないものを見るような目。
「なんで……ここに……」
動揺が隠せていない。
無理もない。
自分たちが追放した相手が、目の前にいるのだから。
「話は後だ」
レイは視線を前に戻す。
魔物たちが、じわじわと距離を詰めてきていた。
「まだ終わってないだろ」
その一言で、空気が変わる。
「……チッ」
ガルドは舌打ちするが、否定はしない。
それが現実だった。
「ミリア、下がってろ」
「はい!」
すぐに距離を取るミリア。
レイは一歩前に出る。
「お前……一人でやる気か?」
ガルドが眉をひそめる。
「ああ」
短く答える。
「足手まといがいると邪魔だからな」
「……は?」
一瞬、言葉の意味を理解できない。
「俺のことか?」
「他に誰がいる」
レイは振り返りもせずに言った。
その声音は、冷たくもなく、ただ事実を告げているだけだった。
「……っ」
言い返せない。
今の状況が、それを許さなかった。
「見てろ」
レイは剣を構える。
魔物が一斉に動いた。
「来い」
踏み込む。
速い。
だが――
「遅い」
軽くいなす。
流れるような動きで、一体を斬り伏せる。
続けざまに二体目。
三体目。
まるで流れ作業のように、魔物が倒れていく。
「なっ……」
ガルドの目が見開かれる。
信じられない。
自分たちが苦戦していた相手を、いとも簡単に――
「こんな……」
言葉が出ない。
あまりにも差がありすぎた。
「終わりだ」
最後の一体を斬り捨てる。
静寂が戻る。
「……は?」
ガルドは呆然と呟いた。
息一つ乱していないレイ。
それが、現実離れして見える。
「怪我人は?」
何事もなかったかのように、レイが振り返る。
「……あ、ああ……」
反射的に答えてしまう。
「いる……何人か……」
「なら、さっさと手当てしろ」
それだけ言うと、レイは剣を収めた。
「……なんで」
ガルドが低く呟く。
「なんでお前が……そんなに強いんだよ……」
その声には、困惑と焦りが混じっていた。
レイは少しだけ考え――
「さあな」
興味なさそうに答える。
だがその内心では、はっきりと理解していた。
(違うな)
強くなっただけじゃない。
“戻った”のだ。
本来の自分に。
「……っ」
ガルドは何も言えなかった。
ただ一つ、確かなことがある。
自分たちは――
とんでもないものを、手放したのだと。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
物語も少しずつ終わりに近づいてきました。
最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。




