出会いと新たな力
第3話です。
出会いは、偶然じゃない。
「……だいぶ慣れてきたな」
レイは森の中を歩きながら、軽く剣を振った。
体の動きが、以前とはまるで違う。
無駄がなく、自然に力が乗る。
「コピーしたスキル……完全に使いこなせてる」
ウルフの“高速機動”。
グレイウルフの“強化牙”。
どれも自分のもののように扱える。
「これ、どこまでいけるんだ……?」
そんなことを考えていた、その時だった。
「――っ、誰か……!」
かすかな声が、森の奥から聞こえた。
「今のは……」
迷う暇はなかった。
レイはすぐに駆け出す。
木々を抜けた先――
そこには、一人の少女がいた。
「くっ……!」
少女は地面に倒れ込み、必死に杖を構えている。
その周りを囲んでいるのは――三体のグレイウルフ。
「最悪だろ、これ……」
レイは小さく呟いた。
だが、足は止まらない。
「大丈夫か!」
声を張り上げながら、飛び込む。
「え……?」
少女が驚いた顔を向ける。
「下がってろ!」
レイはそのまま一体に斬りかかった。
「はあっ!」
高速で間合いを詰め、斬撃を叩き込む。
一体、撃破。
「なっ……!?」
少女が目を見開く。
「まだ来るぞ!」
残りの二体が同時に飛びかかる。
だが――
「遅い」
レイは軽く身をひねり、攻撃をかわす。
そして。
「これで終わりだ」
剣を振る。
――一瞬。
二体同時に、地面に倒れた。
「……すごい」
ぽつりと、少女が呟く。
「怪我は?」
レイは振り返る。
「あ、はい……少しだけ……」
少女は戸惑いながら答えた。
「なら大丈夫か」
ほっと息をつく。
「助けていただいて……ありがとうございます」
少女は丁寧に頭を下げた。
「気にすんな。たまたまだ」
レイは軽く手を振る。
「私はミリアといいます」
「……え?」
その名前に、レイは一瞬固まった。
「どうかしましたか?」
「あ、いや……なんでもない」
――同じ名前。
元パーティにいた回復役と。
(偶然、だよな……)
そう思いながらも、どこか引っかかる。
「レイだ」
短く名乗る。
「レイさん……」
ミリアは少し安心したように微笑んだ。
「一人でここに?」
「はい……薬草を取りに来たんですけど、思ったより魔物が多くて……」
「なるほどな」
レイは周囲を見渡す。
「この辺、確かに増えてるな」
ふと、考える。
ガルドたちのこと。
そして、この森の変化。
(何か起きてるのか……?)
「よかったら、町まで送ろうか」
「え、でも……」
「また襲われたら危ないだろ」
レイは当たり前のように言った。
「……お願いします」
ミリアは少しだけ迷ってから、うなずいた。
「決まりだな」
レイは歩き出す。
その隣に、ミリアが並ぶ。
「レイさんって、すごく強いんですね」
「まぁ……最近、ちょっとな」
苦笑する。
「さっきの動き、全然無駄がなかったです」
「そうか?」
「はい。見ていて安心しました」
その言葉に、少しだけ胸が温かくなる。
「……そっか」
以前は、そんなことを言われたことはなかった。
(悪くないな)
そう思いながら、レイは空を見上げる。
――新しい出会い。
そして、変わり始めた自分。
「これから、どうなるんだろうな」
小さく呟く。
その答えは、まだ誰にもわからない。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
偶然の出会いは、本当に偶然だったのでしょうか。
この先、少しずつ繋がっていきます。




