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魔王の娘〜元神獣と父探し冒険記〜  作者: 蜂蜜餡子
到着、ダンジョンの町ミルドワ
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92話 強敵の予感 その2

 

 グラーグ達がダンジョンへと潜ってから間も無く、事態は切迫した状況へと向かい始める。

 ダンジョン入口から響いて来た咆哮の正体がドラゴンのものだと言うミヤビとブラン。


 最強に数えられる種族の一つであるドラゴンが、ダンジョン低層のエリアで待ち構えているなど誰が考えるだろう。

 実際、その咆哮を聞いたエミリアの表情は驚きに満ちたものへと変わっている。


「今聞こえてきた咆哮は・・・い、いや、聞き間違いよ。そうに決まってる」


 言い聞かせるような言葉が口から漏れるエミリアに、リエルはハッキリと告げる。


「ミヤビが言うにはドラゴンの咆哮だそうです。恐らく襲われているのは・・・」


 そこで言葉を止めるリエルをみて、エミリアは息を飲む。


「・・・はっきり言わないで欲しかった」


 エミリアもその情報の出所が別の人間の口からでたものであれば“何を寝言を言っているんだ”位にしか考えなかっただろう。

 だが、目の前にいる少女は夢でも幻でもない現実。

 リエルが普通の少女では無いことをほぼ確信しているが故に、エミリアにはその言葉に疑う余地など微塵もありはしなかった。


 力ない言葉を口にしているエミリアと同様、リエルの表情も芳しいとは言い難いものになっているが、考えている事は少々異なっていた。


 〖さっきの人達、今からあたし達が急いだら助けられるかな?〗


 〖何ともいえんな。鱗一枚でさえ人間の兵士数百人と等価であると言われる程に、ドラゴンという種族は強いんじゃ。少なくとも、あんな低レベルな奴等でどうにかできるとは思えん〗


 〖逃げるくらいはできるんじゃないの?〗


 〖仮にドラゴンが属性を冠する様な種であれば、生きている可能性は低いものになるじゃろう〗


 〖つまり、種類によっては間に合う可能性があるのね?〗


 〖比較的に低位の種類であれば、或いは〗


 そこまで聞いたリエルの決断は早かった。


「エミリアさん、あたし達はさっきの人達を助けに行きます」


 その一言は頭を抱えて困惑していたエミリアも思わず大きな声をあげてしまう程、衝撃的な一言だった。


「ほ、本気で言ってるの!?相手はドラゴンなんでしょ!?リエルさんの従魔が強いのは分かってるつもりだけど、幾ら何でもドラゴンは危険すぎるわ!さっきの人達には悪いけど、私達にできるには一刻も早くこの事をギルドに報告する事くらいしか――」


「なら、それはエミリアさんにお任せします。あたし達は彼等を助けに行きますから」


「は、話を聞きなさい!そんな自殺行為を黙って見てる訳には行かないわよ!考え直しなさい!」


 〖自殺行為というのは違うが、助けに行く必要性を感じない点では妾も同じじゃな〗


 〖なんでよ!〗


 〖怒鳴るな阿呆。いいか?ドラゴンを倒したともなればお前は一躍有名人となる。それが妾達にとって望むべき状況でないのが分からん訳ではなかろう〗


 〖でも!助けられるかも知れない人を見捨てるなんて選択、あたしはしたくない!〗


 そう言い放ったリエルは反対するミヤビの言葉を無視してダンジョンの入口へ向かって走り出す。

 話の流れを聞いていたブランはしっかりと肩にしがみ付いていたのだが、念話ができず、リエルの耳元で銀の髪に紛れるような状態で大人しくしていたクエレではリエルの動きに対応できず、簡単にバランスを崩して振り落とされてしまった。


「グエッ!」


 地面に落ちた事で堪らず声を出してしまったクエレだが、幸いエミリアの注意は走り出したリエルに集中していた為、その声に気付くことは無かった。


 〖リエル様!?〗


 〖ええい!人の話を聞かん奴じゃ!大バカ者め!〗


「リエルさん!!ま、待ちなさい!!」


 制止を無視してダンジョンの中へと入って行くリエルを追うべく、ミヤビもその場から駆け出しダンジョンへと突入する。


 〖わ、私を追いていかないで下さい!!〗


 魔法の補助が無ければミヤビの俊足について行くのは厳しい事はナシタも自覚している。

 そこで、ナシタはそのままミヤビを追うのではなく、地面に転がっているクエレへと駆け寄り素早く口で拾い上げると、自分の背に乗せて小声で喋りかける。


「魔法の補助を。このままでは私達は置いてけぼりになってしまいます」


「ん!おっけー!」


 クエレはナシタの頼みを了承すると、ナシタに向けて小さく息を吹きかける。

 魔力が込められた息――クエレの【ドラゴンブレス】の能力の一つ、身体能力を向上させる効果を相手に付与することができるスキルで、その効果を受けたナシタからは強い威圧感が放たれ出す。

 離れた位置にいたエミリアもその迫力を肌で感じ、堪らず体が震えだしてしまっている。


 言葉もあげられない程に圧倒されているエミリアを他所に、身体能力を大幅に引き上げられたナシタは、背に乗せたクエレと共にダンジョンへと駆けて行く。


「・・・」


 残されたエミリアが呆然としながらその様子を見届け終えると、不意に頭上から声が聞こえてくる。


「そこの貴方ー?どうしたんですかー?」


 エミリアが顔を上げて見ると、壁に備え付けられた覗き窓から上半身を乗り出している人物がいることに気付く。


「何か問題でもありましたかー?」


 地面と窓の位置とは高さがある為、顔を出している人物はエミリアにしっかりと聞こえるように大声で話しかけてくる。

 その甲斐もあって、呆然としていたエミリアも、今自分が何をしなければならないのかを思い出し、声を大にして頭上の人物へ叫ぶ。


「ド、ドラゴンが!ダンジョンの中にドラゴンが現れました!急いでギルドに報告して下さい!!」


 しかし、その言葉が聞き入れられるには少々時間を要する事になる。







 とある建物の一室。

 見るからに高価そうな調度品が取り揃えられたこの部屋で、一人の男が机に向き合い作業をしている。

 机の上に積まれた書類へ目を通しては、何かをそれに書き込んで書類ケースへ、もしくはゴミ箱へと放り込んだりしている。


「・・・ふむ・・・これも良さそうだな」


 時折、書類を見ながら上機嫌で呟く様子が見受けられる。


 そこへ、部屋の扉をノックする音が聞こえてくる。


「イシュバル様、お忙しいところ申し訳ございません。冒険者ギルドの方が至急の面会を求めておりますが如何致しますか?」


「何、冒険者ギルド?・・・わかった。部屋に通してくれ」


「畏まりました。では、直ぐに案内致します」


 扉の前から離れていく足音を聞くと、イシュバルは机の上に置かれた飲み掛けのグラスに手を伸ばし、中の液体を一気に飲み干す。


「こんな朝っぱらからご苦労な事だな」


 そう洩らしてグラスを置くと、机の上に置かれた書類をケースへとしまう。

 再び扉がノックされる音が響くと、扉は直ぐに開かれる。

 だが、そこに現れた人物を見るや否や、イシュバルは露骨に表情を変化させる。


「おや?まさかフォルメル殿が直接来るとは驚きですな。ギルドマスターという仕事は余程お暇だと見える。羨ましい事だ」


「そうですね。できれば私も他の者に任せたかったのですが・・・なにぶん事が事ですので、こうして見たくもない顔を見に足を運ぶ羽目になった訳です」


 イシュバルの嫌味にもフォルメルは顔色一つ変えずに言葉を返す。


「ふん・・・それで?こんな朝早くに態々見たくもない顔を見に来た理由はなんだ?」


「はい。今回足を運んだのは他でもなく、この町のダンジョンで起きている異常事態の報告と、それに伴ってイシュバル様にお願いしたい事があってやってきた次第です」


「異常だと?なんだ、何があった?詳しく話せ」


 ダンジョンで異変が起きていると分かるや否や、イシュバルは机から身を乗り出しフォルメルに説明を促し始める。

 町の経済に多大な影響を及ぼすダンジョンに異常が起きたとなれば、その問題を解消せねばならい。

 それが町の領主であるイシュバルの役目でもある。


「本日、朝一番でダンジョンへと赴いた冒険者の一人が、ドラゴン種とおぼしきものの存在を察知したそうです。しかも、かなり上層の場所で」


「ドラゴン種だと?それは本当なのか?・・・言っちゃ何だが今まであのダンジョンでドラゴンが確認された事などあったか?どうせその冒険者の勘違いだろう」


「実績のある者からの報告ですので、恐らくそれはないかと」


「ん?それはつまり、まだギルドで確認は取れてないと?」


「まぁ・・・そういうことのなりますね」


 フォルメルの曖昧な返答にイシュバルは態度を一変させ、机を叩いて感情露わに声を荒げる。


「ならば、それをさっさと確認するのがお前たちの役目であろう!朝っぱらから何をしにやってきたのかと思えば、そんな確証もない話をする為とは!」


「勿論、確認は取ります。ですが、先に申し上げた通り、信用できる者からの報告なので間違い無いと私は判断してここへ来た次第です。それに、勘違いで済ませた結果、取り返しのつかない事態に陥るよりはずっと良いと私は思いますがね。相手はドラゴンなんですよ?イシュバル殿もその意味を理解できない訳ではないでしょう?」


 そう言われたイシュバルは何か言い返そう口を開きかけるが、続く言葉はでてこなかった。

 イシュバルは椅子へと腰を下ろすと、おいてある水差しからグラスへ液体を移すと、フォルメルを見る。

 結局のところ、ダンジョンに問題が起きたとなれば被害を被るのはこの町であり、ここに住む人間であり、領主であるイシュバルでもあるのだ。


「・・・それで、私に何をしろと言うんだ」


「ギルドでダンジョンへの侵入を制限する事はできませんので、領主であるイシュバル殿の名でダンジョンの立ち入り制限をかけて頂きたい」


「それは構わないが一つ条件がある」


 フォルメルからの提案はイシュバルも予想していたが、イシュバルとしては確証がない以上、町の目玉であるダンジョンの立ち入りを制限するという事はしたくない。


「ダンジョン内に出現したというドラゴン、そいつをさっさと確認してこい。確認が取れたら私の名でダンジョンの立ち入りを一時的に制限する事を約束してやる」


「・・・随分悠長な事をおっしゃりますね」


「ふん。お前が信用できる者だといっても、私にとっては事実かどうかは判断できないからな。だがそうだな・・・念のため、Dランク以下の者の立ち入り制限は直ぐにでもかけてやろう。Cランク以上の冒険者であれば、仮に遭遇したとしても逃げるくらいはできるだろう」


「・・・では、早急にお願い致します。こちらも直ぐにドラゴンの存在を確認する様に致します」


「そうしてくれ。既に行動にでているのだろう?」


「情報収集には行かせているので、彼なら遅くとも夕方までには何とかしてくれるでしょう」


「なら話は終わりだ。そいつが戻ってきたらまた報告にくるといい」


「・・・わかりました。では、後程」


 納得いかない思いはあれど、現状ではこれ以上望めない事を理解し、フォルメルは部屋を後にする。


 一人部屋に残ったイシュバルは、何やら腕を組んで考え込む仕草を見せている。


「ドラゴンか・・・」


 今、彼の頭の中で思案されているのはドラゴンの素材に関する事。

 強大な力を持つドラゴンの素材となれば、誰もが喉から手が出る程の代物。

 ドラゴンの出現を信じていないそぶりを見せていたイシュバルとて例外ではなく、その素材に強い関心を持つのは自然な流れである。


(居ないなら居ないで問題はないが、存在が確認されたとなったら案外儲け物かもしれんな)


 だが、特殊な例を除けば討伐したモンスターは討伐者に所有権がある。

 ドラゴンを討伐できるような上位の冒険者ともなれば物の価値を十分に理解しており、売って金に変えるといった使い方をする者は殆どいない。

 つまり、イシュバルがドラゴンの素材を手にする可能性はゼロに近い。


(金はかかるがドラゴンの素材とあれば惜しくはないか)


 イシュバルが呼び鈴を鳴らすと、使用人の一人が部屋へとやって来て頭を下げる。


「お呼びでしょうか?」


「クロムトの奴に依頼の連絡を取るように伝えてくれ。それだけ言えば分かる」


「畏まりました。早急にクロムト様へお伝えします」


 現れたメイドは一礼を返して退室する。

 再び静かになった室内で、イシュバルはグラスを片手に窓の外に目を向ける。


「・・・冒険者など腐る程いるのだ。其奴らが何人くたばろうがどうでも良い事であろうに」


 イシュバル・フォン・ミルドワール。

 この国の有力貴族であり、国から町を預かる事を認められた人物。

 しかし、裏では己の利益を追求し、その為なら他人など容易く切り捨てる男。


 窓から差し込む光に照らされる表情は本質を表すかの如く、歪んだ笑みが張り付いていた。







 薄暗く緩やかな傾斜が続く洞窟。

 辺りに漂う濁った魔素は不穏な空気を含んでおり、奇怪な形状をした昆虫達が壁に埋もれた魔鉱の仄かな光に集まっている。

 時折洞窟の奥から吹き付けられる風は、岩肌の起伏によって不気味な風音を響かせている。


 そんな中を突如、小さな人影が風を切るように走り抜けていく。


 〖ダンジョンって言っても、案外普通ね。変な虫は一杯いるけど〗


 リエルは初めてのダンジョンに対して率直な感想を口にする。


 〖そうですね。エミリアさんは地形階層型と言ってましたから、しばらくはこの洞窟のような地形が続いてると思いますよ〗


 〖ダンジョンって幾つ位種類があるの?〗


 〖すいません。私もそこまで詳しい方ではないのではっきりとは。ですが、中には広大な樹海型のダンジョンもあると私の父は言ってました〗


 〖それってただの森なんじゃないの?〗


 〖あ、あはは、ど、どうなんでしょうね?〗


 ドラゴンの表情はいまいち分かりずらく、リエルの瞳に映るブランの苦笑いは凶悪そのものである。


 〖全く・・・少しは不安を感じているかと思ったが・・・しょうもない奴等じゃのう〗


 後を走ってきたミヤビもようやくリエル達に追いつき、緊張感のない二人に呆れた様子で声をかける。


 〖渋っていた割にはちゃんと付いてくるのね〗


 〖お前達だけでは心配でゆっくりしておれんからな〗


 〖ナシタさんはどうしたんですか?〗


 〖まさか置いてきたの?〗


 〖置いてきたのはお前も同じじゃろうが。妾は悪くないぞ。人の話を聞かんで突っ走っていくお前が悪いのじゃ〗


 〖何よその言い草!確かにあたしも悪いかもしれないけど・・・でもあんただって――〗


 〖リエル様――!!〗


 言いかけたリエルに聞こえてきたのはナシタの声。

 リエルにしがみついているブランが振り返ってみると、視界の先では魔力の光で軌跡を靡かせながら猛追しているナシタの姿が確認できる。


 〖どうやらナシタさんは大丈夫みたいですよ〗


 〖随分と追いつくのが早いと思ったが、なるほど考えたな〗


 〖リエル様!遅れて申し訳御座いません!〗


 〖ううん、あたしの方こそ置いていってごめんね〗


 そう言って振り返ったリエルだったが、そこに居たのはリエルの知っている姿とはかけ離れた風貌をしているナシタであった。

 濃密な魔力を纏わせつつ、輝く体毛を風に踊らせながら圧倒的な存在感をその身から発している。


 〖ナシタ!?どうしたのそれ!?〗


 〖え、私だけの力ではお二人の速度にはついて行けませんので、クエレに頼んで能力強化を施してもらったのですが・・・どこかおかしいでしょうか?〗


 〖え、クエレに?〗


 ここの所喧嘩もせずにうまく付き合っていた事はリエルも目にしていたが、こうして目の届かない所でも二人が協力して物事に取り組む努力をしているのを改めて見ることができて、場違いながらもリエルは嬉しくなってしまう。


「そっか、クエレがやってくれたの。ありがとね。クエレ」


 感謝を伝えるリエルに、ナシタの頭の上でしっかりとしがみついていたクエレは上機嫌でVサインを返す。


「ここからはあたしがやるから、それやめてもいいわよ。正直かなり目立つし、誰かに見られたら大ごとになりそう」


 その言葉を聞いた瞬間、クエレ、そしてナシタの体がびくんと不自然に跳ねる。


「お、おっけー!だ、大丈夫!私はナシタのお願いを聞いただけだから何の問題もないわ!」


「あ!ずるいぞ!私のせいにする気か!?違うのです、リエル様!これは不可抗力です!」


「・・・あえて今は聞かない、聞きたくない。多分手遅れって事は予想できた」


 喜んだのもつかの間、すぐに次の問題を起こして来るあたりは考えものだと、頭が痛くなる思いに苛まれてしまうリエル。

 そんな緩みきった雰囲気の中、ミヤビの耳がピクリと反応する。


 〖そこまでじゃ。感知に反応がある。速度を落として念話に切り替えろ〗


「え?」


 予想外の言葉を受けて真抜けた声をあげてしまったリエル。


 洞窟に響くのは自分達の足音だけ。


 〖何も聞こえないけど、間違い無いの?〗


 〖なんじゃ、妾を愚弄するつもりか?〗


 〖違うわよ。だた、あんまりにも静か過ぎるから・・・〗


 リエルが驚いた理由。

 この反響性が高い空間でドラゴンの気配は愚か、戦闘が起きている音すら聞こえてこないという違和感から湧いた疑問だ。


 〖私も何も感じ取れませんが・・・距離はどれくらいなのですか?〗


 〖魔素のせいで察知するのが遅れたが、そう離れては・・・止まれっ!〗


 若干声のトーンを強めた口調でリエルの足を止めさせたミヤビ。

 少し先には今まで通って来た道と明らかに感じの違う大きな空間が広がっているのが確認できる。

 リエル達は近くの岩陰に身を隠すと、注意深く当たりを見渡し始める。


 〖近いの?〗


 〖・・・あそこじゃ。あそこの亀裂から気配を感じる。数から察するに先に此処へやって来た者達じゃろう〗


 〖つまり全員無事なのね?〗


 〖生きてはいる。ただ無事かどうかはわからんな〗


 〖生きているなら何でもいいわよ。怪我くらいならあたしの力で何とかなるでしょ〗


 そう言ってリエルは岩陰から身を乗り出して広場に足を踏み入れようとするが、それをミヤビは許さなかった。


 〖待て馬鹿者〗


 〖何でよ!無事なうちに助けてあげないと!〗


 〖さっき自分で言った事を忘れるでない。肝心の奴がどこにもおらんじゃろうが〗


 〖多分見失ってどっか行ったんでしょ!それより――〗


 〖いいから落ち着け!そうだとしても何の痕跡も見つからんのはおかしい!〗


 リエルの服に噛り付いて無理矢理に岩陰へと引き戻したミヤビは、再び周囲を探り始める。


(妾でも感知できない程のドラゴンじゃと?ええい!面倒な!じゃが――)


 自分でも感知できないようなレベルの存在から果たしてただの人間が逃げ切るなんてありえるのだろうか?

 一人困惑するミヤビ。


 だが、リエル達のいる岩陰の直ぐ傍で、不気味な瞳がその様子を観察しているのに気づく者は誰もいなかった。


お疲れさまでした。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

楽しんで頂ければ幸いです。


最近ちょっとした事情でモチベーションが低下中。

世の中、理不尽だと再確認。

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