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魔王の娘〜元神獣と父探し冒険記〜  作者: 蜂蜜餡子
到着、ダンジョンの町ミルドワ
91/99

90話 共鳴する意思

すいません。これ多分明日辺り加筆します。

書き終えている所で、区切りがいい所までの投稿になります。

遅くてすいませんです。


8/17 加筆しました!

 大男が筋肉の鎧をまとった太い腕を振り下ろすように突き出す拳は、リエルに向かって真っ直ぐと迫っていく。

 エミリアには先の大男の言動から、これが手加減が加えられた脅しの類ではない事が直ぐに理解する。


(こいつ!何考えてるの!?)


 エミリアは微動だにしないリエルを見て、腰に差していた杖に手を伸ばすが、男の腕がリエルに迫る速度は、とても魔法の詠唱が間に合うような速度では無かった。


「リエルさん!?よけ――」


 咄嗟に声を上げてリエルに避けるよう促すが、エミリアの言葉が最後まで発せられる前にそれは起きる。


 突如、視界に飛び込んできた黒い影によって一瞬の虚が生まれたと思ったら、次の瞬間エミリアの目に移ったのは地面を跳ねながら転がっていく大男の姿だった。


「「「――え?」」」


 何が起きたのか理解できなかったエミリアは、周囲の野次馬と一緒に間の抜けた声を上げてしまう。


 大男が野次馬の群れに地面を跳ね転がりながら突っ込んでいくのをその目で追っていたエミリアだったが、どうしてそうなったのかは理解できなかった。

 今、エミリアの瞳には吹っ飛んでいった男の代わりに、角の生えたフォレストウルフが臨戦の構えで陣取っている。

 その状況から、大男を吹っ飛ばした犯人がリエルの従魔――角付きのフォレストウルフである事は間違いないのだろうが、男と従魔との体格差は軽く見積もっても優に三倍はあるように見える。

 それほどの体格差があるにも関わらず、この従魔がどうやったらあの大男を軽々と退けることが出来るというのだろうか?

 何故、これ程までに規格外の存在とリエルのような少女は従魔としての契約を結ぶことができたのか?

 当然エミリアはその答えを持ち合わせてはいなかった。


(普通じゃない・・・この子、一体・・・)


 エミリアはこれでもランクCの冒険者で魔法使いとしてそれなりに名の通った実力者でもある。

 当然、命懸けの危機に晒された事もあるし、それを生き残ってここまでやってきた経験もある。

 だからこそ、エミリアはリエルに対して強い違和感を感じずにはいられなかった。


(もしかして・・・この子、見た目通りの年齢じゃない?幼そうに振舞っているのは全部芝居・・・?)


 リエルが人間では無いのは長い耳をみれば疑う余地はない為、エルフに近しい種族だという事は直ぐに分かった。




 一昔前ではその美しい外見を人間に狙われる事が多かったのもあり、人と関わる事を避けた閉鎖的な生活の中で生きてきたエルフ族だが、昨今では人間の町でもそれなりにその姿を見かける事が出来るようになってきている。

 その理由は人間のエルフに対する物の見方が変わった――というより、昔よりもまともな人が増えたというべきだろうか。

 ただ異種族だから、美し容姿がいい稼ぎになるからという人間の都合だけで捕らえ、奴隷として売買するという行為が愚かな行いだと声を上げられる人間が増えているのだ。


 勿論、元が犯罪者であったり、借金などといった、明確な理由がある者ならそれは仕方がない。自業自得というものだ。

 しかし、誘拐紛いの方法で集められた人材となれば別の話で、不当な方法で集められた奴隷を販売している事が発覚した奴隷商人は厳しく罰せられる事になり、捕まれば再起はほぼ不可能といっても過言では無いだろう。


 それだけのリスクがあっても違法奴隷の売買が無くならないのは、やはり欲望のなせる業とも言えるが。




「道を開けてください。ちょっと!・・・道を開けろ!」


 野次馬も静まり返っている中、リエルの後方から声が上がる。

 リエルが無造作に振り返って確認すると、集まった人々には何やら動きが見受けられる。

 やがて人の集まりが二つに割れると、その先には数名の兵士の姿が露わらになり、彼等は早足でこちらへと向かって来る。


「騒ぎを聞きつけてやってきたみたいね」


「・・・――やばっ!?」


 唖然としていた腰巾着の男もエミリアの言葉を聞いて我に返り、急いでその場から逃げ出そう体の向きを変えた次の瞬間――


「うぎゃふっ!?」


「グルルルゥ・・・」


 リエル達に背を向けた途端ナシタは飛び掛り、いとも簡単に男をうつ伏せで押さえつけて見せる。

 リエルは再び男の方へ顔を戻すと、低い唸り声を響かせながら、強力な圧抑で男を大地へと縛り付けているナシタへ声をかける。


 〖それ、胴当てのプレートがヘコんでるけど、手加減してるわよね?〗


 〖はい!死なない程度には!〗


 〖・・・やり過ぎじゃない?〗


 〖私はそうは思いません〗


 〖・・・ナシタ?〗


(ナシタの奴、よっぽど腹が立ったんじゃな。いちいちこんな輩を相手にしても何の得にもならんの言うのに・・・まぁ奴等も自業自得じゃから無理に辞めさせることもあるまいか)


 珍しく強い意志を示したナシタに微妙な感情を覚えるリエルだったが、ミヤビは心の中で因果応報という言葉を、転がってる男達に送る事にする。


「ちょっと君!その従魔は君のだろ!?すぐに辞めさせなさい!!従魔を暴れさせるなんて何を考えているんだ!?抵抗しないで大人しくしなさい!」


「・・・はい?」


 衛兵の言葉に疑問の言葉を返したリエルは首を傾げてしまう。

 何故、襲った相手ではなく自分が注意されているのか?それが理解できないといった感じの仕草だ。


「ま、待ってください。この子は襲われた方で――あっちにいるのが襲ってきた奴等ですよ!」


「何を馬鹿な・・・この状況を見ればどう見てもあの男性が従魔から暴行を受けている様にしか見えないだろ!」


「いやいや!だったら他の人にも確認しなさいよ!幾ら何でも考えが浅はか過ぎるわよ!」


「我々の仕事を侮辱するつもりか!?」


「はんっ!ざけんじゃないわよ!その程度で仕事してるって言うのならそれこそ労働に対する侮辱じゃない!」


「き、貴様!」


「何よ!!」


 エミリアが慌てて割って入ったかと思えば、たちまちリエルそっちのけで兵士と激しい問答を繰り広げ始める。


 〖・・・この状況を見ればどう見たってあたしが問題を起こしてる様に見えるわよね〗


 〖む?まさかとは思ったが、やはり此奴らは妾達を問題視してるのか。来たばかりとはいえ幾ら何でもその判断は無能すぎるじゃろう〗


 〖そうですね。私もまずは状況確認が最初だと思いますけど・・・。しかし彼女、意外と気性は荒っぽいみたいですね。ちょっと意外性を感じます〗


 〖うむ。中々度胸があるな〗


 〖・・・確かに〗


 兵士の要領の悪さに疑問を抱いたのは事実だが、それよりも衝撃的だったのは落ち着いたイメージを感じさせるエミリアが、ああもはっきりと啖呵を切って突っかかっている様はなかなか見応えがあるものだった。


 〖それと・・・ナシタさんを止めなくていいんですか?念の為やめさておいた方がいいのでは〗


 〖あー、そうね。ナシタ!いい加減その辺にしといてこっちに来なさい!〗


 ブランの助言を受けてリエルはナシタを呼び戻す。

 ナシタも命令を素直に聞き入れ、ようやく男を拘束していた前脚を退かして気絶した男の元からリエルの元へと戻ってくる。

 だが、素直に大人しく戻って来たのはもう一つ理由があった。


 〖先程から聞いていれば・・・あの兵士達、無礼にも限度があると私は思うのです!それなのに何故ミヤビ様は黙っておられるのですか!?〗


 すこぶる機嫌の悪いナシタは、リエルを悪者扱いにしている兵士を見ても行動を起こさないミヤビに対して不服を示す。

 その言葉が意外だったのか、ミヤビは目をパチクリさせた後、深いため息をつく。


 〖馬鹿じゃと分かっていたがここまでとはな・・・〗


 〖何を言うのです!私は愚か者ではありません!〗


 〖お前、ちょっとリエルから妾が受けてる強めのげんこつでも喰らってみるか?もしかしたら副作用で頭の回転がマシになるかもしれんぞ?〗


 〖・・・ちょっと、それどういう意味よ〗


 ミヤビの言葉にジトっとした目を向けるリエル。

 だがそこはミヤビ、全く気にする事なく話を進める。


 〖ナシタ、お前はあの兵士達を見ても妾が何とも思ってないと考えている様じゃが、別にそういう訳では無いぞ?少なくとも“頼りにならん奴等”位には思っておる〗


 〖・・・はい?〗


 〖して、わざわざそんなどうでもいい輩の相手をするメリットが何処にあるんじゃ?力で黙らせるのは簡単じゃが、リエルはそれを良しとする筈ないじゃろうが〗


 〖あたりまでしょ。あの程度でこっちから手を出したら、それこそ本当にお尋ね者になっちゃうわよ〗


 〖で、ですがリエル様!奴等は偉大な御方で在られるリエル様を侮辱しているのですよ!?どうしてそう悠長に構えていられるのですか!〗


 〖そう言われてもね。ナシタがあたしの事を大事に思ってくれてるのに悪いんだけど、あたしは別に自分が偉大だーとか、凄い存在なんだーとか思ってないのよね。けど、このまま連行されるような事になるなら文句の一つでも言うつもりはあるわよ?〗


 〖しかし、口を出そうにもあの様子ではな・・・〗


 リエル達は揉めに揉めて完全にヒートアップしてしまったエミリアと、その勢いにたじたじとなっている兵士の姿、挙句の果てにはその様子をはやし立てながら見物する野次馬に目を向ける。


 〖あそこに飛び込むのはちょっとね・・・〗


 〖ですが、こうしていても時間だけ過ぎてしまうばかりでどうにもならなそうですよ?〗


 〖う~ん・・・〗


 どうしたものかと困り果ててしまうリエル。


「ち、ちょっとあんた!?それはやりすぎだって!」


「きゃぁぁあっ!!」


「あ、あぶないぞ!!」


 その時、エミリアと兵士が騒いでる所とはリエルを挟んで反対の方向――ナシタがマーティンをふっ飛ばした先で鬼気迫るような声が上がる。

 何事かと思い振り返ると、その手に危険な光を反射させる大斧を握り、猛然と迫ってくるマーティンの姿が真っ先に飛び込んでくる。


「貴様!!何をやっている!!?」


 民衆の叫び声には罵倒合戦をしていたエミリアと兵士達も流石に気付き、兵士はすぐにマーティンを制止しようと声を張り上げるが、エミリアは一つの予感があった。


 激高したマーティンも兵士の言葉くらいで止まるような男ではなく、その歩みは速度を増し――


「ぶっ殺してやる!!このクソガキがッ!!!」


 リエルの間近までやってきたマーティンは怒りの咆哮を上げて大斧を振りかぶると、無防備だったリエル目がけて一瞬の迷いも無しに振り下ろされる。

 流石に振り下ろされる大斧は刃の背の部分をリエルに向けているが、大きさが大きさだけに当たれば唯では済まない事は間違いない。

 これから目の前に広がるであろう悲痛な光景をイメージしてしまった一部の民衆は即座に顔を背け目を閉じる。


 二人の距離はもはや目と鼻の先。

 大斧を避ける事は不可能だろう。


 誰もがそう思った。


 だが、それはあくまで一般的な人間同士での話。



 ヒュンッ――


 振り下ろされる斧に向かって銀の軌跡が走る。


 ギャリィィ・・・ン――


 次の瞬間、斧の刃は二つに割れ、その先端の部分はリエルを飛び越し地面に落ちると同時に金属音を周囲に響かせる。

 柄の方に残った金属部分もリエルに直撃する事はなく、眼前を掠める様に通り過ぎただけに終わる。


 目を背けずにいた者達でも何が起きたのか分かった者はおらず、目を背けていた者達も数秒前と同じ場所、同じ姿で立っている少女を確認して堪らず言葉を失う。


 だが、その変化に最初に気づいたのは少し離れた場所にいるエミリアだった。


「・・・きれい」


 少し上の方を見ながら出てきた言葉は水面に波紋を起こすかのように周囲へと浸透していき、野次馬達の視線はエミリアへ――次にそこから上空へと向けられる。

 その視線の先には、先ほどまで少女の肩にいたはずの小型の従魔が太陽の光を反射して美しく輝いてた。


 リエルの頭上、街路灯より少し高いくらいの場所にいたブランはゆっくりとその場を旋回している。


 マーティンの凶行をいともたやすく阻止したブランがやった事。

 そこには特別な事など何一つない、単純な動作。

 ただ斧に向かって飛翔し、背中に備えた翼を掠める様にすれ違った、たったそれだけの行為なのだが、龍の鱗と飛翔速度から生み出された破壊力は常識では測れない程の切れ味を実現し、大斧を握っていたマーティンに全く抵抗を感じさせること無く、それを切り裂いたのだ。


 ブランはゆっくりと高度を下げながらリエルの元へと戻ってくる。

 リエルが首を横に傾げると、ブランは広くなった肩に一度降りてから翼を畳み、先程までと同じ、リエルの肩から背面にかけておぶさる様な姿勢へと移行する。


 〖有難うございます〗


 〖思ったんだけど、その体勢で疲れないの?〗


 〖別に気になりませんよ?私はクエレさんよりサイズが大きいですから、ちょっとでも目立たない様にするとなれば仕方ありません。それに、こうしないとずっとリエルさんが首を傾げてる事になってしまいますので〗


 〖そう。それなら良いけど〗


 念話は他の当人達にしか内容を知る余地がないのもあって、周囲の人々には少女が傍らの従魔を見ながら立っている様にしか見えていない。

 勿論、リエル正面には呆然としているマーティンが立っており、その手には本来の使い方ができなくなった大斧が力なく握られている。


「な・・・なんだ・・・まえ・・」


 マーティンは微かに唇を動かし、微かな言葉を発する。

 依然として表情に変化をみせないリエルだったが、マーティンに顔を向けると少しそれが険しいものへと変化する。


「なんなんだ・・・おまえ・・・」


 マーティンはもう一度、先程と同じ言葉を口にする。

 だが、その答えを聞く事は敵わない。


「貴様!大人しくしろ!!」


 マーティンは駆け寄ってきた兵士によって地面へ押し倒されると、即座に縄を打たれて体の自由を奪われるのだった。







「うわ~・・・近付くにつれて薄々分かってはいたけど、ホントに大きいですね」


 〖うむ。壮観とまでは言えんがこれは中々・・・〗


 〖空からみた感じとは違い、近くで見ると圧倒されてしまいますね!〗


 〖リエル様!早く!早くいきましょう!〗


 今、リエル達がいるのはギルドから歩いて10分程離れた町の一画。

 高くそびえ立つ頑丈そうな石壁にはいたる所に魔術に使われる法陣が描かれており、唯一この場所だけにあるアーチ状の入り口には大きな金属製の扉が取り付けられ、衛兵とギルド職員によって厳重に出入りを管理されている。


 そう、ここはこの町のダンジョンがあるエリアだ。


 先を歩いていたエミリアは足を止めて振り返り、リエル達が全員いるのを確認してから口を開く。


「ここが、この町のダンジョン!通称【大地の洞】と呼ばれている【地形階層型ダンジョン】の入り口よ。予想外の出来事で時間を食ったけど、そこまで混雑はしてないみたいで安心したわ」


「何かすいません。ご迷惑をおかけして」


「あぁ、違う違う!そういう意味でいったんじゃないのよ。正直言えばあの手の連中は少なくないから。ただ・・・ほんとによかったの?」


「何がですか?」


「あの大馬鹿者達の事よ」


 エミリアが言っているのはマーティン達の事だ。


 冒険者を襲撃し、あまつさえ武器を使ってまで凶行に及ぼうとしたマーティン達は軽めに見てもしばらく牢獄からは出てこれないだろうとエミリアは考えてた。

 だが、兵士達がマーティン達の連行と経緯の説明も兼ねてリエルに同行を願った時、リエルが返した言葉はエミリアが全く予想していないものだった。

 なんとリエルは”自分には何の被害もないので、こんな事を二度としないと約束できるならそれでか構わない”と言い放ったのである。

 もちろん兵士は判断に困った様子をみせるが、リエルは”冒険者同士の争いは基本、当人同士で解決するのが望ましいのでは?”とギルドカードを見せながら続けてみせる。

 その後も何やかんや兵士との問答を繰り返したリエルだが、最終的にはマーティン達に謝罪の言葉を引き出させるまでに持っていったのである。


「あの人達に時間を掛けるのは勿体ないですから」


「・・・ほんと、とんでもない子ね」


 若干呆れた顔を見せたエミリアだったが、リエルの言っている事も理解できる為それ以上の言葉は出てこなかった。


「それで、エミリアさん。もうすぐに入れるんですか?」


「えぇ、あの様子なら許可証とギルドカードを提示すればすぐに入れると思う。まぁ口で説明するより行った方が早いわね。念のため聞くけど、準備は大丈夫?」


「はい。始めてなので何が必要なのかは完全には把握できてませんけど、最低限の物は揃ってると思います」


「そうね、初めてだし、様子見くらいでいきましょ」


 そういってエミリアはリエル達を先導する様にアーチへと歩き出す。


 そこからはエミリアの言った通り、すんなりと受付は終わり、待機していた他の冒険者達の元へと案内されると、全員まとめて扉の前まで移動させられる。


「この扉の先はすぐにダンジョンへの入り口になっているからね。町の安全を考え、纏めて中へ送り込む事で扉を開く回数を制限してるのよ」


「へぇ~。やっぱりダンジョンのある町というだけあって、しっかり考えられているんですね」


「スタンピードなんかが起こったら、一般の人ではどうする事も出来ないからね。っと、そろそろ扉が開くわよ」


 エミリアがそう言うと、一人の兵士が冒険者集団の前までやってくる。


「それでは、入り口を開きます!扉が開いたら速やかに中へと移動してください。ご健闘をお祈りしています!」


 兵士はそれだけ言うとさっとその場から離れて合図を送る。

 すると鎖が巻き上がる大きな音が周囲へと響き、正面にあった巨大な扉は徐々に両開きとなり奥の様子を露わにし始める。

 その先には大地から上半分がせりあがったような巨大な岩があり、その中心には中へと続くであろう真っ暗な闇が口を広げているのを確認できる。


 〖あれがダンジョンの入り口・・・〗


 〖う~む。正直大した事無さそうじゃなこれは〗


 〖そうなの?〗


 〖対して強い魔力を感じないからのぉ〗


 〖それでも私は楽しみです!リエル様!存分に働かせて頂きます!〗


 〖ナシタ。エミリアさんがいるんだから加減しないとだめだからね〗


 鎖の擦れる音が止まると、兵士の声が響く。


「どうぞお入り下さい!お気をつけて!」


 冒険者達が次々扉を越え始め、リエル達とエミリアもそれに続く形でアーチを潜る。


 だが、リエルが扉を潜った瞬間――



 ―――ゴゴゴゴオオオォォォォ!!・・・



 大地の震動と共に大きな地響きが周囲に鳴り響く。


 それとほとんど同時にクエレがリエルの胸ポケットから飛び出すと、何やら慌てた様子でリエルの胸元をよじ登り、耳元までやってくるとそのまま耳打ちする。



 そこでクエレがもたらした情報は、リエル達初めてのダンジョン探索に大きな影響を与える事となるのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ちょっとでも楽しんで頂ければ幸いです。

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