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魔王の娘〜元神獣と父探し冒険記〜  作者: 蜂蜜餡子
到着、ダンジョンの町ミルドワ
88/99

87話 いい人と悪い人

誤字脱字は時間があるときにでも!

 

 如何にもな服装をした男が馬車から降りた所で顎に手を当てつつ、リエル――正確にはリエルが連れている従魔を観察している。

 その視線を受ける者は到底良い印象は覚えないと言い切っても良い、相手を見下す下卑た物だった。


「おい娘、それはお前の所有物で間違いないか?」


「・・・いきなり何ですか貴方は?」


 男の言葉に不快感を露わにするリエル。

 呼び止められた時の言葉から、所有物の指すところはミヤビ達のことだと解釈したが、そんな物言いをする輩に素直に答えるつもりなどリエルには無かった。


「ほう・・・貴様、エルフの様だが随分な態度をするじゃないか」


 男はリエルがエルフだと分かった途端、値踏みするかのような視線を向けながら近づいていく。


 通りを往来する人達も、男と従魔連れの少女との間に不穏な空気が漂い始めているのを見て、足を止めて様子を伺う者や急いでその場を離れる者など反応は様々だった。


「まぁいい、今はそっちの方だ」


 男はリエル達の側までやってくると、その肩に佇む従魔を覗き込むようにして確認し始める。

 そして男は遠巻きに見たときはまさかと思う程度だった自分の考えを確かめるべくリエルへと問いかける。


「やはり・・・その肩に連れているのはドラゴンだな?」


 その一言でたちまち周囲の者達から驚きの声が上がり始める。

 ダンジョンが町の中にある変わった性質上、町の住民もただの従魔位ではそこまで驚くような事もなかっただろうが、それが最強の種族と名高いドラゴンとなればその反応は変わってくる。


 無論、少女がどんな反応を返してくるのかに周囲の者達の興味が集中するのも当然のことであった。


「・・・貴方に関係ある事とは思えませんので。失礼します」


 周囲の期待とは裏腹に、リエルは一言だけ言い放つと男に背を向けてその場から歩き出す。


 従魔を連れている事で周囲からの視線は覚悟していたリエルだが、ブランが本物のドラゴンだとここで明らかにしてしまうのは流石に不味いと判断してさっさとここから立ち去る事を選ぶ。


 だが、男はそれで済ますつもりなどなく、直ぐにリエルの肩へと手を伸ばし待ったをかけてくる。


「まて!私の話はまだ終わっていな――貴様っ!先程から無礼だぞ!私が誰だか分かっているのか!?こちらが下手にでていればつけあがりおって!」


 男は少女の肩を掴かみ無理矢理自分の方へ振り向かせると、まくし立てるように言葉を吐き出し始める。


「貴様等エルフは大人しく人間の言うことを聞いていれば良いのだ!分かったらさっさと首輪の支配権を寄越せ!」


「何です?こんな道の真ん中で。一体何を騒いでるんですか?」


 男が乗っていた馬車から新たに姿を見せたのは丈夫そうなブレストプレートを装備し、腕や足にもしっかりとした部分鎧を身につけた、一言で言うなら騎士と呼ぶのが適切と思われる格好の男性であった。

 騎士はゆっくりと男の元へと歩いて来ると、その影にいた騒ぎの原因と思われる少女を視界に納めると訝しげな表情で男をみる。


「イシュバル様、一体何の騒ぎですかこれは?」


「そんな顔をするな。別に大した事ではない」


 騎士は少女の連れている従魔の一匹、フォレストウルフの様な外見をしている魔獣の様子から、イシュバルが問題を起こしているのを直ぐに理解する。


「大した事ではない・・・ですか?私が見る限り、その言葉が当てはまる状況ではなさそうですが?」


 騎士から見れば毛を逆立て低い唸り声を上げている一匹の従魔は、どう見てもイシュバルに敵意を向けている様にしかみえず、少女の表情にしてもとても好意的とは言えないのは明白だった。


 イシュバルと呼ばれた男は自分に掛けられた騎士の言葉を意に介す事なく、リエルに向かって喋りかける。


「さて、分かっただろう?ここでこうしているのは周囲の者に迷惑をかける事になる。分かったら君の連れているドラゴンの所有権を譲りたまえ。金ならほら――」


 イシュバルは懐に手を突っ込むと、金属が擦れ合う音を響かせる袋を取り出し、口を縛っている紐を解いて中を見せるようにリエルへと向ける。

 袋の中身は黄金の光を反射させ、それが全て金貨だろう事を見る者に思わせる輝きを放っている。


「金貨が50枚入っている。お前にとって十分すぎる大金だろう?」


 金貨50枚と言うイシュバルの言葉は、周囲にいる野次馬から騒めきを起こさせるのに十分な情報だった。


「さぁ、これを受け取り、お互い有意義な取引を成立させようじゃないか」


 嫌らしい笑みを見せているイシュバルだったが、隣にいる騎士は呆れた様子でイシュバルに決定的な勘違いをしている事を指摘する。


「無駄ですよ。その方の従魔はしっかりとした契約で結ばれた魔獣です。幾らお金を積んだところでイシュバル様の言う事を聞くことはないと思いますよ」


「何を馬鹿な事を言っている。こんな小娘がこれほどの魔獣と契約など出来るはずがないだろう。首輪でも使わない限りそんな事は不可能だ」


「ですが、どう見てもあの従魔達は首輪をつけている様には見えませんが?それに、彼女には失礼ですが、従属の首輪なんて高価な物をこれだけ揃えられる様には見えませんよ」


「だからと言って、みすみすこの機会を逃すのも勿体ないでは――」


 イシュバルはギャーギャー言い始めるのだが、騎士の方は涼しい顔でその言葉を聞き流している。


(逃げるなら今かし――ん?)


 ここを離れる算段を考えている時、騎士の男は妙な動きを見せている事に気づいたリエル。

 その動きはイシュバルからは死角になっている位置で行われていて、何かをアピールする様に忙しなく手首を動かしていた。


 〖行けってことかしら?〗


 〖まぁあのイシュバルとかいう奴とは真面に話をしても不愉快な気分にされるのは目に見えておる。それにいまにも暴れだしそうな奴も居るし、ここはあの騎士の好意に預かるのがよかろう〗


 〖そうね。ほらナシタ、あんなの放っておいて良いわよ〗


 〖・・・畏まりました〗


 リエルは騎士に向けて軽く頭を下げると、野次馬のいない路地の方へと向かって歩いて行く。


(宿から離れちゃうけど・・・あの人混みの中は通れないからしょうがないわね)


 早い所落ち着ける場所へと移動したかったのが本音だが、こうも人目が集中しているうちは迂闊に宿に入るわけにもいかず、リエルはようやく見つけた宿屋を断念し、騒ぎの現場から素早く姿を消す。



 一方、今だに騎士に向けて口上を続けていたイシュバルが、ようやく周囲の様子が変わった事に気づき言葉を切る。

 振り返れば自分が話していた少女の姿は何処にも居らず、慌てて周囲を見渡してもそれらしい影を捉えることは叶わなかった。


「おい!あの娘は何処へ行った!?」


 直ぐに騎士の男に問いただすイシュバルに、騎士は肩を竦め首を左右に振る。


「この役立たずが!!誰か!さっきの娘が何処へ行ったか見たものは居ないか!?答えたものは報酬をやるぞ!」


「イシュバル様!その辺にしておいて下さい!私も流石に相手にしてられませんよ」


「何だと!?貴様、雇われの分際で――」


「雇われた立場だからこそ、雇い主に及ぶ危険を避けるべく、貴方の身勝手行動を制止してるんですよ。自分がどういう立場の人間なのか忘れた訳ではないでしょう?」


 被せる様に放たれた騎士の言葉で動きを止めたイシュバル。その無言で騎士を見る顔からはハッキリと苛立っているのが分かるが、イシュバルは何かを言い返す様な真似はせず、乗っていた馬車へと向かって歩いていく。


「ええい!邪魔だ、退け!!」


 怒鳴られた者達が割れる様に道を開ける中、イシュバルは止まる事なく歩いて行き、馬車へと乗り込むと扉を勢いよく閉める。


(やれやれ・・・報酬は良いんだけど、やっぱこの依頼、受けるんじゃなかったなぁ)


 騎士がイシュバルの後に続き、馬車へと乗り込んだのを確認すると、御者は馬を走らせるのだった。





 表の広い通りとはだいぶ雰囲気が変わった静かな通りを歩いているリエル達。

 日も落ち切りそうな頃合いなのだが肝心の宿が見つからず、辺りを良く確認しながら街の中を見て回る。


(さっきの騒動さえ無ければ今頃は個室でゆっくりできてた筈なのになぁ・・・でも――)


 さっきの出来事に思う所はあったが、こっちの通りに来る結果になった事はリエルにとって不幸中の幸いだった。


(やっぱり、この街の人ってあんまり従魔に過剰な反応をしないわね。ミヤビの言う通り、従魔を連れた人がそれなりに来るって事なのかな?)


「はぁ、ご飯はまだなのー?良い加減に疲れちゃったわ」


「リエルの頭の上で寝そべってるだけで疲れるはずなかろう。寝言を言うでないわ」


「そうは言ってもねぇ。何もできないって言うのは疲れるものでしょ」


「こっちの通りは静かで雰囲気は好みなんだけど、その分あっちの通りと比べるとお店の類が少ないみたいよねー」


「宜しければ上空から周囲の建物を確認して参りましょうか?」


「いや、それはやめておいた方が良いじゃろう。先程の一件からそれ程時間も経って居らんのじゃ。わざわざ騒ぎになるリスクを負う――む?」


「・・・やや?」


 ふと、何かを感じ取ったのか言葉を止めるミヤビと、同時に反応するナシタ。

 二人は頻りに辺りを見渡し何かを探し始める。


「どうしたの?」


「いや・・・美味そうな匂いが・・・いや、この香りは・・・ナシタ、お前はどうじゃ?」


「正確な位置までは分かりかねますが・・・こちらからでしょうか?」


 ナシタは鼻をスンスンと鳴らしながらリエルの前を先導する様に歩き出すと、匂いを頼りに静かな通りを進んでいく。


「あ、もしかしてこの匂い?確かに美味しそうな匂いだけど、未体験の匂いだわ」


「ほんと!何かしらこれ!?」


「肉の焼ける匂いとは違う感じですが、確かにこれは良い香りがしますね」


 進むに連れて徐々に強くなってきた匂いを三人が嗅ぎとると、ミヤビはパッと頭をあげて突然走り出す。

 その様子から匂いの元を発見した事を察知して、リエル達もミヤビの後を追って走り出す。


 路地を曲がった先でリエルがミヤビの姿を確認すると、ミヤビは一軒の建物の前でチョコンと座ってリエルを待っていた。

 ミヤビの側まで来るとその匂いは一層強く感じられ、ここが匂いの出どころで間違いない事が分かった。


 〖此処で間違いないみたいね――【春風亭(しゅんぷうてい)】?で、良いのかしら〗


 〖名前など何でもよい。さ、早速入ってみるぞ〗


 〖んー、まぁいいか〗


 探しているのは今日寝泊まりする場所なのだが、この美味しそうな匂いが何なのか気になるのも事実。

 ここまできて立ち寄らないのも勿体ないので、リエルは期待を込めて店の扉に手を掛ける。


「ごめんくださーい」


「はーい、いらっしゃーい」


 扉を開けて中を覗き込むと、女性の声とこじんまりとして落ち着いた雰囲気を漂わせている店内がリエル達を迎え入れる。

 店内のテーブルでは数名の人達が食事をしている様子が見受けられ、揃って同じ物を食べている。


(あれはライスよね?あっちのスープみたいな物は何かしら?あとあの黒い紙みたいなのもお菜みたいだけど・・・)


「おやまぁ、初めて見る顔だねぇ。しかも従魔が――四体も。一人でこの数を連れてる人は初めてだねぇ」


 お店の主と思われる女性がリエル達を見て口を開くと、食事に夢中だった者達も釣られて一斉にリエルへ視線を向ける。


「おぉ本当だ」


「首輪って高いんだろう?それを四匹も連れてるなんて何処かのお嬢様なんじゃないか?」


「ちょっとあれ!あの子の肩に乗ってるのってもしかしてドラゴンじゃない!?」


 リエルを見て店の客達は口々に声を上げているが、やはりそこまで従魔自体に驚いている感じでは無い。

 だがリエルの肩に乗っていたブランを見た客の女性が、ドラゴンではないかと疑問の声を上げた事で、リエルの中に一気に焦りが沸いてくるのだが、その心配は杞憂に終わる事になる。

 女性の隣の席に座っていた男性がすぐにそれを否定したからだ。


「まさか、違うだろ。【ウィングリザード】かそこら辺さ。ドラゴンを従魔にするなんて個人じゃ不可能だよ。そうだろお嬢ちゃん?」


「そ、そうですよ?この子はただの子供の【ウィングリザード】ですから、別に危ない事なんて何もないです!お兄さんの言う通り、ドラゴンを連れて歩くなんて無理ですよ!あ、あははは」


「ははは!こいつがお兄さんだなんて世辞がうまい嬢ちゃんだな!」


「がははは!そいつはそうだな!ははは!」


 リエルの返した言葉に、その隣の男性が笑いながら先程の男を見て肘で小突く。

 小突かれた男性も機嫌よさそうに笑って返す。

 居合わせた客達も知り合いなのか実に和やかな雰囲気を見せてくれる為、すぐにリエルの心配はどこかへ飛んでいく。


 そこへカウンターから出てきた女将さんがリエルの傍までやってくると、笑顔で話しかけてくる。


「騒がしくて悪いね。でもみんな気の良い人だから悪く思わないでちょうだいね。さ、どうぞ空いてる席に座って頂戴」


「お!そうだそうだ!ここの飯は美味いぞ!しかも今日は週に一回の肉汁定食の日だからな!ずばりこいつがお勧めナンバーワンだ!」


 リエルは肉汁定食という単語を聞いて、全員が同じ物を食べている理由を理解した。


(なるほど、あれがこのお店の売りって訳ね。でも、ライスって結構高かったはずだけど・・・)


 バランディアを出る際に色々買って回った事もあり、今手持ちにそこまで余裕がある訳でもないの。

 コメの値段をバランディアで知ってしまっただけに少々不安になってしまうリエル。


「えーと、その肉汁定食って、一人分での代金はどれくらいになるか教えてもらっても良いですか?」


「一食で銀貨一枚と銅貨五枚だね。まぁちょっといい値段はしちゃうんだけど、味の方は保証させて貰うよ」


(やっぱり結構するわね。さて――)


 予想通りかなりいい値段に設定されている事が分かったが、ここで別の店に行くにしても満足できそうな店が見つかるとも限らない。

 それならここでちょっと高い出費で美味しいご飯にありつけるなら、考えてもいいかも知れない。

 何よりリエルはまだ食べた事がないライスに興味もあった。

 コメは手に入れたが自分で調理した経験はないので、美味しく調理できた時の味というのを知っておく必要もある。


「それじゃー肉汁定食を四人分お願いします」


「え?四人分でいいのかい?従魔様の食事もあるけど、同じ物を?」


「はい、同じ物でお願いします」


 リエルはポーチから銀貨六枚を取り出してそっと差し出すと、女将は少し驚いた仕草を見せたものの、差し出された代金を受け取り、会釈を返す。


「それじゃ、すぐ用意するから座ってまっててちょうだいね」


「お願いします」


 女将はカウンター内に戻ると、料理を出す準備に取り掛かる。


 リエルは先客達から少し離れた席に腰掛けると、改めて店内を見渡してみる。

 見たところ他の従業員の姿はなく、カウンターの中で女性は一人、テキパキとなれた様子で作業を進めている。


 〖あの人、一人でこのお店を切り盛りしてるのかな?〗


 〖さぁな。そんな事よりあの汁物じゃ。あれはもしかするともしかするぞ〗


 〖美味しそうよねー。肉汁定食っていうくらいだから、あれがその肉汁だと思うけど、とってもいい香り〗


 〖そういうことでは無くてじゃな――〗


「それにしても、従魔をそんなに連れてるなんて、嬢ちゃんは何処か偉い貴族様のところの子だったりするのか?」


「貴族の娘さんだったらそんな事軽々しく答えられる訳ないだろ。突然失礼な事を聞いてすまんなお嬢ちゃん」


 不意に先程小突かれていた男は、何気ない感じでリエルに素性を訪ねてくるのだが、すぐに小突いていた男が隣の男を軽く咎めつつ変わって謝罪する。

 対してリエルは首を横に振って気にしていない事をアピールする。


「ところで、どうしてそう思ったんですか?」


「え?そりゃー従魔を四匹も連れてるなんて、随分豪勢だとおもったからだよ。俺は詳しい値段なんてわかんねーけど、従属の首輪って一般人には簡単に手が出せるもんじゃないんだぞ?そうなったらやっぱりなぁ」


「まー確かにねー。そもそも従属の首輪って一流の錬金術師でも作るが難しい代物だから。それがダンジョン産の物であっても同様、やっぱり早々手が出せる物じゃないし、それが四つともなれば、気になるのは無理はないわ」


「俺は結構前に王都の市場で並んでる偽物だったら見たことあるぞ。正直あれが適正な金額だっていうなら、俺が一生かけても手が届くとは思えなかったね」


「その偽物っていくらくらいだったのよ?」


「金貨四百枚だったか?それで大特価とか謳われてたけど、それが事実なら本物はもっと高いって事だろうな」


「やばっ!?私初めて金額聞いたけどやばすぎねそれ。そりゃ一般人には手は届かない訳だわ」


「まー持ってる奴って言うのはダンジョンや遺跡で手に入れたか、金に余裕がある大物貴族さんとか位になるんだろうな」


 他の客達も話に交じりはじめ、皆がリエルを見ながら、暗にリエルが普通ではない事を仄めかす。

 話がだんだん妙な方向へ向かい始めてきた為、ソワソワし始めるリエルの元に、この空気を吹き飛ばす心強い助っ人が現れる。


「貴方達、それくらいにしなさいな。あんまり子供を困らせるのは感心しないわね」


 料理を運んできた女将にジト目で睨まれる面々達。

 ひと睨みされた面々は続けて放たれる恐れがあった、女将からの口撃に晒されるのを回避すべく、必死に誤魔化すような仕草を取り始める。

 その行為が功を成してリエルから笑みが零れると、女将は呆れた顔を見せてはいるが説教は飛んでこなかった為、先の面々はほっとした様子を見せている。


「はい、お待たせ!肉汁定食四人前だよ。熱いから気を付けて召し上がれ。あと言うのが遅れたけど、そっちの子達も椅子を使ってもらって平気だよ」


 床で座っていたミヤビ達をみて、女将はこちらへどうぞといった感じで椅子を引いてくれる。


 〖座っても大丈夫みたいね。どうする?下の方がいい?〗


 〖汚すのもなんだじゃったからこっちで待って居ったが、座ってよいというなら妾もそっちのほうがよい。よっこらせっと〗


 〖では、私も〗


 ミヤビとナシタは揃って椅子に飛び乗ると、行儀よくテーブルと向き合う。


「へぇ~。随分賢い子達だね。それに近くで見るとなんというか――そう、なんか雰囲気が凄いというか佇まいが立派というか・・・それでいて愛嬌があるわねぇ」


「ほんとだなぁ。首輪で支配されている従魔でもそういう仕草はするんだな」


 女将と小突かれた男の言葉を聞いて、リエルは敢えて告げるような事でもないと思っていた事を口にする。


「えーと、この子達は別に首輪で支配されている訳じゃないので、しっかりと自分の意思で行動してますよ?」



お疲れさまです。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

少しでも楽しんで頂ければ幸いです。


野菜たっぷりの豚汁、好き

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