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魔王の娘〜元神獣と父探し冒険記〜  作者: 蜂蜜餡子
いざ、ダンジョンのある町へ
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79話 魔法の武器

誤字脱字は時間があるときに修正します。

「これで・・・あっ!」


 リエルが自分の持っている【コール・タブレット】をベルセフォネの説明通りに操作すると、ベルセフォネがテーブルに置いておいたタブレットの水晶部分に光が灯る。


「うん、それで操作は大丈夫よ。ちゃんとこっちにメッセージが届いてるわ」


「これでベルセフォネさんのタブレット情報が記録された訳ですか?」


「そうよ。記録されている情報はそこの水晶部分に写っている手帳のマークに触れれば一覧が映し出されるから、私に用があればそこから私の名前を選べばいいわ」


「えーと、これですね」


 ベルセフォネのお陰もあって魔道具の扱い方も大分理解してきたリエルは、教わった通りに手帳のマークに触れてみる。すると、現在リエルのタブレットに記録されている連絡先の一覧が表示される。


(キャスさん、ベルセフォネさん、マルドゥクさん。今登録されているのは三人って事かな?)


「これだけ使い方を覚えておけば大丈夫だと思うけど何か分からない事はない?」


「大丈夫です。お陰様であたしでも何とかなりそうです。有難うございます」


「どういたしまして・・・ふふふっ」


「どうかしましたか?」


「いや済まない。ただ私に妹がいたなら、こんな感じなのかと思ってね」


 そう言ってベルセフォネはカップを手に取り残ったお茶をグイッと飲み干すと、中身が空になったカップをテーブルへと戻す。


「あたしが妹ですか?」


「いや、変な事を言って申し訳ない」


「いえ、そんな事無いですよ。むしろあたしみたいな妹だと大変だと思いますよ?」


「あらそう?私はそれも賑やかでいいと思うわよ?」


 ベルセフォネはおどけた様子で言葉をリエルに返し、テーブルの脇にある伝票を手に取りゆっくりと立ち上がる。


「さて、色々楽しかったわ。私はこの辺で失礼させて貰うけど、リエルさんはどうする?」


「そうですね・・・あたしもやる事が有りますから、それを済まそうと思います」


「なら、食事代は私に払わせて頂戴。付き合ってもらった御礼」


「そんな、むしろ御礼を言うのはあたしの方です。お母さんの事や魔道具の詳しい使い方まで教えてもらって。食事代まで払って貰う訳には――」


「そんな事気にしなくていいわよ。さ、行きましょ」


 ベルセフォネはニコリと微笑みリエルの分の食器と伝票を自分の配膳用のプレートに乗せるとカウンターへと歩いていく。


「あ、ベルセフォネさん!?」


 〖リエル、ここはベルセフォネの好意をありがたく受け取っておけ。ぐだぐだやっていても仕方あるまい故さっさと行くぞ〗


 そう言うとミヤビはカウンターへと向かうベルセフォネを見てリエルを急かし始める。


 〖仕方ないわね〗


「ナシタ、クエレ、あたし達も行くわよ」


「おっけー」


 〖畏まりました〗


 ナシタは伏せた姿勢から起き上がり、テーブル上で仰向けになって寝そべっていたクエレは体を起こすと、モゾモゾとリエルの服を這い上がって何時もの胸ポケットへとスルリと滑り込む。


 リエル達はカウンターにいるベルセフォネの元に早足で向かうが、既に料金は支払われた後だった。

 リエルはベルセフォネに御礼を言うと、ベルセフォネの返答は先程と変わらない優しい微笑みだった。


 ベルセフォネと別れたリエルは宿の部屋へ戻ると、腰から外したアイテムポーチをテーブルへと置いてから大きく背伸びをした後、ベッドに腰を下ろして胸ポケットの中のクエレを外へと出して自由にさせる。


(時間は今・・・三時ね)


 リエルは【チェストリング】を開いて市場で買い集めた品々を確認しながら、他に必要そうな物が無いかチェックを始める。


 人化状態で椅子に座ったミヤビはリエルが置いたアイテムポーチから紅茶の葉とカップを取り出すと熱水の球を宙に生み出し、そこへ紅茶の葉を適量放り込む。程良く色が付いた熱水から一杯分をカップへ移すと、ミヤビはのんびりとティータイムを楽しんでいる。


「日用品と料理の材料は問題なさそうだけど、ミヤビとナシタは、他に何か欲しい物とかない?」


「どうじゃろうな?正直食い物さえなんとかなれば妾は何の憂いもないからのぉ。強いて言うなら久々にいなり寿司が食いたいと思ったくらいか?」


「うーん。それは試してみないとなんとも言えないわよ。さっきも話してたけど米って美味しく食べるのって大変なんでしょ?それにミヤビが作り方を知ってるのは良いけど材料は米の他にも必要なんじゃないの?それが簡単に手に入るか分かんないし」


「市場で見たところ米は売っておらんかったしなぁ。食堂のメニューで扱っておるなら、どこで手に入るかメルヴィンに聞いてみるのも手じゃろう」


「分かったわ。ナシタは何も無いの?」


 ミヤビの要望を聞き終えたリエルは再度、足元で伏せていたナシタへと問いかけてみると、言いずらいのか開きかけた口を一度閉じ、少しして再度口を開く。


「いえ、私は大丈夫です」


「ナシタ?別に遠慮しなくていいのよ?」


「うう、ですが・・・」


 ミヤビと違い、ナシタの性格では主人であるリエルに大それた願いを言うのは仕える者として無礼だという考えが強いのだろう、どうしても言い淀んでしまう。

 そういうナシタの堅いところはリエルも理解しているので、今度は言葉変える。


「ナシタ、言いなさい」


 命令である。リエルとしては好ましくない行為ではあるが、今のナシタにはこちらの方が言い出しやすいと思っての行動だった。

 その考えに間違いは無く、ナシタは畏まった様子で口を開く。


「宜しければ・・・戦闘で使う武具を頂く事ができればと思っております」


「成程、武器が欲しいって事ね」


「あぁ、そう言えばナシタは元々ミノタウロスじゃし、最初に会った時も斧を持っておったからのぉ」


「はい。この姿でも戦う事は可能ですが、人型での戦闘時に武器があれば、私ももっとリエル様のお役に立てるのではないかと」


「分かったわ。ならさっそく出かけましょうか。なるべく良いものが見つかるといいわね」


「ちょい待て」


 ベッドから移動しようとしたリエルをミヤビが止めると、ミヤビは徐ろに腕を上げ、生み出した炎の中から自分の使っている薙刀を出現させる。

 それをナシタに見せながら言葉を続ける。


「この薙刀は魔力を結晶化させて錬成した物で、妾の炎にも耐え得る強度を持っておる、非常に強力な武器と言っても過言では無い。内包する力の桁は違うがリエルの象徴である弓、ストームブリンガーも同様の物と言っても良いじゃろう。そしてナシタよ。お前は魔王の血を引く存在であるリエルから強大な魔力の恩恵を強く受けた存在。なれば、その魔力を使って生み出した武器が強力な物に成り得るという事は理解できるな?」


「では、私もお二人のように魔力で武器を創り出した方が良いということですか?」


「一言でいえばそうなんじゃが、幾らお前がリエルの力の恩恵を強く受けた存在だと言っても、魔力の結晶化は一朝一夕で出来る事ではない」


「ではどうすれば?」


「ここでは手軽な価格の武器をいくつか購入し、それを使いながら武器を的確にイメージする力を養う事に重点を置いた方が無難じゃろう。魔力の結晶化にはイメージする力が一番不可欠な要素になるからのぉ」


「じゃー大きなお店じゃなくて、手軽な価格だった市場の武器屋さんに行きましょ」


「うむ。そうと決まればさっさと行くとするか。余り遅くなると次の町への出発に影響するからな。無論先に行くのは米を扱っている店じゃぞ!」


 そう言うとミヤビはいつもの姿へと戻り、部屋のドアを前脚を使って器用に開け外へと出て行く。


「あ、待ちなさいよ!ミヤビ!?ナシタ、クエレも行くわよ!」


「か、畏まりました!」


「貴方達は忙しいわね」


 クエレが胸ポケットに飛び込むと、さっさと部屋を出て行ってしまったミヤビを慌てて追いかけるリエルとナシタ。

 リエルが部屋の外に出るとミヤビは既に階段の下にいて、どうやら食堂を見ている様子が確認できる。リエルも急ぎ足で階段を降りてくると、下にいたミヤビの元へと近づいて行く。


 〖ミヤビ、勝手に行かないでよ。サンドイッチの時みたいになったら困るでしょ〗


 〖ん、済まん。それよりもメルヴィンに米を売ってる店を聞きに行くぞ〗


 軽く謝罪の言葉は出るがミヤビに悪びれた様子は無く、トコトコと食堂へと入って行く。それを見たリエルは軽くため息をついてしまう。


 〖食べ物の事になるといつもこれね。困ったものだわ・・・行くわよナシタ〗


 〖はい!〗


 リエル達もミヤビを追うように食堂の中へと足を進める。

 カウンターまでやってきたリエル達が厨房の様子を伺うと、丁度メルヴィンが休憩していたらしく、湯気の立っている湯飲みを口に運んでいた。

 メルヴィンはすぐにリエルに気付いて席から立ち上がると、カウンターへとやって来て声を掛けてくる。


「どうもリエルさん。何かご用ですか?」


「どうも、お世話になってます」


「そんなとんでもない。こちらの方こそ大変お世話になってますよ。して、どうしました?食事が足りませんでしたか?」


「いえ、食事は美味しく頂かせてもらったので大丈夫です。ちょっとメルヴィンさんにお伺いしたい事が有るんですけど」


「おや、私にですか。私の答えられる事なら良いんですけど、なんです?」


「米を扱っているお店って、どこに有るか聞いても良いですか?」


「あぁ米ですか。ええ、構いませんよ。ちょっと待って下さいね」


 メルヴィンはカウンターに置いてあるメモ帳にペンを走らせると、簡単な地図を描いてそれをリエルに差し出す。


「ちょっと入り組んだ場所にあるので、迷わない様に簡単な地図を描いたので使って下さい」


「有難うございます。じゃー早速行ってきます」


 リエルは地図を受け取ると反転して出口に向かって歩き始める。


「あ、そうだ!」


 少し歩いたリエルは突然声を上げると、再び反転してカウンターへと戻って行く。


「どうしました?何か忘れ物ですか?」


「メルヴィンさん、メモ帳とペンを貸して頂いても良いですか?」


「え?ええ、構いませんが――」


 メルヴィンはリエルに要望の物を差し出すと、今度はリエルがメモ帳に何かを書き始める。ミヤビとナシタもリエルの足元で何をしているのかと様子を伺っている。

 少ししてメモ帳に何かを書き終えたリエルがそれをメルヴィンへと差し出しながら口を開く。


「これ、お母さんの持ってたレシピに載ってた料理の一つで【カラアゲ】っていう料理です。作り方が分かったのでメルヴィンさんも宜しければため――」


「な、何ですって!?ちょ、ちょっと失礼します!」


 メルヴィンは目にも留まらぬ速さでメモ帳にを受け取ると食い入る様にメモ帳に視線を走らせる。

 次第に震えだしたメルヴィンがメモ帳から視線をリエルに戻すと、その顔は興奮で赤く染まっていた。


「リエルさん!」


「ひゃい!?」


「今日の夕飯は期待して下さい!」


「た、楽しみにし――」


「ひょー!休んでる場合じゃない!早速試すぞー!」


 メルヴィンはリエルに別れを告げるのも忘れて厨房の方へと走っていく。


 〖騒がしい奴じゃ。じゃが、楽しみが増えたな〗


 〖そ、そうね・・・あ、あたし達も行きましょ〗


 〖はい〗


 〖うむ〗


 リエル達は宿を後にして、受け取った地図に書かれた場所へと向かうのだった。






 〖米って・・・結構高いのね〗


 〖ま、まぁ良いではないか。これで食事が豊かになるのじゃから悪い事じゃ無かろう?〗


 〖そうだけど、1キロ7銀貨って・・・〗


 無事米を手に入れる事が出来たリエル達は再び市場へと足を運び、昼間見つけた武器屋を目指して市場の中を歩いている。

 リエルは歩きながら手持ちのお金を確認しているが、その表情は芳しくない。


 〖結構市場で使ったからね・・・残り52銀12銅貨か。沢山あっても落ち着かないけど、無いなら無いで不安なのよね〗


 〖リエル様、別に私の為に無理をして頂かなくても良いのですが・・・〗


 申し訳無さそうなナシタの言葉を受けたリエルは、ナシタの頭を撫でながら言葉を返す。


 〖別に無理はしてないわよ。心配させてごねんねナシタ〗


 〖リエル様・・・〗


 リエルに撫でられているナシタは高まっていく感情を必死に抑えてはいるが、尻尾の動きは素直だった。

 左右に激しく動いてるナシタの尻尾はさながら犬そのものだった。


 〖確かこの辺りじゃったと思うが・・・むむ?あそこじゃなかったかのぉ?〗


 〖確かそうだった様な・・・でも、誰も居ないわね。お店を閉めて帰っちゃったのかしら?〗


 目的の店があったと思われる場所には誰もおらず、何も置かれていない露天だけが残っていた。


「おや?昼間のお嬢ちゃんじゃ無いか。こんな所でどうしたんだい?」


 何もない露天の前に立ち止まっていたリエルに後ろから声を掛けてきたのは、昼間食材を売っていた肉屋の男性だった。


「確かお肉屋さんの・・・どうもこんにちは」


「あぁ丁寧にありがとうね。それでどうしたんだい?」


「ここに武器屋さんがあったと思うんですけど、あたしの記憶違いだったでしょうか?」


「あぁ、グラスさんの事だね。確かに時々ここで武器を売ってるけど、あの人閉めるのが早いからもう家に帰ってると思いよ」


「そうなんですか。残念です」


「急ぎだったら店の方に行ってみたらどうだい?何なら案内するけどどうする?」


「良いんですか?」


「グラスさんのお店は帰り道の途中にあるからねついでだけどね。どうだい?」


「じゃー申し訳ありませんがお願いしても良いですか?」


「勿論だよ。お嬢ちゃんには沢山買ってもらったからね。それくらいお安いご用さ。ついておいで」


 リエルは肉屋の男の案内を受けて一緒にグラスというらしい人の店に向かう事にする。


 肉屋の男はコッペリと言う名前だそうで、自分の得意分野である、食肉を美味しく食べる方法や下処理の技術について面白おかしくリエルに話してくれる愉快な男だった。


 暫くすると先を歩いていたコッペリの歩みが止まり、側を歩いていたリエルを見て一つの店を指し示す。


「はい、ここがグラスさんの工房だよ」


「ここが・・・」


 リエルの視線の先にはこじんまりとしているが、歴史を感じさせる年季の入った外観の店が建っている。


「それじゃ私はここで失礼するよ。また買い物に来ておくれ」


「はい、有難うございます」


 コッペリと別れたリエルは店の扉に手を掛けるとゆっくりとドアを開いて中へ足を踏み入れる。


「ごめんくださーい」


 リエルが挨拶をするが店内に人の姿は無く、金属を叩くような音だけが店の奥から響いてくるだけであった。


 〖仕事中かしら?〗


 〖無用心ですね〗


 〖取り敢えず少し商品を見ながら待って見ましょ〗


 リエル達は店内に並んでいる様々な武器を、興味深々で見て回る。

 暫く商品を見ていると、ミヤビが驚いた感じの声でリエルとナシタを呼び始める。


 〖リエル!ナシタ!ちょっとこっちに来てみよ!これは中々の物じゃぞ!〗


 〖どうしたのよ?〗


 ミヤビの元にやってきたリエルとナシタは、ミヤビの前にあるガラスケースの中身に目を奪われる。


 〖これ、魔力を感じるわね。でも、なんか嫌な感じがする〗


 〖これは一体なんなのですか?〗


 〖うむ、こいつは呪いの武器じゃ。しかも結構強力な物じゃぞ〗


 ガラスケースの中にある巨大な鎌はギラギラとした輝きをその刃から放っていた。


お疲れさまでした。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

楽しんで頂ければ幸いです。


予定より少し遅れたうえ内容も全然進んでなくて申し訳ないです。

次回も諸事情で遅れるかもしれないんですが、よろしければ読んで頂ければ嬉しいです。


仕事辞めたい。

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