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魔王の娘〜元神獣と父探し冒険記〜  作者: 蜂蜜餡子
いざ世界へ。 バランディアの町編
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46話 新たな主 後編

誤字脱字は時間あるときに修正します。

 リエルの説明を受けたカルツ達は、念のため確認してくるといい残し、リエル達をアラーナに任せて森の中へと入っていく。

 残った二人と二匹のうち、最初に口を開いたのはミヤビだった。


 〖どうじゃ?うまく行ったのではないか?〗


 〖あの短い時間でこれほどの作戦を考えるとは、流石はミヤビ様です!〗


 〖そうじゃろう。妾の頭脳をもってすればこれくらいたやすい事じゃ。カッカッカッ!〗


 〖私もミヤビ様のようにリエル様をお助けできるよう、その知識をご教授願います!〗


 〖む?そうかそうか!こうして話してみるとお主、なかなか話の分かる奴じゃな。よし、ならばしっかりと学ぶがいいぞ〗


 〖ミヤビは余計な事教えないでいいから!〗


 カルツ達は完全に納得できていないから森を確認しにいったという事を理解できていないのだろうか?

 ミヤビの性格はそれなりに理解しているつもりのリエルであったが――


 ミノタウロスであった時よりナシタの知能が下がっている様に感じているリエルは、これから先どうなるのかを考えて頭を抱える。

 傍から見たら、ミヤビとナシタが尻尾を振りながらお互い意思疎通を図っている様にしか見えないその様子を、興味深そうにみているアラーナ。


「似たような種族だから気が合うのかしらね。見てるとなんだかにやけちゃうわね」


「そ、そうですか?は、ははは・・・」


 ミヤビ達の会話が聞こえない者と聞こえている者の、二人の反応は実に対照的ともいえる物だった。

 するとアラーナはリエルに真面目な顔を向けると疑問を切り出す。


「ところで、リエルちゃんに聞きたいんだけど、どうやって森まで移動してきたの?」


「え?どういう事ですか?」


「町からこの距離を徒歩、もしくは走って移動したとしても、リエルちゃん達の移動速度はあまりにも早すぎると思ってね」


「あぁ。それはあたしの魔法を使ったからです」


「良ければどんな魔法か見せてもらえるかしら?」


「構いませんけど、別に珍しい魔法じゃないと思いますよ?」


 そういうとリエルは【ウィンドウォーク】を使って見せる。足元に小さな風の流れができているのを感じているアラーナは目を見開く。そして軽く地面を駆けるリエルの速度は、アラーナ達が乗ってきた馬の速度を軽く凌駕しているのを見せられたアラーナは口を開けてたままリエルを見ていた。

 リエルは元の位置まで戻ってくると、呆けた顔のアラーナに首を傾げながら声をかける。


「こんな感じで移動してきたんですけど・・・。どうしたんですか?」


「今のって【ウィンドウォーク】・・・よね?」


「そうですけど・・・どこか変ですか?」


「変も何も!速過ぎるわよ!」


 アラーナの言葉に”え?”と言う様な反応をするリエル。それもそのはず、リエルはこれが普通だと思っていたのだ。


「これが普通なんじゃないんですか?」


「そもそも【ウィンドウォーク】を移動用で使うなんて普通は無理よ?ミルドも使ってたけど、魔法力の消耗が激しいから一時的なブースト目的でも大変だって言ってたわ」


「え、え~とですね・・・それはその・・・」


 返す言葉が見つからないリエルは沈黙してしまう。ミヤビ達を他所に黙ってお互いを見ているアラーナとリエル。

 だが先に折れたのはアラーナであった。


「まぁ冒険者に詮索はご法度だから無理に聞くつもりはないけど、あんまり大っぴらにその方法は使わない方がいいと忠告しておくわ。私もみなかったことにしておくから安心しなさい」


「お、お願いします」


「私としてはリエルちゃんに今までより興味が沸いてきちゃったけどね」


 その言葉にリエルは苦笑いをして答えるしかなかった。


 程なくしてカルツ達が森から戻ってくると、肩をすくめておどけて見せてくれた。


「特に変わったところはなかった。どうやらリエルの言ってる事は本当みたいだぞ。全く人騒がせな魔獣だなそいつは」


「まぁまぁ。問題がなかったのならいいじゃないですか。僕としてはミノタウロスと一戦交えずに済んでよかったですよ」


「なら、もうここにいる必要はないわね。キャスさんも心配しているからさっさと報告しに町へ戻りましょう」


「あたし達も町に戻る所でしたから、また後でお会いしましょう」


 リエルはカルツ達にそう告げると、三人を見送るつもりで立っている。その様子をみたアラーナはリエルに声をかける。


「何言ってるの?リエルちゃんも一緒に帰るのよ。キャスさんに連れて帰ってくるように言われてるんだから。さ、こっちきて一緒に馬に乗るのよ」


「そ、そうですか・・・」


 ちらりとミヤビ達を見るリエル。


 〖まぁ・・・妾達のあずかり知らぬ所で下手な話をされても困るじゃろう。ここは一緒に戻った方が得策じゃろうな〗


 〖ミヤビは兎も角、ナシタは馬の速度についてこれるかしら?〗


 〖問題ありません。あのような動物に劣らぬ所をお見せいたしますよ!むしろ私に乗って頂ければよろしいのではないでしょうか!?〗


 〖そう。じゃー大丈夫ね〗


 ナシタの後半の台詞は努めて無視することにしたリエル。そこにカルツが声をかけてくる。


「どうした?なんか忘れ物か?」


「い、いえ!?大丈夫です!」


「? まぁ問題ないならほれ、早くアラーナの馬に一緒に乗れ。あっとそうか、従魔が馬の速度についてこれるか心配なのか。まぁこっちで速度を合わせるから心配すんな」


「はい、お願いします。で、ではアラーナさん。よろしくお願いします」


「うふふ。さ、私の前に載って頂戴」


 リエルはアラーナの元まで歩み寄るとカルツに持ち上げられて馬の上へと乗せられる。

 その後ろにリエルを抱える様に馬に跨るアラーナは、リエルの髪を触ったりと、実に上機嫌であった。

 その様子に呆れながらも、続いてカルツ達も馬にそれぞれ跨り、一行は町へと馬を走らせる。その後ろを付かず離れずミヤビ達が走って付いてくる。


 〖リエル様、人の町までどれほどかかるのですか?〗


 〖馬での移動だから、正確な時間はあたしにはわからないわ〗


 〖森に向かっていた時の事を考えると、この速度なら一時間程と言ったところか?〗


 〖だそうよ、ナシタ?どうかしたの?〗


 〖やはり私に乗って頂いた方が速いのではないかと、思った次第です〗


 〖そうじゃろうが、今は自重したほうが後の問題に頭を悩ます必要がない分、致し方なかろう〗


 走りながらガックシと肩を落とす様な仕草をしているナシタであったが、リエルは特に何も言う事なく馬の上で揺られているのだった。




 リエル達が森から大分離れた頃、森の入り口には一匹のピクシーの姿があり、それはリエル達一行を見つめていた。


(やっと見つけたと思ったら・・・あいつ、何やってるのかしら?)


 ――――――――――――――――


 町に到着すると、町に入る為の確認を手早く済ませて、一行はギルドへと向かう。町の中を初めて歩くナシタは興味深そうに周囲をきょろきょろとみている。


 〖ここが人の住む町ですか・・・〗


 〖そうじゃ。なかなか興味深い物があって妾も退屈せん〗


 〖ミヤビは食べ物にしか興味ないでしょ?〗


 〖そうでもないぞ?まぁ大半は食い物なのは認めるがな〗


 〖先ほど頂いた食事は確かに素晴らしい物でした。人間も意外と驚かせてくれる物ですね〗


 〖うむ。飯に関しては実に期待できる物がそろっている様じゃからな。さっさとギルドに報告して、あの宿で飯を食いたいものじゃ〗


 ミヤビ達の呑気な話を聞いているリエルは、本日何度目かわからないため息を付く。


「どうしたのリエルちゃん?ため息なんてついて」


 その様子に気づいたアラーナが声をかけてくる。


「・・・これからギルドに報告しにいくのにちょっと」


「まぁ・・・あの子の事を話す必要があるから、恐らく色々と聞かれる事にはなるでしょうね」


「なんだ?なんかまずい事でもあるなら俺達だけで説明――という訳にもいかないか。キャスさんがリエルを連れてこいって言ってたしな。悪いが我慢してくれ」


「いえ、別に悪いなんて事はないので気にしないでください」


「皆さん。ギルドに着きましたよ」


 話をしている間にギルドへと一行は到着する。中へ入ると周囲から一斉に視線が集まり、次の瞬間キャスがリエルに向かって飛んでくる。


「リエルちゃん!いや~無事でよかったですよ~!お姉さんは心配で心配で仕事に手が付かなかったんですからね~!お姉さんを心配させるリエルちゃんにはお仕置きです!今日は一日私と一緒にいて貰いますからね~!」


「キャスさん。馬鹿な事言ってないで報告をきいてくれや」


「あ、そうですね!カルツさん達もご苦労様でした」


「詳しい話は・・・会議室で話してもいいか?ちょっとややこしい事になってな」


「何か問題で――ん?」


 キャスがそれに気づいて言葉を止める。


「なんですか?【フォレストウルフ】ですね。おやおや?バンドをしているという事は従魔ですよね~?一体どなたのですか?」


「あ、あたしです」


 リエルの言葉に周りからどよめきが起こる。その言葉を聞いたキャスは何となく察したためすぐに行動にでる。


「そうですね。では、会議室で詳しい話を聞かせてもらいましょう。ささ、こちらへどうぞ~」


 キャスの案内で一行はカウンターの奥へと歩いていく。広い室内の中央に大きな机が設置されており、それを囲むようにたくさんの椅子が置かれている。

 中に入って扉を閉めるとそれぞれ近くの席へと腰を降ろし、全員が座ったのを確認するとキャスが口を開く。


「では、リブルの森で何があったのか、報告を聞かせてください」


「まず、一番聞きたいはずのミノタウロスの事だが、そんな物はいなかった」


「つまり、あの人が嘘をついていたという事ですか?」


「いや違う。ミノタウロスの姿を模倣した別の魔物の仕業だった」


「・・・どういう事ですか?」


 報告していたカルツに代わって、今度はリエルが口を開く。


「あたしがテイムした【フォレストウルフ】。名前はナシタっていうんですけど、この子の能力に、他の魔物に擬態する力があるみたいなんです」


「本当ですか?そうなるとその子、ナシタちゃん?は唯の【フォレストウルフ】ではないという事なんでしょうけど。それって見せてもらう事は出来ますか?」


 キャスの質問に、リエルは森でカルツ達に行った事と同じことをキャスへと見せてる。その様子を興味深そうに観察しているキャスに続けてカルツも説明を続け、あらかた事情が分かってくると、腕を組んで声を上げる。


「なるほど~。事情はわかりました」


「まぁ~そういう事で、リエルもこうして無事に戻ってこれたって訳だ」


「ご心配をおかけしてすいませんでした」


 ぺこりと頭を下げるリエル。それを見たキャスも言葉を返す。


「いえいえ。別にリエルちゃんが悪い訳ではないので頭を下げて頂かなくても大丈夫です。むしろ、そんな変わった能力を持っている魔獣の情報がギルドに報告される結果になってありがたいぐらいですよ。ただそうなる・・・」


 キャスはカルツを見るとそのまま話しを続ける。


「折角依頼をうけてくれたカルツさん達には申し訳ないのですが――」


「あぁ、別に問題ない。ミノタウロスはいなかった訳だからな。それに相手が相手だ。時間をかければリエルが危険だったのも理解している」


「そういって頂けると助かります。ですが、リエルさんを無事に連れてきて頂いた分の報酬はちゃんと出せて頂きますので、そこは安心してください」


「別にそれも無くてもいいぞ?実際問題はなかった訳なんだし」


「いえ、そうはいきません。ギルドから出した依頼である以上、受けてくれた方への報酬は支払われなくてはギルドの面目が立ちません」


「そうか?なら、ありがたく受け取るとするぞ。他に聞きたい事はあるか?」


「いえ、今の所はこれで十分です。ただ、後日もう一度御呼びする事になるかもしれませんので、そこは予め伝えておきます。ギルドマスターがもしかしたらナシタちゃんに興味を持つかもしれないので・・・その時は申し訳ないのですけどよろしくお願いします」


「はい。あたしは問題ないです」


「俺達も当事者だからって事か?まぁ覚えておくよ」


「ありがとうございます。では、以上で確認を終わらせて頂きます。お疲れさまでした。カルツさん達には報酬をお支払いしますので受付でお待ちください」


「あいよ」


 話が終わり、全員が部屋から退出する。


「じゃ~リエル。俺達はまだここに残るけどお前はどうするんだ?」


「あたしも依頼の報告があるので」


「そうか。じゃー受付に行くとするか。俺も少し腹がへってきちまったからな。さっさと飯でも食いに行きたいぜ」


「そうですね。あたしもお腹が空いちゃいました」


 〖リエル!妾も腹が減ったぞ!さっさと受付にいって宿に戻るんじゃ!〗


 〖はいはい。ナシタもお腹空いてるだろうし、やる事やって宿にもどりましょうね〗


 〖畏まりました。リエル様〗


 一行はそろって受付へと歩いていくのだった。


お疲れさまでした。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

楽しんで頂けたら幸いです。


仕事で遅くなると思うので申し訳ないのですが次回は一日間を空けさせてください。


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