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22話 母の旅立ちとその記録

誤字脱字は随時修正していきます。


次回から投稿時間を10時に変更させて頂きます。読んでいただいてる方には申し訳ないのですが御願います。

 母親の特殊なスキルが己の命を消費する事で驚異的な力を発揮する物だと聞いたリエルとミヤビ。

 命を削るという言葉にショックを隠せないリエルは動きを止めて何も言えずにいるのに対して、ミヤビが思ったのは、幼い子供がそんな力を迷わず使う覚悟を決めてまで村人を守ろうという意思の強さに感嘆の念を抱いていた。


(気高い精神の持ち主じゃったんだろうな。正直ただ無鉄砲なだけかと思っておったが、とんだ思い違いだった訳じゃな。そしてその精神はしっかりとこの子に受け継がれているという事か)


 しかしまだ子供のリエルにはそんな考え方はまだ出来なかった為、渋い顔をしている。昨晩の自分の行為と本質は同じだと言う事がわかっていなかったのだろう。


 ミヤビはそんなリエルの思いを察して言葉をかける。


「そんな顔をするでない。お主の母君は立派な者じゃぞ?自分の命を削る事で村人を守ったんじゃ。放っておけば大勢が犠牲になると理解したんじゃろう。その決断を責めてはいかんぞ」〖昨晩のお主も同じ様なものじゃ〗


 念話も交えたミヤビの言葉がリエルにかけられる。


「・・・うん」


 ミヤビの言葉を聞いて自分の中のある思いを鎮めるリエル。


 ミヤビの言葉を聞いたリリーナは優しく笑みを浮かべると、感謝の込められた仕草でミヤビに頭を下げた。自分の娘の行いが立派な事だと言ってくれた事への感謝である。ミヤビはそれに物言わずに静かに頷いた。

 交わされたやり取りに区切りをつけ、止まっていた話は再び動き出す。


「ユニークスキル持ちであったエマリエのもう一つの強みが解析スキル持ちでもあったと言う事じゃな。能力看破というスキルでユニークスキル程でも無いが珍しいスキルでな。そのスキルで自分の持つスキルの存在に気づいてたんじゃろうな」


「実に恵まれた星の下に生まれてきた娘じゃな。ユニークスキルだけではなく解析系スキルまで持っているとは」


「でもミヤビも同じような事できるよね?」


「・・・妾は一応神に属していた存在じゃぞ?一緒にされては困るぞ」


「ミヤビ殿の言う通りじゃよリエル。解析系のスキルはとても珍しいものでな。持っていると知れればそれを私利私欲のために使おうと謀を考える者がでてくるじゃろう。エマリエもそれは十分に理解しておったようで、儂に話した後に『誰にも教えないで』っていっておったよ」


「その頃は俺も知らなかったからなぁ。姉さんがそんなスキルまでもってたなんて。俺がその事を知ったのは姉さんが旅から戻ってからだったよ」


 エリックは旅から戻ってきた姉に聞かされたいろんな話を思い出しながら天井をみている。リリーナもエマリエの事を思い出しながら話を続けた。


「すこし話がそれたが戻そう。フォッシルリザードの危機から村を救ったエマリエはそりゃー一目置かれるようになっておったよ。憧れの目で見る者や英雄だという者がこの家まで押し寄せてきたほどじゃ。もちろんその者達はエマリエのスキルの事なんて全く知らん。どうやって魔物を倒したのかと聞かれたエマリエは口八丁でうまく説明しておったが、真実を知っておる儂としてはよくぞそこまで適当な話をできるものだと感心するほどじゃったわい」


「まぁスキルの事をみんなが知れば、無用な心配を皆にかけると姉さんは考えてたんだろうな。ほんとに十二歳の子供がよくそんな考え方ができるものだよ。まぁその後もしばらくうちにはいろんな人が訪ねてきていたのは俺も覚えてるよ。なんか知らないけど俺まで狩猟班で働かないかと連れていかれそうになった事すらあったよ」


「・・・聞けば聞くほどお母さんって・・・変わってたのね」


「まぁ年の割にはかなり大人びた思考をしてたな。俺と2才しか変わらないのにやる事なす事が凄すぎて天才って言葉がぴったりだったんじゃないかな。正に自慢の姉だったよ。ちょっと悔しいけどね」


「少々無鉄砲な所はあるのが問題ではあったがな。それでも儂にはでき過ぎた娘じゃったよ」


 リエルはそんな母の話を聞きながら笑みをもらしていた。それは自分が特別な子なんだという思いからではなく、村の人達に尊敬されていた母の事を考えて自然と出ていた笑みだった。


「そんな扱いを受ける様になってもエマリエの奴は変わる事はなく、いつもの様に狩猟班の仕事を全うしながら年を重ねていったわけじゃ。その後は特に何か大きな出来事もなく月日だけが重ねられていったんじゃが、ある日、エマリエが旅に出たいと話を切り出してきたんじゃよ。それはエマリエが15歳の時じゃったな」


 リリーナはその日の事を思い浮かべ少し悲しそうな顔を見せた。


「世界を見てみたいというエマリエに儂は反対し認めんかった。まだ15歳のお前には早すぎると頭ごなしに言って、エマリエの話を聞こうとはしなかったんじゃ。エマリエは激しく反発しておったな・・・。反対されるやいなや憤慨しながら部屋に戻ってしまったんじゃが、翌日儂が目覚めるとエマリエの部屋は既にもぬけの殻で、リビングの上に書置きを残して村からいなくなっておったよ。あの時はとても後悔したもんさ。なぜあの子を気持ちよく送り出してあげられなかったのかとね。正直今でも後悔は消えずに残っておるほどじゃ」


「お母さん・・・勝手に出て行っちゃったんだ」


「俺もその時の事は忘れられないよ。朝起きたら姉さんが部屋にいないからさ、リビングに行ったら母さんが涙を流して椅子に座ってるんだからそりゃー驚いたよ」


「娘の成長を素直に認めてやる事ができんかった故、喧嘩別れのような形になってしまったという事か・・・悔いが残る別れになってしもうたな」


 それぞれの思いが口から洩れる中、リリーナは話を続ける。


「じゃが、エマリエが村から姿を消して数日、儂の元に手紙が届いてな。もちろんエマリエからの物だった。そこには今自分がどこにいて、何をしているのかが詳細に書いてあり、最後にはこれからも手紙を送るから心配するなとも書かれておったよ」


 そう語るリリーナの顔は先ほどとは違い後ろ暗い思いは薄れていた。話をしていたリリーナは徐に席を立つと自分の部屋へと姿を消し、次に姿を見せたときには箱を抱えて戻ってくる。その箱を机の上に置くと、中にはたくさんの手紙が整理されてしまってあった。


「これがエマリエが旅の間に送ってきた手紙じゃよ」


「うわぁ!すっごい量!・・・これ後で読んでもいい?」


「あぁ、かまわんよ。旅の内容などが書かれておって儂もこの手紙が届くのが生活の楽しみになっておったもんじゃよ」


「俺も母さんと一緒に手紙を読みながらいろんな事を学んだものだよ。魔物の事とか町の話とか俺達が知らないような事がたくさん書かれていたからね」


 リリーナとエリックは実に懐かしそうにその山から手紙を手に取っては軽く書かれている事を見て、それを大事そうに箱へと戻す。しばらくその様子を眺めていたリエルとミヤビであったが、たまらず口を開く。


「水を差して悪いが聞かせてもらってよいか?母君はどれくらい旅に出ておったんじゃ?」


「ん?そうじゃな・・・。10年ほどじゃったな。戻ってきた時は最初はエマリエだとは一目ではわからんかったよ。15の時から随分と成長して帰ってきたものじゃからな。まさか母親になって帰ってくるなんて思ってもみなかったからのぉ」


「その際に誰か一緒にはおらんかったのか?単刀直入に聞けば父親じゃな」


 ミヤビの言葉にリエルは反応をしめし、その視線はリリーナへと向かう。リリーナは孫からの視線を受けるが残念そうに首を横に振る。


「すまんな。儂等はリエルの父親についてはエマリエには何も聞いておらんのじゃ。無用な詮索はせずに娘を迎え入れる事が儂等のなすべきことじゃと考えてな。リエルにはすまんがお前の父親がどこにいるのかは儂等にはわからんのじゃよ」


 リリーナの言葉には後悔の思いが滲んでいる。だがそんなリリーナにリエルは笑顔を返し口を開く。


「ううん、いいの。あたしのお父さんはきっと素敵な人だから。お母さんが好きになった人だもん当たり前じゃない」


 リエルから帰ってきた言葉は以外だったのかリリーナは少し驚くがすぐに笑顔を浮かべ笑いだす。


「はははっ!そうじゃな!エマリエのようなじゃじゃ馬の事を貰ってくれた御仁じゃ。きっと素敵な人柄の人物じゃろうな。ははは!」


「まさか姉さんに男ができるとは俺も当時は驚愕したもんだよ」


「あっ!ひどいわよ!あたしのお母さんを何だとおもってるのよ!全く失礼しちゃうわ!」


 頬を膨らませてながら声を上げるリエルを見て、二人は再び笑いをもらすのだった。


 -----------


 母の昔の話を聞き終えたリエルとミヤビは、部屋に戻って母の書いた手紙の山を見ていた。その手紙はすべて大事に箱へと収納されており、リリーナがどれだけ大事にしていたのかを容易に感じさせるほどきれいな者だった。


「実に興味深い話じゃったな。お主もいろいろと知らぬ話が聞けてよかったのう」


 ミヤビの言葉にリエルは笑顔で頷き手紙の山から一つの手紙を手に取る。


「あたしもしっかり手紙を書いてお婆ちゃんとエリック兄さんに心配かけないようにしないとね。・・・お母さんの手紙か・・・。どんなことが書いてあるんだろう?」


 リエルは手に取った手紙をそのまま広げ内容を確認する。その手紙に書かれていたのは冒険者の依頼で初めてパーティーを組んで依頼をこなしたときの事が書かれていた。ダンジョンに潜って行方不明のパーティーの捜索を受けたときの話であった。


「ほう。ダンジョンに潜ったときの話が書かれておるみたいじゃが、場所は書いてあるか?いずれは妾達もそこに赴く事になるじゃろうし、どこにあるのかは知っておいても損はないじゃろう」


「えっと・・・この手紙に書かれている場所はミルドワって町の話みたい。そこに行けば場所はわかるんじゃない?」


「ミルドワ・・・。ふむ。確か地図に書かれておったな。それほど遠い場所ではなかったと記憶しておるから、遠くない先に訪れる事になるじゃろうな。それで?何時村を出るかは決めたか?」


「それなんだけど。明日かその次ぐらいにはバランディアの町に向かおうと思うんだけどミヤビはどう思う?」


「妾は別にかまわんぞ。お主に付いて行くと決めた以上文句を言うつもりはない。まぁあまりにも無茶をいうようなら抗議はするがな!」


 ミヤビの言葉に頷くリエルは手に持っていた手紙を元あったように綺麗にしまい、再びリリーナの元へと向かうのだった。

お疲れさまでした。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。


前回の話で書いた魔物の事を少しだけ。


ラットブルはイノシシ+ネズミみたいな豚の様な魔物をイメージしてください。

フォッシルリザードは大きなサンショウウオの様な見た目で体中が化石の様な固い鱗で覆われているドラゴン種の亜種って感じです。

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