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2話 誕生から幼少の頃 始まり

修正しながら頑張ります。


2017/10/5 23:55 武妓に関する説明を削除しました。考えてみたらアーツとごちゃまぜになりそうだったためです。



 母親は娘の誕生を、祖母は孫娘の誕生を喜んでいた。


 冒険者として旅に出ていた娘が身重で帰ってきた事に驚いてはいたが笑顔で迎えてくれた。


 祖母や弟は、父親の事などは詮索せずに、良くしてくれた。そして子供は無事に出産を迎えたのだ。


 だが母親は子供を通常の出産と違う、魔力を膨大に消費する事となってしまった出産で瘴気への耐性が大きく低下してしまった。エルフという種族は弓の扱いに長け、強い魔力を持つ種族であったが、母親から魔力はほとんど感じられなくなっていた。瘴気への耐性がないも当然となった母親は程なくして病にかかっていた。


「母さん・・・娘は・・・リエルは病気にかかって・・・ない?」


「だいじょうぶだよ・・・エマリエ・・・。リエルの事はわたしらに任せて安心しなさい・・・。早く元気になるんだよ」


「姉さん、母さんの言う通りさ。早く良くなってみんなで暮らすんだろ?」


 祖母リリーナは優しく、母親の姉弟であるエリックも優しかった。


 病に蝕まれているエマリエも、調子がいい時はリエルを抱いて家の庭で日の光を浴びながら闘病を続けていた。リエルは赤子の身で有りながら非常に強い魔力をその小さな体に宿していたため瘴気の影響などなんのその、にこやかに笑っていた。村の人達も、エマリエの抱いてる子供の肌、純粋なエルフとは違う肌の色に戸惑いはあったがそれを表に出すことはなく、瘴気の影響を抑えるお香や、病に効くという薬草などを取ってきて差し入れてくれていた。


 病にかかったエマリエは1年後、リリーナやエリックに看取られらながら、大事な宝物を胸に抱いて息を引き取った。

 安らかな笑みを浮かべてエマリエは眠りについて二度と目を覚まさなかった・・・。リエルは一晩中泣き止む事はなかった。

 エマリエは非常に特殊な能力・・・スキルを持って生まれてきた。その身にあった魔法の才能は凄まじく、村の女達の憧れの存在だった。

 そんな彼女の死にエルフの村は悲しみと、彼女を救えなかったという後悔に沈んでいた。


 母が亡くなって3年。4才になったリエルに祖母は愛情を注いでくれていた。エリックも姉の残した一粒種を大事にしてくれていた。姉が亡くなったのはリエルの出産時に魔力を大量に失い、瘴気への耐性が著しく低下したために病にかかったと、リエルのせいで姉が亡くなったのではないかと思う事もあったが言葉に出すことはしない。


 幼いリエルは、エリックが自分を見る目が少し辛そうな眼で見られている感じがあったりするがリエルにはよくわからなかった。


 5才になるリエルは混血であるせいなのか成長が少し遅いような感じはあったが大きな病気にかかる事なく、すくすくと成長していたのだが、少し不安な要素もあった。それは言葉の発育が普通の子供よりも少し遅かった。理解する事はできるのだが、それを言葉として発することが非常に苦手だった。


 そんな彼女も7才になり外で元気に遊び回るようになり、会話の方も上手くなってきているのだが、これくらい年齢の、子供特有の問題があった。 村の大人達は何事もないのだが、子供は違った。出会うと話し方の事で彼女は笑われ、馬鹿にされるという訳なのだが。


 子供特有の無垢故の残酷さは、リエルにとっては耐えがたい内容だった。


「リエルは なにいってるのかわからないよなー」


「そうだよー もっと ちゃんとしゃべってー」


「なんでリエルはくろいいろしてるのー?」


「なんとかいえよー」


 もちろん肌の色の違いにも会話の種にされてしまう。彼女に掛けられる声は、しゃべるのが苦手な彼女の聞き取りづらい言葉を簡単にかき消してしまい、結局彼女は黙り込んでしまうしかなかった。


(どうして、あたしはこんなにみんなと違うんだろう・・・)


 心の中で悲しみを呟く。


 彼女は悔しくて、悲しくて、泣きそうな顔をして家路につく。いつもならここで顔を上げて笑顔の確認をしてから家に入るのだが今日は違った。


 できなかった。


「リエル、おかえり。 っと、どうしたんだいリエル?なんかあったのかい?」


 庭で精霊魔法で花や野菜に水を与えていたリリーナの走り寄ると抱き着いて顔をうずめて泣いた。いつもは祖母やエリックに心配をかけないように我慢をしていたのだがついにその限界を迎えてしまったのだ。


 *精霊と魔法とリエル*


「そうかい...ばあちゃんも一緒にいてあげればお友達ができたかもしれないのに...わるかったねぇ...」


「ううん...おば・ちゃんの・いじゃな・よ...あたし,,,う・くしゃ・れないからわ・いん・よ...」


 リエルの涙を拭いて話を聞いていたリリーナは深い悲しみに包まれていた。かわいい娘の、自分の孫娘がこんなにいい子なのに見た目だけで馬鹿にされて、笑われている。

 孫の心の悲鳴に気づいてあげられなかった事に悔み、小さな子供の残酷さを嘆いた。しかし、子供には悪意がないのはリリーナもわかっているため、その子供達に強くいうことができなかった。

 そしてリリーナは考えた。どうすればいいのか?ふと、今、この場でやっていた事を思い出しリエルに声をかける。


「リエルや、おばあちゃんと一緒に遊ぼうか。とはいってもおばあちゃんはお外であんまり走り回ったりできないけど・・・ごらん?」


「ん・・・」


 リエルは俯いていた顔を上げると・・・光が漂っていた。


「・・・!? わぁ!きれ~い!」


「そうだろう? これはね?風の精霊の一つでね、おばあちゃんの魔力ででてきてもらったんだよぉ」


「~♪」


 風の精霊はリリーナの回りとゆっくりと旋回し、その向きをリエルのほうへとかえ、くるくると漂っている。


「うわぁ~!すごいすごい~!」


「ふふふ・・・」


 リエルの満面の笑顔にリリーナは笑みをこぼし言葉を続けた。


「リエルも精霊さんと友達になってみるかい?」


「えっ!あたしにもできるの?」


「ああぁ~、できるとも」


「お友達になりたーい!」


 リエルの言葉にリリーナは少し驚いた。それは普通に考えたら普通の事なのに。 


 リエルの言葉は止まることはなかった。


「おばあちゃん!はやくおしえてよー!あたしも精霊さんと仲良くしたいよー!」 


「そうかいそうかい、それじゃーまずは魔力の使い方からお話ししないとね」


 しっかりと言葉を、つっかえる事なく会話をしているリエルをみてリリーナは続けた。


 魔力はこの世界では持っていて当たり前といえるほど、ありふれた特殊能力なのだが、その容量はそれぞれ、生物の数だけ違いがある能力である。大まかに分けて、魔力を使い、魔法を行使するのはそのまんま【魔法スペル】、肉体的な技術に魔力を合わせて使う【魔技アーツ】などが存在する。代表的なものはやはりこの二つに分類されるが、この他にも種族だけの固有の能力や、スキルなどにも魔力を消費するものもある。


 つまるところ、魔力は生物にとって大事な資質となるものなのだ。


「まずは自分の魔力を感じて、認識することが大事なんなんだよ。よーくみてるんだよ」


 リリーナは、リエルの好奇のまなざしを受けながら、その手をリエルの顔へと近づける。その何もない掌に、次第に微かな光を纏っていく。やがて小さな光球が掌に浮かび上がる。


「きれい... これが魔力なの?触ってもいい?」


 リエルはリリーナの顔をみてからゆっくりと手を近づけ光に触れる...


 触れた瞬間、見ていたリリーナは驚きに目を見開いた。


 リエルの体から、リリーナの魔力に反応したのか、淡い光の粒子があふれ出してきた。6才の少女から発せられるその魔力は、村で一番の魔術師と言われている祖母リリーナをしても驚きを隠せなかった。同時に娘の事を思い出す。


(これは・・・。エマリエ、お前が懸念した通りじゃったよ。魔封じの水晶がなければ、この子はきっと・・・)


 そんな思いが頭をよぎっている間も、リエルは笑顔でその光を目で追っていた。


 気持ちを戻しリリーナは笑顔で説明を始める。


「魔力を感じることができたら、今度はそれを自分で意思でコントロールするんじゃよ。じゃないと、すぐに疲れてへとへとになっちまうからねぇ。まずはその魔力を自分の内側にとどめるようにイメージして、外へあふれるのをとめてみてごらん?」


 リエルは頷き、念じてみる。


 が、その様子に変化はない。リエルはどうしたらいいかわからず心配そうな目でリリーナをみる


「ゆっくり・・・集中して」


 リリーナは、リエルの手を握りほほ笑む。


 リエルは目を閉じ、意識を集中させる。


 溢れていた光は次第に収束し、小さな体の中に納まっていった。


「・・・これで大丈夫?」


「おぉ・・・よしよし、大丈夫だよ。リエルは魔法使いの才能があるねぇ~」


「ほんと?なんだかうれしい!」


 リエルは褒められた嬉しさから無邪気ににこにこしている。


 その様子にリリーナは安堵し、胸をなでおろす・・・。と同時に孫娘の才能を垣間見て感嘆する。


 本来、魔力の認識と、制御の工程は、簡単なものではないのだ。魔法使いを目指す一般的な者は、自分の中にある魔力を認識するのにもそれなりの時間を費やすもので、認識することができたあとも、制御できずに放出しきってへばってしまう者が圧倒的に多い。まだまだ元気が有り余っているリエルにリリーナは精霊魔法について話を続けるのだった。


 精霊とは魔素(マナ)、魔力を好む精神生命体であり、さまざまな種類の存在がいる。

 魔力を媒介にして精霊の力を使う魔法は【精霊魔法】と呼ばれ、扱うのも結構難しい上位の魔法形態である。

 魔力を呪文の詠唱に乗せて行使する魔法と難易度が違う理由は、精霊が意識をもった存在であるため、その力を借りることができないと効果を発揮できないという違いがあるためだ。


 難しい話であるがリエルは、リリーナの話を真剣な顔つきでしっかりと聞くのだった。


 日も傾いてきた頃、庭で魔力と精霊の勉強をしていた二人であったが今日はここまでとなり、リエルもリリーナも楽しそうに笑いながら家の中へと、入っていった。しばらくして、村の仕事を終えたエリックも帰宅し、庭で採れた野菜などを使った夕食を三人で味わい、今日あったことを胸に思いながらリエルはベットで眠りについた。


 *平穏な日々*



 2年の月日が流れ、さまざまな知識と経験を積みながらリエルもこの年9才へと健やかに成長していた。


 その日、手には小さな籠をもって、リエルは村の雑貨屋に向かってと足を進めていた。リリーナから、作った薬を届けてほしいとお使いを頼まれたためだ。村の子供からは好奇の目で見られることはあるが、リエルは気にしないことにしていた。


 雑貨屋の近くまで来ると、一人の青年が家の花壇の手入れをしていた。


「こんにちわ」


 リエルがそれに気づいて声をかける。


 振り向いて、誰かを認識すると、少年も笑顔でそれに答えた。


「やぁ。またおつかい?」


「うん、おばあちゃんにお届け物を頼まれたの」


「へ~、以前はエリックさんが来てたけど、最近は森の方の仕事が忙しいせいなのかな?今じゃリエルちゃんのお仕事って感じだね。ご苦労さまっ」


「えへへ。ナイルさんもお仕事中なの?」


 ナイルと呼ばれた青年は花壇の手入れをしながら、慣れた様子でリエルと会話を続ける。


「仕事って訳じゃないけどね。こうして手入れをしないとすぐ虫や雑草にだめにされちゃうからさ。あ、母さんなら中にいるからね」


「はーい。それじゃーまたねー」


 後ろ手に振り、手入れに戻るナイルと会話を区切り、店のドアを引くと軽い鈴の音がなる。


  村に一つしかない雑貨店の中は、意外と広くさまざまな品がならんでいる。商品の品質を保つのに、魔道具で室内温度を一定に保っているため、屋外よりだいぶ涼しい。魔道具は貴重なもので、一般の家庭では珍しいものなのだが、魔力の扱いに長けるエルフ族の優秀な錬金術師にとっては簡易効果であればコストは掛かるが作り出すことはできないこともない。


「いらっしゃい。あら、リエルちゃん。こんにちわ」


「こんにちわ、テルマさん。 おばあちゃんに頼まれたものをもってきたの」


「あらあら、いつもありがとねー。・・・うん、確かにうけとったわ。これ、リリーナさんに渡して頂戴。あとこっちはリエルちゃんにご褒美よ」


「いいの? ありがとうっ!」


「うふふ、またきてね」


「うん。ばいばいー」



 小さな麻袋と、偶に村にくる人族の商人が売っているお菓子を受け取ると、会話もほどほどにリエルは店をでる。外で花壇の手入れをしているナイルにも一言つげて、ニコニコしながら家の方へと歩みを進める。村中心部から少々はなれた山道に入る手前に位置する家に帰ってくると、リエルはリリーナの元へ向かった。


「ただいまー。 おばーちゃーん。お届け物おわったよー」


「お~、おかえり、リエル。 ありがとね~。おや、そっちの手にあるのは何だい?」


 麻袋を手渡されたリリーナは嬉しそうにもう一つの手を見せてくるリエルに聞いてみた。


「テルマさんにご褒美にってお菓子をもらったの!」


「おぉ~、よかったねぇ。ちゃんとお礼はいったかい?」


「うん!」


 年相応の無邪気さをみせるリエルにリリーナも嬉しそうに笑った。


 何気ない毎日を繰り返しながらも、魔法の知識を蓄えつつ、リエルも10才になった。

 年齢と比べてリエルの魔力は非常に優れていた事をリリーナも心配していた。

 リエルが悪いわけではないのだが、リエルの魔力を感じたものは、間違いなく驚きや動揺といったものを抱くだろうとリリーナは思ったのだ。

 かわいい孫娘がそんな目で見られるのは耐えがたい事だ。

 そのためリリーナは、リエルに魔力を抑えるコントロールをしっかりと教え、人前では、魔法を使うのは極力控えるように約束させた。


お疲れさまです。ありがとうございました。

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