1話 銀髪のハーフエルフ
今まで読むだけの人でしたが、自分もちょっと物語を書いてみたくなり見切り発車で投稿したしだいです。
誤字、脱字もありそうですが、生暖かい目で見てあげてください。表現の仕方とかも稚拙な若輩者ですが、少しでも楽しめる内容にできればいいかなーとおもいます。異世界転生要素を含む予定ですが先の話なので正直ないとおもってもらった方がいいかもです。
「・・・・・」
「リエル、早く起きないと遅れるよー」
「ん・・・ふぁ~い・・・」
「ばあちゃんも仕事いっちゃったし、俺も森の巡回作業にいくからね。リエルも早く起きなさい」
男性の声の後に扉の開閉音がし、再び静けさが家に戻る。
少女の一日が始まった。
ベッドから眠そうな目を摩りながら降りるとふらふらと部屋の扉へ向かって歩いていく。
「ぐぺっ!・・・」 ガゴッ! 「っ!・・・くぅぅ!!」
寝起きの千鳥足で歩く少女は、足を縺させ、すっころび、倒れるついでに近くの棚に豪快に激突する。
絵に描いたような一連の流れをやってのけた少女は悶絶しながらぶつけた肘あたりを涙目でをみると、青あざが出来上がっていた。これは痛い。
痛みで完全に目を覚ました少女は、青あざができた場所に軽く手をあて、意識を集中させる。魔力が魔法へと変換されて、その光が周囲に漏れた。
使われたのは【癒しの碑文第一節魔法】に記される低位の治療魔法【ヒール】で、あてた箇所から徐々に痛みが無くなるのを実感すると、少女は軽くその部分は撫で、突いて平気かどうかを確認する。体の痛みは取れても、記憶にあるあの痛みにびくつきながら問題ないか確認する。
「ん・・・だいじょうぶ・・・」
少女はそう短くつぶやき、足早に次の行動へと移る。少し広い部屋へと移動し水桶が置いてある場所までいくと、そのうちの一つに、傍に掛けてあったタオルを水で濡らしで顔を拭いている。
そのまま軽く体をふくと、別の桶から水をコップにいれてテーブルの方へ向かう。
椅子に腰かけ、テーブルの上にあるバスケットからパンを手に取ると寝起きの空腹感に従うように一つ、二つと口の中に詰め込んでいく。
後の事を思うとおなか一杯で動けないと問題があるだろう考え、3つ目に手は伸びなかった。
持ってきていたコップの中の水をゆっくりと飲みほし、少女は玄関の方へと歩いていく。
玄関口においてある布でできた袋の中を確認し、背負い、外へと扉を開ける。暖かい光を体にうけながら扉の外へと、家の庭へと移動する。
派手さのない、穏やかな花々が植えられている一画に、整った墓石があった。
墓石の前で、そっと首にかかっている紐を服の内側から外へ出す。小さな赤い石の付いた首飾りを両手で握りしめ、目を閉じると
「おはよう、お母さん。いってきます・・・」
首飾りを服の下にしまい、足早に少女は村のとある場所へと向かった。
エルフの住む集落、ウッドレイン村。木々の中を切り開いて作られた村は、村としてはなかなか広く豊かな実りある場所である。
森に入って危険な魔物や動物を狩り、食料の獲得や村の危険を取り除くといった仕事は男エルフと才能ある少数の女エルフが行い、それほど戦う力を持っていない女エルフ、高齢のエルフ達は農作業や、薬に使える薬草などの採取を行い、小さな子供たちは集まって狩りの練習をしたりわいわいと遊んでいたりと、穏やかな生活をしている。
木や土の精霊との親和性が高いエルフ達と、農業や採集といった行為は相性が非常によく、村で食べる分の作物には困ることはなかった。
太陽も高くのぼってきたころ、村の女達は森の浅い部分へ移動して植物採集の作業を始める。
目的の場所へと到着すると、作業袋から石鎌を取り出し、動物除けの鈴を鈴を腰つけ、女達は植物の採集を開始する。その中には小さな子供の姿があった。
銀色の髪をした肌の黒いエルフの少女だ。
ほかの白い肌のエルフ達は、黒い肌の少女から離れた位置で、作業をしている。
少女はエルフの母親とダークエルフの男との間にできた子供だと言われ、一部の者は少女の事を得体のしれないものを見るような眼でみている。
少女は、何を言うわけでもなく、ただ作業を続けた。
薬草や食用のキノコなどを一人黙々と集めている少女の方に一人のエルフの女が近づいてきた。
「やぁリエルちゃん。 どうだい調子は?」
「順調ですよ。テルマさん」
リエルと呼ばれた少女はちらりと振り返ると声をかけてきた女性、テルマに言葉を返した。リエルの表情は若干困った顔をしているが
テルマは少女のそばで腰を低くすると採取作業を始める。
「それじゃ、ちゃっちゃと集めちゃおうかね」
「あの・・・いいんですか?」
「ん?何がだい?」
「だって、あたしと一緒にいると・・・その・・・」
小声でしゃべっていたリエルは言いにくそうに、口ごもると、テルマはどこ吹く風で作業をしている。
「いいんだよ。リエルちゃんが年相応のかわいい女の子だって事はおばさんは知ってるからね。それに・・・」
テルマは笑みを浮かべ、リエルの顔をみて言葉を続ける。
「おばさんには・・・これくらいしかやってあげられないからね・・・」
それ以上は何も言わずに採取を続けるテルマに、リエルもそばで作業を再開する。
「テルマおばさん。ありがとう」
そういって笑顔を返した。
――――――――――――
採取作業をおえて一団は村へと帰ってくる。村の中にはエルフの他に人間の商人の姿もチラホラと見受けられる。
基本的にエルフ族は人間族と、仲が悪いわけではないが、好き好んで関わろうという者はすくない。理由は簡単だ。
総じて美しい容姿のエルフ族、それを自分の物にするために、奴隷として捉えて高値で売買されるなんて話も珍しくないため、人間にいい感情をもつエルフは多くない。
それでも完全に関わりを持たないという生き方をしないのは、人間全てがそうではないことを理解しているからなのだが、生き物である以上、敵意や恨みがないかと聞かれるとそれは難しい話である。
このウッドレイン村にも、人間の行商隊が定期的にやってきてはいるが、それは、商人達の根気強い交渉があって成り立っている努力の結果だといえる。
村に来る行商隊は、エルフが作る質のいい錬金薬や、簡易魔道具を仕入れる事ができ、エルフ達は、調味料やこの辺ではとれない食材や道具といった日用品を手にすることができ、お互いの利益になりますと、来る日も交渉を続け、ようやく今の関係を築いたのである。
その甲斐もあって、ウッドレイン村のエルフ達は人間にそこまで悪い感情はなく、人とエルフ、お互いが理解を持って関係を保っているのだ。
錬金薬で使う植物の採取が終わった女性達が村へともどって、採ってきた物を仕分ける作業まで終え、一日の作業を終了する。
特に回りの者達と世間話などをすることもなく、リエルは保管用の建物からでると、いつもの場所へと歩き出した。
まだ日も高く心地よい日差しの中、リエルは家の裏手にある山道を通り、森へと入っていく。
歩きなれたルートを通りながら15分ほどすると、目的の場所が見えてくる。そこには魔法の膜で覆われた結界が張り巡らされており、不思議と心地よい魔力が漂う、リエルにとっての憩いの場所であった。
結界の中に入っていくと、淀みない足取りで中央に生えている一際大きい樹木へと向かっていく。
「こんにちわ。今日もここ使わせてもらうね」
リエルは木の根元に向かって言葉をかけると、その言葉に反応する様に光が優しく瞬き周囲に漏れた。光は木の根元に空いている洞、そこにひっそりと存在する卵から放たれている。
毎日のやり取りを終えると、リエルはいつもの魔法の訓練を始める。
魔力を体内で操作し、詠唱に乗せて効果を発揮させるのが基本だが、リエルは、なんの詠唱もなく手の平で小さな竜巻を作り出しそれを維持している。若干12歳の少女が行使するには早すぎるその魔法、【暴風の碑文第四節魔法】に記された中位魔法【サイクロン】をコントロールするため魔力の操作に集中する。掌で左右に動かしたり、大きさを調整したりと自分にどれだけこの魔法を操る事ができるようになったか、じっくりと確かめていく。
その工程を数回、時間をかけてゆっくりと行うと、掌を閉じ、そこにあった魔法を四散させた。そしてその場に腰を下ろし仰向けで倒れる。大きく呼吸をして、額に浮き出ている汗を拭う。
「この魔法にも大分慣れてきたかな。大きくすると勢いがある分ちょっと大変だけど安定して扱えるようになった気がするかな」
訓練の成果がしっかりと結果として出ていることに満足しつつ、リエルは空を見ながらしばしの休息を楽しんだ。
休息もほどほどに再びリエルは体を起こすと、少し伸びをして立ち上がる。服に着いた土を払い卵の方へと歩きだした。そして洞の中にしまってある道具を手に取りいつもの的に使っている木の方へと歩いていく。手に取ったのは一張りの弓。リエルお手製の簡単の物で不格好ではあるが丈夫な作りをしており、弓を引く力を養うには十分な物だ。
軽く撓りを確認すると、リエルは弓を構えて、弦を弾き絞り的に見立てた木目がけて絞った弦を放す、という動作を繰り返し行う。
少女は、強くなりたいという想いから毎日こんな訓練をしてる訳ではない。少女の存在に、その特徴的な容姿に周囲の者は気味悪がって一部の者以外は近付こうとはしなかった。
一部の者の存在だって歓迎できる様な相手ではないのも、少女が独りでいる事を選ぶ原因だった。
だが、幸いな事に、強くなる事は少女の秘めた目的を達成する上で必要な事でもあったので、丁度いいと考えていた。
十分な時間が経過して、夕暮れ近くなってきた頃、少女は帰り支度を始めていた。持っていた弓を元の場所に置くと、少女はその場所の主に別れを告げると、家路を歩き始める。森から抜けると村がもうすぐそばまで見えてきたのだが、村の入口付近で関わりたくない人物達の姿を遠目に見つけ立ち止まる。
「また来てる」(他にやる事ないのかな?)
またかと言った様子で、ため息を吐くと少女は再び歩き出し、彼等との距離が詰まっていく。少女より年上の少年達で素行に問題がある者達だ。
「おっと、此処はエルフ以外は通行料を払ってもらわねぇと通せねぇな」
「邪魔よ。貴方達、他にやる事はないの?」
「相変わらず生意気なハーフエルフだなぁ。こーやって見回りをするのも大事な事だろ?」
ハーフエルフの事を混ざり者と呼び、蔑む人もいるが、そう呼ばれた事に対しても、少女は特に言い返す事なく淡々と言葉を続ける。
「そうね。村の安全の為に見回りの仕事は大事な事だし、感謝もするわ。でもハーフエルフに絡んで邪魔者扱いされる様な人達が任されるような仕事じゃないんじゃない?」
「ぅ、うるせぇ!汚い混ざり者のくせに!」
「貴方達、汚い物にわざわざ話しかけてくるなんてよっぽど暇なのね。生憎私はそんなに暇じゃないからもういくね」
少女は少年達に皮肉を返すと横を通り過ぎようと歩き始めた。
全く相手にされず、その場から遠ざかって行く少女を見ていたリーダー格の少年は、苦し紛れに何か騒いでいるが少女は気に留めることなく歩いていってしまった。
「くっそー!何て愛想のない奴だ!ナイルの奴とは話してるのは見たことあるのに俺が話しかけるといつもこれだ!」
「いい加減諦めようよ。やっぱり気味が悪いよ。夕暮れまで森で1人で過ごしてる事もだけど、ダークエルフって呪いが得意だっていうしあんまり関わりたくないよ僕」
「毎回思うけどガウディ、あんなののどこが好きなの?」
リーダー格の少年、ガウディに一緒にいる少年二人はそれぞれ話しかけると、二人目の少年、ラングに慌てて言葉を返す。
「ななな、何いってんだよ!?俺がいつ彼奴がすすす、す、、」
図星を突かれて反論しようとするが慌て過ぎて言葉が続かないようだ。
「いやぁ、流石にこんなに頻繁に声をかけにくるなんて普通に考えたらバレるよ。あっちはどう見ても相手にしてないけどね。まぁあの言い草だと馬鹿にしに来てると思われてるのも当たり前だけど」
悪びれる事なく話を続けるラングに大人しそうな少年、ミールが続く。
「うーん。ガウディ君には悪いけど僕でも気づくよ」
二人に指摘され耳まで真っ赤にしながら否定しようと悪足掻きをするが、努力は虚しく無駄に終わるのだった。
読んでいただいてありがとうございます。気に入っていただけたら幸いです。




