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19話 旅立つ準備について

ちょっと短いかもです。

 リリーナとエリック、二人から旅立つ許可を得る試験を受け、それを認めてもらう事に成功したリエル。しかし、誤算があった。

 許可をもらったはいいが、リエルには旅立つ日程や、十分な用意などほぼ頭になかったのだ。

 断片的な考えは持っていた為、ある程度のお金を貯める事には取り組んでいたのだが、いざその時が来てしまえばどうすればいいのか勝手がわからず、自分の部屋で頭を抱えているリエル。その様子を呆れた様子で見ているミヤビ。


「お主、少々考えが足らんのではないか?妾の話が原因なのはわかるが・・・もうちょっと考えているものだと思っておったぞ・・・」


「か、考えてたわよ!だからお金だってしっかり貯金してたし!・・・しょうがないでしょ!村の外に出るなんて森に行くくらいしかなかったんだもん!何が必要かなんてわかんないわよ!」


 リエルの言っている事は確かなのだが、それでもミヤビとしてはリエルの考えの甘さは否めない。しかし、自分も事態の片棒を担いでいるし、このままでも埒が明かないので即席ではあるが自分の考えを口にする。


「・・・ならばまずは周辺の地図などはないか?妾も下界については上から見ていた程度だからな。細かい国の事情やら何やらはさっぱり故、まずはそこから情報がほしい。持ってこれるか?」


「う・・・。あ、そ、そうだ!お婆ちゃんなら持ってるかも!ちょっと待ってて!」


 放たれた矢の如く部屋からすっ飛んでいくリエル。その様子をみてミヤビはため息をつく。


(あれだけの能力を持っていてもやはりこういう所は年相応という事か。まぁ可愛げがあると思えば悪くはないが、正直不安の方がでかいぞこれは・・・)


 先ほどと立場がかわり、これからの事を考えると頭を抱えたくなるミヤビであった。


 部屋から出てきてリビングへ向かったリエル。だがリビングにいたはずのリリーナの姿はそこにはすでになかった為、リリーナの部屋へと向かうリエル。部屋の扉を開けるとそこには何やら探し物をしている真っ最中のリリーナの姿を発見する。


「お婆ちゃん!」


「ん?おぉ、リエル。なんじゃ?そんなに大きな声を出して」


「えっとね、この家に地図ってある?できれば回りの町とかがたくさん載っているのがいいんだけど」


「おぉ、それならさっきどこかに・・・お、これじゃこれじゃ。ほれ、これでよいか?」


 取り出されたのは掌台の大きさの水晶の様な素材だと感じさせるカードの様な魔道具。それをリエルへと手渡す。それが何なのかわかっていないリエルにリリーナが説明する。


「それは地理情報を記録させる事が出来る魔道具でな。エマリエが持ってきかえってきた荷物の中に入っていたものじゃよ」


「お母さんが!?・・・使っていいのこれ?大事な物なんじゃないの?」


「なに、かまわんじゃろう。エマリエだって自分の歩いてきた軌跡を娘に見てもらえるなら本望じゃろうて。じゃがなくすなよ?それはエマリエが残してくれた大切な物なんじゃからな」


「お母さんが歩いてきた道・・・。わかった。ちょっと借りてくね」


 母が世界を見て書き記してきた記録だと理解するとリエルも思うところはあったのだろう。自分の部屋へ走っていくその後ろ姿からは期待の感情を漂わせていた。それを見ていたリリーナは笑みを浮かべると再び先ほどの続きに着手するのだった。


 部屋へと戻ってきたリエル。その手に持っていた道具をみてミヤビが声を上げる。


「ほう!紙の地図ではなく【マッピングサイト】とは随分いい物があったものじゃな。・・・もしやリエルの家系は結構すごい家系だったりするのか?」


「まっぴんぐさいと?っていうの?お婆ちゃんは魔道具としかいってなかったから名前はわからないけど。うちは別に普通の家だよ?」


「まぁ子供のお主にはわからんか。まぁよい、はようそれをここにおくんじゃ」


 前足で招くように催促をして見せるミヤビに、リエルは近づき腰を床へと降ろして水晶を二人の中心に置く。

 ミヤビは「うむ」と頷くと、そのカードに掌・・・肉球を押し当てると魔力を流し始める。するとカードから立体の地図が浮かび上がる。

 ミヤビは立体地図も拡大、縮小させながらあたりの地形情報を移していく。

 その様子を目をキラキラさせながら好奇の眼差しを送っていたリエルがたまらず声を上げる。


「うわっ!何これ!?」「むおっ!いきなり大きな声を出すでない!」「だってだって!うわぁー!ねぇ!どうやるの!?あたしもやりたい!ちょっと貸しなさい!」「うお!待て待て引っ張るでない!まだ確認したい事が・・・」「これはお母さんが使ってた物なのよ!あんたばっかり使うのはズルいわ!・・・うりゃ!」「ぬあぶっ!?」


 リエルの掛け声と共にカードに置いていたミヤビの手が離れ、リエルが奪い取る事に成功する。置いていた手がカードと共に引っ張られたミヤビは床に突っ伏して顎をぶつける。

 魔道具に興味津々だったリエルも流石にミヤビに声をかける。


「ご、ごめん。・・・だ、大丈夫?」


「あたたた・・・。リエルよ!少し落ち着くのじゃ!全く破天荒な娘じゃ!」


「えへへ」といった感じで苦笑いをしているリエルに見ながらフンと荒く鼻から息を出すミヤビであったが、意外にも素直に使い方について説明を始める。


「まず、そのカードに軽く魔力を流し込んでみよ。そうすればさっきの様にそれに記録された地形情報が浮き上がってくる」


 コクンとリエルは頷き、魔力を流し始める。するとさっきミヤビが出していた5倍ほどの大きさの立体地図が展開される。


「阿呆、軽くと言ったじゃろう。そいつは流される魔力量に応じて立体図の大きさが変化する。これでは明らかに魔力の込めすぎじゃ」


「初めてなんだから仕方ないじゃない・・・。これくらいじゃな?」


 徐々にサイズが小さくなっていく立体地図はやがて先程ミヤビが作り出したのと同じくらいの大きさへと変化する。


「それくらいで十分じゃろう。次に移したい場所ががあれば立体図に直接ふれてカードに念じてみればその部分を詳しく映すことが出来るぞ。慣れれば図に触れなくても魔力と念じる意思で操作することもできる様になるじゃろう。まぁ、先ずは簡単な方から使ってゆけばよい」


「分かったわ、それで何処を見ようとしてたの?」


 リエルが得意げに立体地図の映す場所をミヤビに尋ねる。その瞳はまさに新しいオモチャを手に入れた子供そのものであった。

 本日何度目か分からないため息をつきながらミヤビは映す場所を答える。


「この村に一番近い町。バランディアとか言ったか、そこを探してくれんか」


「任せて!」


 そう言うとリエルはまずレインウッドの村と表記されている場所を拡大して映し出すとそこから徐々に視点を離していく。すると、やや南の方に森が少し映し出されている。


「ふむ、南の方はあの山道のさきの森じゃろう。あまり奥まで表示されないのはその部分が記録されていないからじゃな。して・・・ふむ。この村から北東の所にあるこれが記録されている情報では一番近い町か村という事になるな。バランディアと表記されている事から間違いない」


「結構遠いのかな?」


「どうじゃろうな?見た感じはそこまで離れている様には見えんが実際の距離とは異なるおおよその位置じゃからなぁ。途中に何か目印になる様な物も無さそうじゃしなんと言えんな。ただそこから来た衛兵達は半日くらいでここに来たわけじゃからその程度の距離という事じゃろう」


「そっか。それでどうしてこの町の位置を調べたの?」


「・・・妾は旅の行き先があやふやなお主に取り敢えず行き先の候補を示してやったに過ぎん。だから村を出たら先ずは一番近い別の町に行ってみればどうじゃ?無論他に外の町を知っておればお主に任せるが知らんじゃろう?少しは考えて貰わんと妾はこの先心配じゃぞ・・・」


「わ、分かってるわよ!ちゃんと真面目に考えるわよ!」


 ミヤビのいう事は最もだと自分に言い聞かせ旅の計画を二人で話し合うのだった。


 ーーーーーーーーー


 クラウス達に周囲の抜けられそうな道などの情報を提供して衛兵隊が張っているテントを後にしたエリックは、その足でテルマの雑貨屋へと姿を現した。


「おや、エリックさん。昨日はお疲れ様でした。母さんから話は聞いてます。みんな無事で本当に良かったですよ」


「ああ、ナイルもな。リエルの事ありがとな」


「いえ、最後まで付いていてあげられなくて申し訳ないですよ。正直森へ逃がした後は殆ど何もしてないで気絶してた訳ですからね・・・。自分の不甲斐なさに情けなくなります」


「馬鹿な事言うもんじゃないぞ。お前はしっかり森までリエルを守ったじゃないか。俺は感謝はすれど文句なんて一つもないよ。それにお前はまだ若い。強くなる時間はあるんだ。これからだよ」


「そう・・・ですね。そう言ってもらうと少し気持ちは違いますね。有難うございます。所で今日はどうしたんです?」


「あぁ、テルマさんに頼んでた物がどうなったかちょっと見に来たんだだけど、今、奥にいるのかい?」


「ああ、アレですね。今奥で仕上げにかかってるんじゃないですかね。見ていきますか?」


「すまないがそうさせてもらえると助かるよ」


 そう言って会話を終えるとナイルがカウンターに入る扉を開け、エリックを招き、エリックは扉を潜るとそのさらに奥にある扉へ手を伸ばしその中へと入っていく。

 その奥に少し進むと小さな作業場の様な空間があり、そこにはテルマの姿があった。

 気配に気づいたテルマは後ろ振り返りエリックを視界に収める。


「おや、来たね。調整は終わってるよ。まぁ使ってたのがエマリエさんだけあって手入れはしっかりされてたからそこまでは苦労は無かったよ。さっ、確認しとくれ」


 そういってテルマはエリックに一張の弓を手渡すのだった。



お疲れさまでした。ここまで読んでいただいてありがとうございます。楽しんでいただければ幸いです。

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