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15話 隠すべき事と残党の襲撃

誤字、脱字、おかしい部分は随時修正して行きます。

 クラウスとヴレアはリリーナから聞かされた話の真偽ついて考えていた。おおよその流れは理解できる内容ではあるが、どうにもはっきりしない部分、悪く言えば偽りだと思われる点があった為だ。


(話の大筋は理解できる。だが肝心の部分だけがどうにも要領を得ていないような引っ掛かりを感じる。)


 盗賊団を倒したというリリーナがいうには、使った魔法の効果であのような惨状の場が作られたという話だが、あの様な・・・惨たらしい死を与える様な魔法を、果たしてリリーナが使うのだろうか?そもそも、その様な魔法の存在など聞いたことがないクラウスは再び問いかける。


「済まない。もう一度確認させてほしい。リリーナ殿が使った魔法は、契約召喚の魔法との事だが、あれ程の効果の魔法は私は聞いたことがない。出来れば此処で見せて頂くことは出来ないだろうか?」


「それは無理ですじゃ。あれは対象の命の生死は問わない事と儂の寿命を引き換えにする事が契約に含まれている悪魔召喚の外道術。易々と使って良いものではないのじゃよ。一度きりの契約魔法で、既に契約が完了している為、再び呼び出す事は不可能なんじゃ。申し訳ないがこれで納得しては頂けんかのぉ」


「悪魔召喚・・・ですか。確かにあまり見たくない光景ですねそいつは・・・。それにしても対価を払う事で力を貸してくれる悪魔とは、何というか、悪魔の癖に随分律儀なものですね。てっきり対価だけ貰って歪んだ形で願いを叶えて終わりなんじゃないかと思っていましたよ」


「名前に掛かっている契約を破るというのはかなりリスクの高い行為じゃからな。悪魔といえど契約は果たさないと最悪、存在自体に影響を及ぼす可能性すらある。そんなリスクを背負うよりは、契約に従ったほうがずっと簡単なんじゃよ」


「成る程。契約魔法というのは精通しているものにとってはその内容が重要なのですね。いい勉強になります」


 肝心の部分を知りたいのだが、それが叶わない以上は同じ質問をしても埒が明かないと判断したクラウスは、別の質問を投げかけてみる。


「それと、もう一つお伺いしたいのですが、町の子供達から頼まれたのですが、どうやら行方が分からない村人が数名いるみたいで心当たりがあったら教えて頂きたいのですが」


「それは確かに心配じゃな。して、その行方が分からない者とは一体?名前とか特徴はきいておるのか?」


 クラウスの質問に、リリーナも心配そうに言葉を返す。リリーナの質問に答えたのはヴレアだった。


「はい。名前はリエルさんという女の子とナイルさんという男の子みたいですね。避難所で見かけなかったので心配になって我々に知らないか子供達が訪ねてきたので、こちらでもお調べすると伝えたのですが・・・何かご存じないですか?」


「リ、リエルとナイルじゃと・・・?う、うむ。そうじゃな・・・。その二人なら儂の家にいるから大丈夫じゃ。リエルは儂の孫でナイルはこちらのテルマの子なんじゃが。二人とも怪我もしておらんから心配しなくても平気じゃ」


「お、それは朗報ですね。それがわかればあの子達を安心させて上げられますよ」


 ヴレアは本心からの笑顔で言葉を口にする。しかしクラウスは何かを感じたのか口を開く。


「失礼、その子達はずっと家にいた訳ではないのでしょう?村の人が避難している時に、ましてや片方はお孫さんです。危険が迫ってるのに家に居させるなんて事はないでしょうし・・・どこかに隠れていたという事ですか?」


「い、いや。どうじゃろうな。ずっと儂らと一緒にいたわけではないからそこまでは・・・」


 リエルの話を出されて動揺を隠しきれなかったリリーナの言葉は、先ほどの会話の様子とだいぶ違い、あやふやな様子を見せていた。話に出すのはまずいと考えて、リエルの事を隠していたのに、知るはずもない目の前のクラウスが、リエルの名前を出してくれば誰だって動揺するだろう。実際エリックとテルマにしても、どう見ても動揺しているのが表情に出ていた。


「・・・怪我はしてないという事なので、少し話を聞くことはできないですかね?」


「いや、それはどうじゃろうな。あの子も疲れて眠っておるからできれば寝かしてやってほしいのじゃが・・・。」


 これはまずいと思ったリリーナだったが、クラウスの申し出はリリーナに閃きを与えた。そう、今リエルは眠っているから起こさないでほしいと断ればいいのだと。閃いた言葉をそのままクラウスに伝えるリリーナだが、クラウスは引かなかった。


「そうですか。ならば仕方ないですね。では、確認だけさせてもらえませんか?こちらも子供達との約束があるのでこの目で無事な姿だけでも見ておきたいのですよ」


「う、うむ。そうじゃな。確かにそれは自分の目で確認して伝えねば・・・ならんじゃろうな。そういう訳なら仕方がなかろう。一度家に戻るとするか」


 リリーナも断りきる事が出来なくなりやむを無いといった感じで了承する。その様子を見ていたクラウスは明らかに何かをあると確信し始めていた。なぜ一人の少女に話を聞かれることをここまで拒むのか?何か事情があるのだろうとは思っているが、それを知らない事で面倒事が起きる可能性を鑑みるとここは引くという選択肢はなかったのだ。


「無理をいって申し訳ないですが、よろしくお願いします」


 クラウスはリリーナに言葉を返すと、リエルがいるという老婆の家に向かう道を歩き出そうとする。しかしそれを呼び止めながら走ってくる一人の兵士の姿があった。


「隊長!すいません!問題が起きました!」


「なんだ?何かあったのか?」


「はい!衛兵の一人が気絶しているのが発見されまして、その物から話を聞くと突然何者かに襲われたとの事です。恐らく盗賊の生き残りではないかと」


「なんだと!?襲われた兵士の他に誰かそれを見た者はいないのか?」


「申し訳ありません。どうやら襲撃者は衛兵の衣類を奪っていったらしく、それを着てどこかに潜伏してるのかもしれません。急ぎ確認しているので、隊長も一緒にきて頂きたいのですが」


「くっ!何たる失態だ・・・。襲われた兵士は無事なのか?」


「はい。それは大丈夫です。軽い脳震盪を起こしていただけだったので、すでに村の中の捜索に回っています」


「そうか。命があってよかったという所か。わかった。私もすぐにそちらへ向かう。君もご苦労だった」


「はっ!私も捜索に回りますので、隊長は村の入り口で情報を集めているほかの者達から詳しい話をきいてやってください」


 そう告げると、兵士は来た道を再び走っていく。ため息を付いたクラウスにヴレアは言葉をかける。


「まだ生き残りがいたなんて、往生際の悪い奴らですね。村人に被害がなかったのはよかったけど・・・。どうしますか?」


「どうするも何も行くしかない。放っておけば事態は悪くなるかもしれん。早急にその生き残りを捕まえる必要があるだろうな」


 言葉を交わす二人にリリーナも話をかける。


「なにやら人でが必要な様子。儂等も何か手伝った方がよいじゃろうか?」


「いえ、御見苦しいところをお見せしてお恥ずかしい限りですよ。逃走中の賊は必ず捕らえます。安心してください。自宅へ案内して頂く約束でしたが、代わりにこいつを連れて行ってやってください」


「僕ですか?それは構いませんが、いいんですか?隊長一人で」


「私は大丈夫だ。それに、もし賊がこの辺りに潜伏していて、リリーナ殿達が襲われたら申し訳がたたん。しっかり家までの護衛を全うしてくれ」


「わかりました。こちらは任せてください。そちらの方は隊長にお任せします」


「うむ。ではリリーナ殿にエリック殿、テルマ殿も。私はこの辺で失礼します。後の事はヴレアに任せますのでよろしく頼みます」


「すまんが盗賊の事はよろしく頼みます。こちらは大丈夫じゃとおもうから安心してくだされ」


 話を終えると、クラウスは村の入り口に向かって走っていった。残ったリリーナ達とヴレアはそのままリリーナの家まで向かうのだった。そこまで距離が離れている訳ではないので5分ほど何事も無く歩いていくとリリーナの家が目の前まで見えてきた。


「すまんが、少しまっててもらえるかの。少々散らかって居るから座るところくらいは用意させてもらえんかな。エリックとテルマもヴレア殿と一緒に待っててくれ」


「ええ、かまいませんよ。ここで待ってるので終わったら呼んでください」


 リリーナの言葉にヴレアは特に何かを言うことなく了承し、他の二人も頷く。その様子を確認するとリリーナは家の中へ入っていく。


 家の中に入ったリリーナはリビングへ向かうと、そこには椅子に座って話をしているリエルと狐の魔獣の姿が目に入った。リエルが何事も無く元気な姿を見せてくれている事に安堵しながらも、今の状況に頭を抱えたくなっていた。


(・・・先に確認しに入ってよかったわい。流石にこれは見せられんじゃろう・・・)


 ため息でリリーナの存在に気づいたリエルは、言葉を発する。


「あ、おかえりなさい。話は終わったの?」


「ただいまリエル。体は何ともないかい?覚えておるかはわからんが、かなり危ない状態じゃったんじゃぞ。あまり儂を心配させないでおくれよ。お前に何かあったら儂はエマリエに申し訳が立たん」


「ごめんなさい。でも、あたしは大丈夫だよ。体の調子もいいし」


「そうかそうか。ミヤビ殿のおかげじゃろうな。本当に感謝しますぞ。ミヤビ殿」


 ミヤビに頭を下げるリリーナ。大事な孫を救ってくれた事にリリーナは心の底からの感謝をミヤビに送る。


「カカカッ。気にすることはないぞ。妾にとってもこの子は大切な存在じゃからな。それで?もう話はおわったのか?」


 特に気にする様子もなく、ミヤビもリエルと同様の質問を問いかける。


「いや、それが少しのぉ。まずミヤビ殿。申し訳ないが少しの間、こちらの部屋で隠れていてくれんか?これから衛兵の方が来るのじゃが、流石にミヤビ殿の事を説明するといろいろと面倒な事になりそうなんでのぉ」


 そう言うとリリーナは、リビングを出て先の自分の部屋の方をミヤビにわかるように指示した。


「む?なんじゃ。妾が何か問題でもあるのか?まぁ、面倒な事は妾もごめん被るゆえ無理に抵抗する気もないが」


「すまんがお願いしますじゃ。それとリエル。これから来る方に何を聞かれてもミヤビ殿の事は言う出ないぞ。それとどこにいたかを聞かれたら森の中に隠れていたとか何とかいって本当の事を話すのは避けてくれ。上手く口裏を合わせるようにすんじゃよ?」


 首を傾げるリエルだったが、ミヤビの方は察しがついたようで口開く。


「なるほど。確かにアレの事を素直に話すのはまずいじゃろうな。妾に姿を隠す様にいうのもそのためか」


「その通りですじゃ」


「ふむ。要は妾は見られなければいいんじゃろ?ならこれで平気じゃろう」


 ミヤビが尻尾を一振りすると、その姿が徐々に透けていき、瞬く間に完全に姿が見えなくる。しかし次の瞬間ミヤビの言葉はその場に聞こえてくる。


「これで問題ないじゃろう?少なくともこれを見破るには中位ほどの看破能力なければ不可能じゃ。これから来るものはそれくらいやりそうなのか?」


「それは無理じゃと思う。ただ何等かのスキル持ちだった場合も考えるとやはり心配な所じゃな」


「ふむ。そうなるとやはり妾は少し離れていた方がよさそうじゃのう」


 そう言うと再び姿を現したミヤビとトコトコと歩き出し、リリーナの案内で隣の部屋へと姿を消す。その時、リエルの中にミヤビからの念話が聞こえてくる。


 〖村で起きた事の事情を聴きくために来たのだろうが、お主の力の事は絶対に話してはならんぞ。それを知られればお主がまともな生活を送るのは絶対に無理な事態になる。【解析阻害:強】があるからお主が自分から話さぬ限り分かるはずはないじゃろうから上手くやるのじゃぞ〗


 そういうと念話は切れる。リリーナもミヤビが移動したのを確認して、外で待っている三人を呼びに再び外へと出ていくのだった。

お疲れさまでした。読んでいただいてありがとうございます。楽しんでいただければ幸いです。

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