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14話 リエルとミヤビ、確認とこれから

暇つぶし位にでもなっていれば幸いです。


 しばしの沈黙が場を支配した後、ミヤビは言葉を発する。


「まぁよい。契約の力で縛らている妾ではあるが、今の所そこまでの実害は確認できとらん。神の加護が消滅している今、神族固有のスキルが全て使えないのは少々痛いが、こちらは【従魔契約】とは関係ないからな。稲荷空孤としての種族能力に問題はない故、自由なだけましだと考える事にしとくか。ならば次は・・・そうじゃな・・・」


 何とも前向きな考えで再び話始めるミヤビ。実際今のリエルに契約の取り消しを行う事ができない以上は頭を抱えて悩んでいても仕方がないという事なのだろう。解決できない問題は時間が解決するだろうという、悠久の時を生きてきた者特有の思考で放り出すとリエルに問いかける。


「お主は盗賊共を始末したときの記憶はあるのか?魔王の力を使っている状態の時、自分の意識があったのか聞かせてもらってもかまわんか?」


「・・・わかったわ」


 一拍置いてからの了承。それが意味するところは、あの惨劇を作り出したときの様子を自分で覚えている事からくる間なのはすぐにわかった。


「あたしが何をしたのかは全部覚えてる。はっきりしない所もあるけど自分の意識は確かだったから。時折激しい頭痛で気を失いそうになったけど、弓を使って盗賊を・・・命を奪っていったのは今も感覚でおぼてる・・・」


 初めて人の命を奪うという行為を行った者が感じる、何とも言えない感情がリエルの心を締め付ける。相手が許されない者だったとしても、あんな惨い殺し方をした自分への恐れと、罪悪感からくる感情だ。


「そうか・・・。まぁそう気に病む事はない。奴等は殺されても文句をいう資格のない無法者共じゃ。むしろお主の力が向かう先があのような者達でよかったと妾は思うぞ。あれほどの力じゃ。突然その能力が解放されてしまって発散する術が無ければ、もしかしたら大切な者の命すら奪っていたかもしれないからのぉ」


「・・・確かにあんな力が日常で突然発揮されたらあたしにはそれを止めるのは無理だったと思う」


「うむ。だが意識を保っていらるのなら、要は使い方を知れば大事は起きないとも言える。お主はまず、自分の力をしっかり受け止め、それを認識する事が大事じゃろうな。どれ、折角じゃからその力を使ってみるとしよう」


「だ、だめよ!自分でも上手く使えるかなんてわからないのにそんな・・・危ないわよ!」


 突然物騒な事を言い出すミヤビに、リエルは慌てて言葉を返す。だがミヤビは首を左右に振りリエルに告げる。


「何もまた暴れろといってる訳ではない。お主の力は別にあれだけじゃないという事じゃ。よいか?」


 そう言いミヤビは口を閉じる、すると、リエルの頭の中にミヤビの声が聞こえてくる。


 〖聞こえておるか?これは【従魔契約】の結果、お互いに念話が可能になっておる。お主も何か妾に念じて話しかけてみよ〗


 〖・・・こ、こうかな?どう?聞こえてる?〗


 〖うむうむ。上出来じゃ、しっかり聞こえておるぞ。従魔契約の力が働いているゆえ、妾とお主の間にある繋がりが、この念話を可能にしておるのじゃ。次はそうじゃな…【天眼】!〗


 そう念話で言葉を返してくるミヤビは、【天眼】のスキルを発動させる。見ているのはリエルの保有している能力なのだが、ミヤビがその情報を念話の中を通して一覧画面の様に可視化して見せ、今度は普通に口を開いた。


「これが今、お主が保有している能力じゃな。それにしても改めて見ると、凄い物じゃ。能力数だけならそれなりだが最上位のスキルをその年齢で持ってるのは驚きじゃぞ。流石は魔王の血を引く娘といった所じゃ」


 そこに映っていたスキルに、リエル自信も目が飛び出そうなほど見開いて驚愕の表情を見せていた。


 -----------

 “パッシブスキル”

【天弓の魔王】

 【風魔弓ストームブリンガー】

 【魔力解放】

 【解析阻害:強】

【従魔の契約:稲荷空孤のミヤビ】

【風耐性:強】

【地耐性:中】

【精霊の加護・風:中】

【魔力隠蔽:強】

【風魔適正:極】

【複合魔術適正:強】

【身体能力向上:中】

【弓術レベル:5】

【薬草学:3】

【バーストマジック】

 .

 .

 -----------


 改めて自分が魔王の娘なんだということ理解したリエルは卒倒しそうなる精神をなんとか保ちながらミヤビへ向けて呻きのような声を発する。


「なんか・・・すごい・・・」


「うむ。実にすごいぞ。流石は妾を従魔にするだけのマスターじゃな。それと、【天弓の魔王】のスキルは複合スキルじゃろうな。それ一つで複数の効果を持っておるようじゃ」


「あたしって物凄い危ない存在なんじゃないの?これって…」


「そうじゃぞ?だから自分の力をしっかりと自覚する事が大事じゃからそうやって見せたのじゃ。お主はそれをしっかり制御しないといけない、それが力を持った者の心得じゃ。お主が力に溺れるような愚か者ではないのは分かっておるがな」


(あたしの力・・・か・・・)


 ミヤビの言葉を聞いた事で、自分の目指していた目的の事が少し頭によぎるが、ふと重要なことに気がついた。


「そう言えばお婆ちゃん達の姿が見えないけど・・・まさか!!」


「あぁ、大丈夫じゃ。皆無事じゃぞ。今は何やら村の外から来たものがどうとかいって会いに行ったぞ?」


 今にも飛び出して行きそうリエルに、ミヤビが事情を説明して聞かせると、リエルは安堵した表情で再び椅子にストンッと腰を落とし息を吐き出す。


「そ、そうなのね。はぁ〜・・・よかったぁ」


「まぁ、お主が気を失ってから目覚めるまでにそこそこ時間が経っておるからな。今回の騒動もそろそろ終わりが見えて来たといった感じじゃないかのぉ」


「そうだといいけど。あたしはお婆ちゃん達がまた平穏な暮らしを送れるならなんだってかまわないわ。そうしたらあたしも自分のやりたい事をやろうと思うの」


「ほう、少し興味があるな。差し支えなけば聞かせてくれんか?少なからず妾にも関係してくるからな」


 意味ありげな口振りのミヤビに若干の疑問があったが、リエルは自分が考えている目的を語ってくれた。


「あたしは世界が見たいの。お母さんが冒険者として世界を回っていたってお婆ちゃんが話してくれた事があったわ。私もお母さんの歩んだ道を見てみたい。それと・・・お父さんに会ってみたい・・・。だから旅に出ようと思うの。その夢があったから、私は今までずっと魔法の特訓とか弓の練習に打ち込んでこれたの。もう少し仕事をして、お金を貯めてからかなって考えてはいたけど、ミヤビ・・・さん?にお父さんやお母さんの事を聞いたらもう・・・」


「なるほどな。蛙の子は蛙じゃな。世界など大して代わり映えなどしないと妾は思うがな。まぁ良いのではないか。今の言葉と矛盾するかもしれんが妾も興味はあるしな」


「え?」


「言ったであろう。妾は今やお主の従魔の契約を交わしておる。つまり妾はお主から大きく離れる事ができないわけじゃ。そうなれば、妾も付いて行くしかないじゃろう」


「ミヤビさんが一緒に来てくれるって事?」


「だからそう言っておる。それと、確かに妾は上位の存在だがその呼び方は何かムズムズするから好かん。ミヤビでかまわん。代わりに妾もお主に敬称はつけんからのぉ。対等な関係という事で手を打ってやろう」


「わかったわ。じゃーよろしくね。ミヤビ」


 一人で旅をするというのはやはりリエルにとっては心細い物だったのだろう。ミヤビが一緒に来てくれる事がわかったためニコニコしながらミヤビに言葉を返した。


「うむ。よろしくたのむぞリエル。お主はそうやって笑っておった方がずっと可愛らしいぞ。泣いたり落ち込んでいる顔をしていてはお主の家族も心配するじゃろう」


 うんうんと頷きながら言葉を続けるミヤビに、今日、いろいろな出来事があったこの日に、リエルは初めて満面の笑みをミヤビへ見せるのだった。しかしそんな笑顔を見せているリエルに、ミヤビは疑問を投げかける。


「じゃが、お主はそれでいいかもしれんが、家族はそれを許してくれるのか?エルフの考えは妾にはわからんからな?反対される恐れはないのか?」


「う。どうだろう?そう言われるとあたしも少し心配かも」


 普通に考えればまだリエルは12歳。子供でも冒険者をやっている者は少なからずこの世界には存在するが、それはやむを得ない事情を抱えていたりする場合がほとんで、そうしなければ生きていけないといったような、もう後がない者が最後に選ぶような選択なのだ。


「ふむ、そうなると、やはりしっかり話合った方がよいじゃろうな。でないときっと、お主は後悔するような別れ方を家族としなくてはならなくなるじゃろう。妾も多少は説得に手を貸してやらんでもない」


「そうよね・・・うん。しっかりお婆ちゃん達に話をするわ。後悔もしたくないし、黙って出ていくなんて絶対いや」


 リエルとミヤビはそう話しを決めると、今だ目覚める様子無く眠っているナイルと一緒に、リリーナ達が帰ってくるのを待つのだった。


 --------------


(これは・・・全滅か?まぁこの村の様子からするとそうだろうなぁ・・・。はぁ~)


 どこかで見た事がある男が、森と村の境目から様子を伺っている。ベジャールである。一人助かり身を隠していた彼だが、流石にこれ以上この闇の中で森に留まるのはリスクが高すぎるため、森の出口付近までやってきたのが、予想はしていても、微かな希望を持っていたベジャールが見たのは、仲間の姿は一人も見えない村の様子だった。


(村の外周を回って街道へ向かおうにも、町から来た衛兵がどれだけいるかわからない中迂闊に動くわけにもいかないし、かといってこのまま身を隠していても状況がよくなるかどうかは・・・。くそっ!)


 内心穏やかではないベジャール。にっちもさっちもいかない今の状況でどうするべきかを必死に考える。捕まれば恐らく極刑は免れないだろう事はベジャールも理解している。運がよくて犯罪奴隷として死ぬまで労働を強いられるくらいの違いくらいだろう。


(なんとか顔を隠して素通りする事はできないだろうか・・・。いや?いいんじゃないか?顔を不自然にならない程度に隠して堂々と町の中を抜けて行けば、いや!そうだ!)


 名案を閃いたベジャール。これはいけると確信し、彼は一人誰にも気づかれることなく準備に入るのだった。

お疲れさまです。ここまで読んでい頂いてありがとうございます。楽しんでいただければ幸いです。


スキル紹介

【天弓の魔王】:リエルの代名詞ともいえるスキルです!


【風魔弓ストームブリンガー】:リエルが使っていた弓です。これを使っている間は腕に魔族言語文字が浮かびます。


【魔力解放】:瞳の色が変わり魔力を完全に開放した状態です。


【バーストマジック】:魔法力の消耗率が上がりますが効果も上昇します。


少しだけ紹介させて頂きます

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