第2話 協力者
あらすじ:【妃選定】を崩壊させると決意したパルヴィラ王国の王太子アレンス。目的のために、彼はどう動くのか…!
「…さて、着きましたね。」
そう言うキビンにアレンスは「ああ。」と答える。
決意した翌日、アレンスとキビンは旧王城の前に立っていた。
かつては王族が居住していたこの建物だが、立憲君主制となった現在では各省庁が入っている政治の中枢となっている。
少し待っていると、アレンス達より少し年齢が高い青年が駆け寄ってきた。旧王城の職員だ。
「殿下、お待たせしました。私が案内いたします。」
職員はそう言うと建物の中へ入っていった。アレンス達もそれに続く。
職員と共に中を歩いていると、キビンはアレンスに小声で話し掛けた。
「それで殿下…ここまで来て何をするつもりです?」
キビンの質問に、アレンスも小声で答える。
「【妃選定】を壊すためにまずは、相談しようと思うのだ。」
アレンスの返答を聞いて、キビンは何かに気付く。
「まさか殿下…首相に会おうと思ってませんよね?いけませんよ!現在政治に関わって良い王族は前国王陛下のみ!他の王族が直接政治に関わっては…」
焦るキビンを制止し、アレンスは冷静に答える。
「焦るなキビン。会うのは首相ではない。それに、直接法律を変えようというわけではない。」
「そ、そうですか…」
ホッと胸を撫で下ろすキビン。
「あれ?で、では誰にお会いしようと…?」
「まずは、予定の調整をしなければならないからな。」
そう言ってふっと笑みをこぼすアレンス。
「…!なるほど!」
アレンスの言葉を聞き、キビンは目的地を察した。
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「…殿下、今…何と?」
「法律を守りながら【妃選定】を崩壊させたいのだ。それを手伝ってほしい。」
アレンスはソファに腰掛けながら答える。
アレンスの正面にいる人物はデイソン・アンビス。王族庁の長官だ。王族庁は主に王族の生活、活動の管理や広報を行う庁であり、彼は全体の統括を行う人物だ。
デイソンは右手で頭を押さえながら、ゆっくり口を開いた。
「…詳しく話を聞かせていただいても?」
「ああ。」
デイソンはふうと息をつき、ソファにもたれる。
もう一度、長く息を吐いたデイソンは姿勢を整え、アレンスに向かって話す。
「殿下は【妃選定】に疑問があると…そう仰るのですか?」
「ああ。」
アレンスは用意された茶を飲み干し、説明を始める。
「前陛下の代になり、これまでの王政から立憲君主制へと政治が変わった。現陛下の代になってもなお、我が国は変革期を迎えている。」
「承知しております。前陛下はじっくりと時間をかけて我が国の政治を変えられました。とはいえまだ変えたばかり、まだまだ見直すところは多いです。…【妃選定】もその一部だと?」
「その通りだ。言い方は悪いが、今の王族には政治的な権力が無い。王族と縁を結んだところで国を支配することは出来ない。」
「現在の王族の方々は、我が国の象徴として君臨しておられます。」
「ああ。だからこそ、我が国の存続には王族の血が必要なのは当然だと理解している。そのためには、公正な試練を乗り越えた妃を得るための【妃選定】は必要であることも…だ。」
「仰る通りです。」
「しかし、私は思うのだが…このやり方は女性の社会進出の妨げになっていないか…?」
「…と、言いますと?」
「国王陛下の理想とするパルヴィラ王国では、優秀な平民が一部の貴族と共に国政を担いっている。そして優秀な平民の中には当然女性も含まれている。」
「当然ですね。優秀な人材であれば、性別は関係ありません。」
「それは、貴族の女性であっても…?」
「…!なるほど…!」
「【妃選定】の歴史上、候補の令嬢は親の推薦によって選ばれる場合が殆どだ。当時はそれでもよかった。王妃になれるチャンスを掴まなければいけないからな。しかし、今は違う。」
「…」
「私は貴族の令嬢にも、ある程度の自由は保証されても良いと思うのだ。」
そう言ってデイソンを見つめるアレンス。
デイソンは左手で額を押さえる。
「…殿下が仰る内容については理解できました。納得もしております。ですが…」
「承知している。」
アレンスは言いかけたデイソンの言葉を遮る。
「王族も王族庁も政治に関わることが出来ない。そして、【妃選定】の準備は殆ど整っていることも。だから、今さら中止の法案を出しても子の世代からになる。しかし、私は『今』変えたいのだ。」
「…では、どのように…?」
「簡単な話だ。本格的に始まる前に終わらせれば良い。」
アレンスの言葉にデイソンは一瞬困惑する…が、すぐに意図を察した。
「…つまり、【妃選定】の候補となる令嬢がいなければ良いのですね?」
「その通りだ。そして、それを行うにはある人物の力が必要だ。貴方にはその人物とのアポイントメントを取ってほしい。」
そう言ってアレンスは1枚の写真を出した。
「…!この方は…!」
デイソンは立ち上がり、胸に手を当てアレンスに告げる。
「承知いたしました。このデイソン・アンビス、必ず殿下の力になります。」
「ああ。よろしく頼む。」
次へ続く!
さあ、誰を呼ぶんでしょうか…?




