第3話 協力者、その2
あらすじ:アレンスはデイソンにある人とのアポをとってほしいと伝えた…
デイソン・アンビス王族庁長官と会った数日後、アレンスとキビンは王族邸の客間にいた。
部屋の中央にある柔らかくて大きいソファにアレンスは座っており、キビンはその傍らに立っている。
「遂に来ましたね…この時が。」
そう言って固唾を飲むキビン。
「キビン、緊張し過ぎだぞ…」
そう言うアレンスだが、アレンス自身も緊張の面持ちをしている。
その時、客間の扉が叩かれた音がした。
「殿下、ヴィシー・リ・ダンジン様が来られました。」
扉の外では、使用人の声がする。
「うむ。入りたまえ。」
アレンスがそう言うと、使用人は扉を開いた。
そこにはアレンスと同年代くらいの、腰まで伸びた濃い青色のストレートヘアの女性が立っていた。
「ご機嫌麗しゅう、殿下。ヴィシー・リ・ダンジン、参上いたしました。」
そう言って女性…辺境伯令嬢であるヴィシーはお辞儀をした。
ヴィシーはアレンスの対面にあるソファの横まで歩き、再びお辞儀をする。
「殿下、この度はお招きいただき、ありがたく存じます。」
「うむ。苦しゅうない。座りたまえ。」
「失礼いたします。」
そう言ってアレンスの対面にあるソファに座るヴィシー。
一瞬、静寂が走る。
「…もう良いだろう。ヴィシー。」
そう言って気を抜くアレンス。
「あら?もうお終いですの?」
ヴィシーはケラケラと笑いながら答える。
先ほどの堅苦しい空気とは一変、和やかな空気となった。
(殿下とヴィシー様は幼馴染みだからな…今の雰囲気が本来の空気なんだろう。)
そう思いながらキビンはヴィシーに紅茶を出す。
ヴィシーはその紅茶を少し飲み、ズイッと前に出て話し始めた。
「それより殿下…もしかしてですが、私1人だけを呼んだのではないでしょうね?」
「当然だ。【妃選定】に関わるであろう令嬢は全て呼んでいる。…半分くらいしか来ないみたいだが。」
アレンスの返事に、ヴィシーはホッと息をつく。
「安心しましたわ。私だけですと、贔屓を疑われてしまいますから。」
ヴィシーは一息つくと、真剣な表情をした。
「それで殿下、要件は何でしょうか?」
ヴィシーの問いに、アレンスはゆっくりと答える。
「…【妃選定】を、壊すことにした。」
「…はい?」
一瞬、空気が止まった。
ヴィシーは目を見開いている。
「殿下、『中止』ではなく…?」
「ああ、『壊す』だ。」
「…詳しく、説明してくださいますか?」
そう言うヴィシーに、アレンスは説明を始めた…
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「…と、言うわけだ。」
アレンスの説明が終わると、ヴィシーは右手で額を押さえた。
「…一応理解はしました。」
「良かった、それで君には「つまり殿下は…」ん?」
「この私に、他の令嬢を説得して帰らせる役割をさせるつもりですわね?」
「ああ、話が早くて助かる。」
ホッとするアレンス。
その様子を見て、ヴィシーはニヤリと笑いながら言った。
「それで?」
「それで…とは?」
「見返りはあるのですよね?」
「なるほど。当然、用意してある。」
「そう…なら、問題有りませんわ。」
そう言ってヴィシーは立ち上がり、アレンスに向けてお辞儀をした後、扉へ向かった。
使用人が扉を開けると、ヴィシーは振り返り、再び深くお辞儀をした。
「それでは、失礼いたします。…見返り、期待しておりますわ。」
「ああ、期待していると良い。」
こうして2人目の協力者、ヴィシー・リ・ダンジン辺境伯令嬢は王族邸を去っていった…
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ヴィシーとの話が終わり、アレンスとキビンは次の令嬢を待つ前にアレンスの部屋で休んでいた。
キビンは2人分の紅茶を用意した後、アレンスの対面に座る。そして、アレンスに尋ねた。
「…殿下。用意しているのですか?見返りの。」
「いいや?」
「えっ」
アレンスの言葉に驚くキビン。
「だ、大丈夫なのですか…?」
「問題無い…とまでは言わないが、彼女が欲しがるものには心当たりはある。」
「そ、そうなんですね…」
「まあ、『それ』が手に入るのは、今後の私の交渉次第だがな…」
そう言ってアレンスは少し遠い目をした。
「まあそれに、彼女自身、あの時点では用意ができていないと察していたしな。」
「えっ?」
アレンスの言葉にキビンは驚く。
「私が『当然だ。』と言った後、少し私の顔を見ただろう?恐らくその時に判断したんだろう。」
「…なるほど、流石は幼馴染みですね。」
「腐れ縁だがな。」
そう言って笑うアレンス。腐れ縁とは言いつつ、その表情に不快の感情はない。
その後、アレンスとキビンは少し雑談をしていたが、ふとキビンは部屋にある時計を見た。
「殿下、もうすぐ2人目の時間です。」
「…そうか。次は彼女の番だな。」
「殿下、次の方には今回の計画の事は説明されるのですか?」
「うーん…どうしようか…?」
「…殿下、そう言うのって事前に決めません?」
「それはそうなんだが…うーむ…」
「まあ、気持ちは分かりますが。…もう時間です。行きましょう、殿下。」
そう言いながらも、2人は再び客間に向かうのであった…
次へ続く!
次は、どんな人が出てくるんですかね…?




