喧しいと言っているだろう!!!
痛いと鼻に手を当てていればキヨラは不満げにズンズンと歩いてくると俺とテンコの間に入リ、その手を伸ばして俺の鼻に手を当てて多分ちょっと鼻の上から出てる血をハンカチで拭いて、癒しの力で治してくれた。
『ほぉ、それが聖女の力か。確かに女神の力を感じるな』
「その前に謝ってくれない?」
『なぜだ? 鼻を噛むのは親密な間柄ではよくする挨拶だ』
「親密じゃないしッ、それに人はそんなことしないの!! しかもそんなギザギザの歯で噛んだら痛いに決まってるじゃん!」
キヨラのブチ切れ具合に、ちょっと待っ俺って意外と傷深かったの!? 混乱してて気が付かなかったけど確かにテンコの口元にも血ついてるから針でプスリと刺した程度じゃなかったのかもしれないと、今更ながらに想像してゾッとする。
『ではヒトはどうするのだ?』
「どうするって……握手とか?」
仕方ないなぁとばかりにキヨラから出された手をテンコがじっと見つめていれば、「同じように優しく手を重ねるの!」とキヨラが言うとテンコも納得したように頷いて手を繋いだ。
『ではハジメも』
改めて出された手を俺も握り返し……互いに笑い合えば、テンコはなにか気が付いたのかこちらを見ると口を開こうと……、
「おおおおおおおお!!! 初めて見ました! なるほどなるほどこれが竜の共鳴!! 圧倒的な力を持ち孤高の存在とされ、今までエルフの私ですら文献でしか見たこともない、共鳴! 素晴らしすぎて! ハジメのおかげで魔力の共鳴の瞬間をこの目で拝見できて幸いです成程この場合は通じ合い名をつけると言うことで強固な結びつきなのか、個体数の少ない竜の親子の繋がりも関係しているのか、共鳴とはどこまでこう……繋がっているのか!? それにできることなら竜……改め、テンコさんの血をちょっと分けてくれたら過去の研究の通り竜はその他の種族と違い血と魔力の混在説を立証できるやも」
『やらん!! そしてこのエルフは喧しい!』
「それには僕も同意する」
最近どこに行っていたのかと思うほどに静かだったカエストロさんだったが、突然堰を切ったかのように人の型になったテンコの周りをぐるぐると息荒く回りながらめちゃくちゃ早口で捲し立ててる。
『ハジメ、ここにきて以来ずっとこのエルフが煩い!!』
「うん。名前決めてる間どこ行ったのかと思うほど静かだったけど、テンコのとこ行ってたんだ……。お疲れ」
『屋敷の周りにいると煩くてたまらんから、仕方なく森をまわって魔獣どもでも潰して遊んどっても、いつの間にか背後を取られて何か書いておるし……竜の我の背後だぞ!?どうなってるんだあのエルフは!!』
「その前にさ、俺も聞きたいんだけど、どうやって人になったの!? すごくない!? 身長高いしイケメンだし」
ワイルド系イケメンのテンコはボサリとしながらも輝く青い髪にその股からは立派な……。
「あのよぅ、竜だかヒトだか知らねぇが、とりあえずこれでも巻いとけ。ブランブランしとったら流石に話が頭に入ってきやしねぇ」
そう言って大きめの布をデックスが渡せば『おお、気の利くドワーフだな』と、受け取り楽しそうにテンコは腰に巻く。
『そうだ、共鳴……』
「そう!!! 竜族の我々とは魔力の質も掛け離れ、性質とは人より魔族に近く圧倒的な力を持つにも関わらず、自らは争いを好まずに同族で結界を作り主にそこに暮らし時折多種族と出会うのみと、それで心を……!!」
『喧しいと言っているだろう!!!』
そう言ってテンコから遠慮のない蹴りが入って飛んでいったが、明らかに防御魔法で守っていたので、なんか色々セーフだろうと俺たちは見なかったことにしてテンコに向き合うことにした。





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