その笑い声、よく似てるな
『……親父殿がそんなことを?』
「うん。ホントは最初、伝言伝えてって言われてたんだった。『もし息子に会ったなら安らかに逝ったと伝えてくれ』って」
俺の言葉を聞いて、その気落ちしたように下がる羽は地面に着き、その顔も先程とは打って変わり項垂れたように下がっている。
『そんなに……弱ってたのかよ……』
「俺にはそれはわかんないけど楽しそうに話してくれててて………、そこに『魔族』ってやつが現れた。それで俺を守る為にその背中に乗せて逃げてくれたけど……考えてみたら俺がいなきゃ、逃げられたと思う。ごめんな……」
俺は深々と頭を下げて、そこから改めてその時の出来事を話せば、彼はただ親の最後の姿を聞こうと真っ直ぐにこちらを見て最後まで……相槌すら打つ事なく、ただ真っ直ぐにこちらの目を見ていた。
『あい分かった。ハジメ、すまなかったな。そしてありがとう』
「……お礼を言われるような事じゃ……」
『……ハジメ。親父殿はどうだった?』
「最後までカッコよかったよ」
その目を見て、これだけは伝えなきゃとハッキリと言えば、竜は一度息を大きく吸うと、
『カッカッカッ!! そうか!! ならばいいさ!!』
と大きく笑た。
「その笑い声、よく似てるな」
思わず親子だと感心したように呟けば、ソレを聞いて更に笑う。
『そうか。親父殿はお前さんの前でそんな豪快に笑ったのか。カッカッカッ! そりゃぁお前さん、何よりだ!』
なんだか楽しそうに尻尾をビタンビタンとしながら笑う姿に、なんとなくつられて俺も笑えば、その眼は笑いながらも優しくこちらを見つめてくれる。
『エルフ、ドワーフ。結界にまで余を入れさせて悪かったな』
言われたカエストロさんを見れば、今度はカエストロさんが厳しい顔して……いやむしろ青い顔をしてこちらを見つめているのに気がついた。
「あの、カエス……」
「一つ聞かせてくれ。ハジメ。その魔族というのは角の折れた……男では無かったか?」
「え……えぇ。名前は……なんだっけな。黄色い髪の……」
「トニトロスかぁ!!!」
まだ告げていない名前を呼んで俺の胸ぐらを痛いほどに掴むのはデックスだった。
「そう……たしか、トニトロスだ……ゴホッ、苦し……」
小柄なデックスは慌てたように「悪ィな」と呟いてその手を離すが、顔も、それにその身体は明らかに怒りに震えている。
「……『ドワーフ殺し』」
その表情を見て、あのトニトロスの称号にあったソレを思い出し声に出せば、デックスの肩が揺れた。
「それを知ってるというなら、称号を見たのか?ならば、『エルフ殺し』もあったろう」
「…………あった」
言いづらいあまりにかすれそうな声で呟けば、キヨラは俺と腕を組むと彼らを見つめて、
「ヒト殺し、ドワーフ殺し、エルフ殺し、それに同族殺し、四天王殺しに聖女殺し……それ以上は僕達には見えなかったけど、ただ暇つぶしの称号集めだって言ってた」
そこまで言う必要はないんじゃないかとキヨラを見るが「隠しても事実でしょ」と言いながらもその握る手に力が入るのを感じて、その頭にもう片手を軽く乗せて今度は俺が口を開く。
「エルフとドワーフは見つかりにくいって言ってた。それってこの結界ってやつのおかげなのかな……。だから竜が聖域から出たから称号を手に入れに探してきたって言ってた」
『なるほどな。魔族らは防護されると一気に感知能力はかなり下がるらしいからな』
「そうなの?」
知らない話だとキヨラが竜を見上げれば、その眼は細まり優しさを灯してくれる。
『お前は特に女神に守られているようだな。だからこそ強い魔物に会うことが少ない。違うか?』
言われて思い当たる節があると、俺たちは顔を見合わせてから頷いた。





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