なんのこと……だよ?
「まぁ結局のところキヨラのカツラが帰ってくるまでは待たないとだな。カエストロさんはどこに住んでるんですか?」
俺の質問にカエストロさんはいつの間にかお茶を入れて俺たちの前にも出してくれる。いやここ仮住まいとはいえ俺らんチだわ。めちゃ我がもの顔じゃん?
「そうそう、私が普段住んでるのはもう少し森の方だよ。やはり木々に囲まれていた方が落ち着くのさ。しかし暫くは君たちと少し話しもしたいから、その村長に貸したというものが帰ってくるまではデックスの家にいようかな」
「おっ!! マジか!! オレッチはいいぞ!!」
なんだかノリノリで答えるデックスは「いやぁ〜、こいつ甲斐甲斐しいから飯も風呂も全部準備してくれるから、居ると楽なんだ」と既に夕飯のリクエストまでしてる。図々しすぎないかとも思うが、カエストロさんは楽しそうに頷いてるので、甲斐甲斐しいは本当なのだろうと、ちょっと羨ましいとか思えばキヨラの視線がなんだか刺さったので「十分満足してますが?」と、冷や汗と共に謎の呟きを漏らしてしまう。
「それにハジメら、お前達武器もないんだろ? オレッチらドワーフの武器、見てみるか?」
「え!? いいの!? 余所者のくせにーみたいなアレじゃないの!?」
キヨラも興味あるのかキラキラした目でデックスを見れば、
「村長がやらかしたなら、流石にオレッチらもそれくらいのもてなしはするぜ」
と苦笑いをしてる。
「……あのさ、僕のカツラ、ちゃんと本当に無事に帰ってくるんだよね?」
そうキヨラが不安混じりに聞けば「……多分?」とデックスが視線を逸らしてるのは不安しか無いけど、どうも先程ビーズエールを探しに行ったデックスが周りに聞いてみたところ、あの村長はどこかに隠れたらしく、とにかくもう少しだけ待ってくれと、やらかした当事者じゃない彼に頭を下げられたら、それ以上は責められないかとキヨラとため息と共に頷くことしか出来なかった。
「でもいい機会だ。君は気付いてないかもだけど、随分魔素も溜まっているしね。君たち何の装備もなくあの森を抜けて来たのだろう? 異世界人とはいえあまり吸いすぎるのはよくない」
「魔素?」
「魔獣の出る森には……なんといったらいいのかな。ヒトが住む街と違い、魔素が漂っているのさ。それを空気と一緒に必要以上に吸い込めば、あまり良いものではないからね」
「そうなの?」
「そうさ。吸い込み過ぎれば魔物になることもある」
「は!!?」
驚きのあまり勢いよく立ち上がれば、そう言いながらもカエストロさんは俺ではなくキヨラを見つめていることに気がつく。
「無理をするね」
「なんのこと?」
キヨラは首を傾げて可愛らしく聞き返すが、カエストロさんは微笑んだままに言葉を続ける。
「少し身体を休めたら改めて、キョーラは特に魔力の乖離をさせないといけないね。無理をし過ぎている」
「なんのこと……だよ?」
今度は俺が聞く番だと、キヨラとカエストロさんを交互に見れば、キヨラの視線は言うなと告げるようにキツくカエストロさんに向けられるが、その当人は躊躇う様子もなく、
「キョーラに二人分の魔素が溜まってるってことさ」
と、こともなげに告げられた。





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