なんって使えない
「そういえばさ、村長がエルフに頼めば髪色を変えられるとか言われたけど、アンタに出来るの?」
一切の猫被りを辞めたキヨラは借り家の席につくなりジトっとした目でカエストロさんにそう言うと、その首は少し傾げられている。
「まぁ出来ないことはないが、君に必要かい?」
「必要だから言ってんの! 見て! この目立つピンクの髪色! 僕は元々少し色素が薄い程度の茶色系だったのに、この世界に来たらこんな色になってたの。似合うからいいけど、目立つからヤなんだよ」
カエストロさんは「ふむ」と小さく呟くと、キヨラへと近付き、頭に手を当てると何かを呟くと、その掌から魔力の流れなのか、キラキラとした何かが溢れると、キヨラの髪は…………変わらなかった。
「ハジメ、変わった!?」
期待を込めて告げられる言葉に視線を逸らしてしまうと、キヨラは自分で見える位置の髪を手で持ち確認すると、
「変わって無いじゃないか!」
とカエストロさんに食ってかかる。
「うーん。普通なら出来るんだよ。ホラ」
そう言ってカエストロさんは俺に近付き髪に手を当てると、俺の立派な剛毛の黒髪は真っ白へと変わったのが、ちょうど目に入る場所にあった鏡に映り込んだ。
「やべぇ!! こう見るとジィちゃんに似てんだな俺!! じゃなくて! 戻して!! まだ若くいたい!」
「そうかな? 綺麗だと思うけどねぇ」
白髪が年寄りの感覚はこの世界にはないのかと、たしかにカエストロさんの銀髪なんて美形が過ぎてて気付かなかったけど、日本で見たら……まぁ超絶美形エルフだからなんでもいいか、などと思ってる間に髪色は戻してもらった。
「まぁ、とにかくこうして普通なら変えられるはずだけど、君が教会から特別に呼ばれたとするならば、何かあるのだろうね。単純な問題で解決しないらしい」
「つまりは?」
「出来ない。今はね」
「なんって使えない」
「期待させて悪かったねぇ」
キヨラの口の悪さも気にしないでくれているようだが、とりあえず俺の横で猫被りキョーラとしか対面してなかったデックスが「女の裏表怖ぇなぁ」と呟いているが、女の子ですらないことを告げるべきかどうか悩みながらも、その辺はキヨラさんに任せようとまる投げすることにした。





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