よく笑う可愛い子に育ったよ
「そしたら私たちが旅に出たところからはじめようかな。旅は元々私一人のつもりが二人で旅に出ることになったんだ。デルは新しい鉱石を見つけたくて。私は新たな事が知りたくて」
カエストロさんは懐かしむようにその瞳を伏せながらゆっくりと話し出したが、パッと顔を上げ笑顔に切り替わる。
「ふふっ、しんみりしてちゃ駄目だね! いや、思い返しても楽しかったさ。デルとの旅は。まずはこのドワーフの村から出て、魔物に襲われたりはしたけど、デルも若いなりに腕っぷしはあったしね! 私もエルフだから……、いや魔力はまぁその辺のエルフよりもあったしね。だから野宿やらをして快適とは言えないけど、危険もなく楽しく旅が出来てた訳さ」
気持ちを切り替えたのか胸を張り、身振り手振りをして楽しそうに語るカエストロさんに俺たちは相槌を打ちながら聞く。
「彼とは色んなところに行ったよ。他のドワーフの村に行って、こことは違うやり方でナイフを研磨する技術を学んだり、はぐれエルフに出会ったり。時折人に攫われてみたり」
「危険あったな!」
「ふふふっ、でもデルがすぐに助けてくれたし、危険と言うほどでも無かったね!」
楽しそうなカエストロさんだが、キヨラは攫われたと聴いて自分のことを思い出したのか少し顔を青くしたので、テーブルの下で腿の上にあるその手を触れると、キヨラもまた視線を上げてカエストロさんに視線を向けて質問をする。
「デルさんは強かったんですか?」
「そうだねぇ。ドワーフだから小柄だったけどドデカいハンマー振り回して、魔物だろうと蹴り飛ばして殴り飛ばしてたよ」
「最強じゃん」
思わず俺が呟けば、カエストロさんは誇らしげに笑う。
「そうさ!デルは強いし優しいし、少し口は悪かったし、人相も悪かったけどね!」
「ねぇねぇ悪口も入ってない?」
俺が思わず横槍を入れれば、カエストロさんは楽しそうに「そんなことないさ」と笑う。
「てゆーか僕から見たハジメと大してかわらないね」
「え!? 口悪い?!」
「いや人相の方」
「ヒドイ!!」
キヨラのツッコミに嘆けば、やはり膝を叩いてカエストロさんと横のデックスも笑いを堪えているようだった。
「俺だって子供の頃は可愛かったんだよ!」
「僕は今でも可愛いけどね」
「それはそう!!」
「お前らいちゃつくなよ」
横で聞いていたデックスのツッコミに不満げな顔を返せば「うん。キョーラが言うように人相は良くは無いな」などと告げられれば、キヨラも「でしょう」と頷く。俺も傷つくよ⁉︎ この歳になるとそんなストレートに顔のこと言われることないからね!
「ふふふっ、君たちの旅も楽しそうで何よりだよ。まぁそれで私たちはそんな旅先で異世界人に会ったんだ。君みたいな黒い髪をしたね」
頭を指さされて、俺も自分で頭を指せば、満足げにうんうんと頷かれた。
「身長は君たちの間くらいの子だったな。よく笑う可愛い子に育ったよ」
「育った?」
ささやかな疑問を上げれば、カエストロさんは懐かしむように俺を見た。
「旅の途中の森の中、ただ何が起きたのかわからないとばかりに呆然と空を見上げていたところを見つけてね。声をかけたんだ。たしか、その時ショーガクセーって言ってたかな?」
「小学生!?」
目を見開いて驚けばそれを気にした様子もなく、
「人の子供を表す言い方なんだろう。聞けばまだ10さいだとか言ってたね」
俺とキヨラが顔を見合わせていれば、カエストロさんは呑気にも「その子はあっという間に大きくなってね。デルの背もすぐに越したよ。いやぁ短命種の成長速度は凄いねぇ」と楽しげに笑った。





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