そりゃどうも
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ーーーそれはまだドワーフとエルフが仲違いしていた頃の話。
「こんにちは。ドワーフ君たち」
「エルフ!!?なんでここに!!?」
ドワーフの集落にエルフが来るだなんて有り得ないその状況にドワーフ達が驚けば、そのエルフは美しい白い服と銀に輝く髪を風に靡かせながら微笑む。
その顔は性別を超越したほどの美しいが、決して厚いとはいえない布のはだけたようにも見えるその服から見えるその身体は男だと告げていて、そんな彼にドワーフ達は警戒して近づかないでいれば、エルフは片手を挙げて怯えるなとばかりに笑顔で手を振った。
「驚かしてしまったならすまないね! 私は君たちの技術が知りたくてやってきたんだけどね。ちょっとそこで魔物にやられてしまってね!出来たら治療とかもしてほしいかなぁ〜なぁんて」
そこまでいってフラリと倒れたのを一番近場にいたドワーフが慌てて支えて治療院へと連れて行った。
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「いやぁ〜! 迷惑をかけたねぇ。私が倒れてる間、何かあったのかい?」
「……何かあったも何も、エルフ、お前さん何をした?」
目が覚めるなり明るく告げるエルフに、部屋にいたドワーフが訝しげな顔で聞けばそのエルフは楽しそうに笑う。
「おっと!もしや私を君が助けてくれたのかい?感謝するよ。えーっと……」
「何をしたかと聞いてるんだよ」
ドワーフはベッドの近場の椅子に座れば、エルフはベッドで起き上がり座ってドワーフを見る。
「何かって、何ってことはしてないさ。私は君たちの結界の中に入る前に魔物に襲われてね。無理矢理結界の中に入ったはいいが、追ってきた魔物に壊されたら君たちにも迷惑掛かると思って、魔力フルに使って強固にしたら魔力切れと襲われて背中も怪我してたせいか、ドワーフくん達に挨拶してる最中に倒れちゃっただけさー」
「どうりで……」
そこまで聞いたドワーフは頭を抱えると、エルフは不思議そうに首を傾げるのをみて、ドワーフはカーテンを開ければ、そこは緑豊かなドワーフの村。
「どうかしたのかい?」
「どうもこうもあるか!! お前が倒れて一か月! この村は言うなれば無骨な岩がゴロゴロ転がった村だったんだ! なのにお前さんが来てから、緑は生い茂るわ、苔は生えるわ、鳥は巣を作り始めるわ、どうしてくれる!?」
「どうって……豊かでいいじゃぁないか?」
手を合わせて楽しそうなエルフにドワーフは頭を抱え、
「作物が育つのはいい! ただ今まで掘り進めてた岩盤は苔まみれになるわ湿度は上がって脆くなるわ、困っとるんだわ!」
「なるほど。君たちの生活環境が変わっちゃったんだね。それは悪いことをした。私はエルフの中でも自然に愛されているらしくてね。私の魔力に惹かれて自然も育ったのかもしれないね⭐︎」
「しれないね⭐︎っじゃないわ!なんとかしろ!」
「そうだねぇ。命の恩人たちに迷惑をかけるのも悪いしね」
そういうと先程まで寝ていたとは思えないほどにあっさりとエルフは屋敷を出ていき……、暫くするとまた帰ってきた。
「うん。これで大丈夫。魔力経路を君たち元あったドワーフを主として直してきたよ。暫くは私の影響もあるかもしれないけど、そのうち緑は減ってくると思うよ」
なんでもないように告げられた言葉は、ドワーフ達の知識と魔力の髄を結集した結界を悠に超えた発言なのだと、そのドワーフは眉を寄せて深いため息を吐いたが、エルフは気にした様子もなくテーブルの向かいへ座った。
「……そりゃ、どうも。で、エルフさんよ。アンタは何しに来たんだ?」
「ん〜、エルフさんじゃなく、カエストロと呼んで欲しいな。ドワーフくん」
その笑みにドワーフの表情引き攣るが、圧のある笑みに負けたと、またため息を吐きながら、
「カエストロな。オレッチの名前はデルロックだ」
「宜しく。デルロック。君はデルでいいかい?」
「ならお前さんはカエか?」
出された手を握り返してドワーフが言えば、カエストロは一度驚いた顔をしたあとに、満面の笑みを浮かべて「そうだね!」と頷いた。
「で、カエは何しにきたんだ」
「最初に言ったろう?ドワーフの技術が知りたくて来たんだよ。教えてくれないかい?」
嬉しそうに告げられた言葉に、またもデルは訝しげに顔を顰める。
「エルフはオレッチらドワーフを毛嫌いしてたんじゃないか?」
「正直それはあるね。でも私は君たちの作ったナイフを手に入れてね。その切れ味と刀身の美しさ。それにこだわり抜いたその技術に惚れたんだよ」
真っ直ぐに言われた言葉にデルロックは焦げ色の肌を少し染めると「そりゃどうも」と無骨に答えた。





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