弱いのに滅びないのはすげぇよ
「つまり、エルフはこの村には居ない?」
武器はともかくと次にした俺の質問にデックスがくれた答えを端的に言えば、首を捻られた。
「ん〜……、いねぇって言うか、今は居ないってとこかな」
デックスは一度腕を組むとどこから話せばとでもいうように、天井を見上げた後にまた口を開いた。
「オレッチらドワーフとエルフは、今こそ協力関係だが、元々仲良くはなかったわけだ」
「へー?」
俺の相槌にデックスは笑いながら「ハジメの世間知らずもある意味良いとこだな」と笑うのは多分馬鹿にされてるか、いやそのままの言葉なのだろうと、カラカラと笑うデックスを見ていれば、また丁寧に説明を進めてくれる。
「そりゃオレッチらドワーフは木やら鉱物をいかに丈夫に作り変えられるかと鉱業を発展させた側と、自然と共存して生きたいエルフだからな」
「なるほどなるほど」
その説明に納得して頷けば、いつの間にかキヨラも隣に座って話を聞いている。
「そんなわけでまず前提として、オレッチらドワーフとエルフは仲良く無かった」
「うん」
俺の簡単な返事にデックスは笑いながらざっくりとした棒人間に近いレベルの絵に矢印加えて話してくれる。
「ハジメにはやっぱまず世の基本からだな。エルフは自然のままが好きだ。それでそれを加工するドワーフが嫌いだった」
「なるほど」
「そんでオレッチらドワーフは人間が嫌い。弱くて短命なくせに背の低くあまり地上に出ないドワーフをバカにするから」
「すみません」
素直に人として謝れば、デックスは「まぁまぁ、続きを聞けって」とまた絵に視線を戻す。
「人間はエルフを嫌いっつーか、怖がってってな。そりゃ魔力の量が普通のヒトに比べりゃ正に桁違いってもんだからな」
そんなにも違うのかと驚きながらもその絵を見ていれば、デックスは気にも止めた様子もなく話し続ける。
「でもまぁ、時が経てば変わってくる関係もあるわけさ。まずはエルフがドワーフの道具に興味を持つ。ドワーフは人の発想力と開発力に興味を持つ。んでもって人はエルフの美しさに興味を持つ」
その循環を指で追いながら、最後ので思わず呆れた顔になってしまった。
「なんかさ、人だけ安易に表面に惹かれすぎてるなぁ」
「そうだなぁ。しかし元々エルフはドワーフよりも更に短命なのに人生を謳歌してるヒトに興味を持ってたらしい」
「なるほど?」
「オレッチらやエルフから見りゃ、魔力も身体も弱いくせに、繁殖力だけはあるしな」
「おぉっと、そうきたか」
他の種族からみたらそうなるのかと、苦笑いと共に頬を掻けば「弱いのに滅びないのはすげぇよ」と褒められてんだからなんだかわからないことを言われてしまった。
「ん〜……そっちに言わせりゃ人は短命で、それこそ命を紡げる期間も短いわけだし、そう見えるのか」
俺らの世界ではそりゃ未成年でも子が出来るとはいえ、やはり20歳くらいから40手前……医療技術やらで伸びてはいるが、そーゆーのがない世界だし更に厳しそうだとまたも納得する。
「そうだな。人と比べりゃオレッチらドワーフでも300年くらいは生きるし、エルフは500だか1000とかまで生きるわけだろ? それに比べたら生きて50年程度の寿命のヒトの命なんか短ぇわけよ」
平均寿命50年て、どこの戦国時代なのかと思うけど、ある意味モンスターやら出る戦国時代かと妙に納得してしまう。
「で、エルフとドワーフの、その変なエルフってのは?」
「オレッチらも生まれる前、まぁ村長は幼い頃に見たんかもしれねぇが、あるときフラッとエルフがこの村にやってきたんだってよ」





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