クエスト:ゴブリンを倒せ
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荷物の点検も終わり、酒場でマユちゃんと今日の予定を話し合っている頃、彼らがやってきた。
アルくんは鬼の仮面を付けての登場だ。よっぽど有名人なんだろう。
そしてリリーシェも昨日と同じくフルプレートの全身鎧を着込んでの登場だ。
「おはよう。良い感じの見つくろっておいたよ」
「おはようございます。アルさん、リリーシェさん!」
片手を挙げ挨拶する。
「おはようございます。ユウキさん、マユさん」
「おはよう。良い朝ね」
彼らに席に座るよう促し今朝ギルドで見てきた依頼を伝える。
「三つ候補があるんだけど……どれがいいか一緒に考えてほしい」
「はい。お願いします」
「一つ目、街外れの畑がゴブリンに荒らされてるんだってさ。何度か撃退したんだけど諦めないみたい。期限は三日。内容はゴブリンのせん滅。報酬は銀貨1枚。1000インだから一人当たり250インだね」
「ゴブリン退治ー?」
「二つ目、街道沿いに野盗が出るらしい。規模は5、6人程度。護衛を雇えない商人が襲われた。期限は同じく三日。アジトの発見に報酬銀貨1枚。退治に銀貨4枚。野盗に魔法使いはいなかった」
「最後が、領内にいるとされる噂の吸血鬼の退治。期限なし。報酬は金貨100枚と騎士の叙勲だってさ。どれにする?」
「実質二択ですよね」
マユちゃんが苦笑しつつ鋭い突っ込みを入れてくれる。
この国の通貨はインで制定されていて、硬貨として銅貨・銀貨・金貨の3種類が生活に使用されている。
銅貨1枚が1インで、銀貨は1000イン、金貨はその100倍、1枚で10万インの価値がある。
拠点にしている踊る兎亭が食事込みで1人1泊50イン。ゴブリン退治でも5日分にはなる。
……命の危険のある仕事が5日分にしかならないとも言い変えれるけどね。
ただ装備や消耗品は使えばそれだけ消耗するものだから、7日に銀貨1枚――1000インぐらい稼がないとじり貧になってしまう。
じり貧ループから抜け出せる力ある冒険者がベテランとなり、俺たちを含めた多くの冒険者がここで停滞もしくは夢を諦める。
ちなみに、街の衛兵や領主軍なんかは必要に応じて装備や薬の支給有りで月に銀貨3枚ほど給金をもらえるらしい。
この街の物価を考えると4人合わせて銀貨1枚の報酬というのは非常に低い。250インはギリギリ赤字にならないかどうかだ。
逆に、吸血鬼の退治はなんと……1000万イン!
働かなくても、ええと……20万日のんびりできる!?
危険度はそれに見合ったものなんだろうけど凄い報酬だ。
「ゴブリン退治は駆け出し冒険者の依頼、ですよね?」
確かめるようにゆっくりとアルくんが口に出す。
「そうだね」
間違いないよ、と頷き返す。
「何で? 私ら魔法使いが二人だし、ユーキだって駆け出しじゃないんでしょ?」
「うーん、気を悪くしないでほしいんだけど……二人ともFランクの冒険者じゃない?」
「……まあね」
「はい」
口を尖らせるリリーシェと宥めるアルくんの構図が、彼らの性格をよく表している。
「自信は感じるし、実際凄いのかもしれないけど。私としてはあなたたちの実力を見てみたいし、アルくんたちも私らがどんな風なのか知りたいんじゃないかと思って。候補に入れたんだ。もちろん野盗のアジト探しでもいいよ。どっちも銀貨1枚の報酬だしね」
「うーむむ。なるほどね……」
「それにゴブリン退治だって手際よくやればFランクの貢献度なら稼げちゃうかもしれませんよ! 朝受けて日帰りで試験受けてEランクになりましょう!」
マユちゃんがフォローをしれくれる。
「よし、ゴブリン探しましょ!」
「ですね」
難しい顔をしていたリリーシェも納得し、晴れて俺たち四人はゴブリン退治に赴くことになった。
「ところでリリーシェさん、その格好で行くんですか?」
全身鎧姿な彼女にマユちゃんは言い辛そうに意見する。
いかにも防御性能は高そうだけど、探索に向かないことは明白だ。
「え、そういうものなの?」
「着替えてくる? それくらい待つよ」
「うーん……」
リリーシェはガチャガチャと音を鳴らてしばらく悩んだ後、
「代えはないし、今日はこれで行くわ!」
と大きな声で宣言した。
ま、本人がそう言うならいいでしょう。
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ファンタジーTRPGの定番、初クエストはゴブリン退治です。
さっくり終わります。
まったくの余談で、ユウキは中二病TRPGで言うところのエグザイル×キュマイラを意識しています。




