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異世界の冒険者  作者: かやばさん
異世界にいました
19/51

村の子どもたちとウサギ狩り

名前のミスを修正しました。

――この世界基準だと大したことないが。


「さて、帰りますか」


またもやジョギングしながら帰路に着く。

行きより遅く、息も上がらないぐらいを維持するクールダウンの速度。


「この後は採集かー……」



緩い坂を走り降りながらひとり言。

背の低い位置に生えている野草探しは腰が痛くなってしまうのであまり気が乗らない。


冒険者になったばかりの人がする最初の頃にする下積み用のものなので、日が暮れるまでやっても寝泊まりしている宿代には到底届かないのがまたやる気を減衰させてくれる。

とはいえ、回復薬や魔法薬になる草の群生地なんかを見つけたらちょっとした稼ぎにはなるし実入りがないわけではない。

ただ、ひたすらに根気が要る作業なので夢見がちな冒険者たちには人気がない。

俺もその例にもれない。


とはいえ、植物への知識はつくし、宿代すらレイナさんにお世話になっている身なので、少しでもお金を稼ぐためにはやらざるを得ない。


「うし、頑張ろう!」


拳を空に突き上げ、気合いを入れる。

目指すは大空を自由に駆け回るベテラン冒険者だ!



――――――


快晴の天気の中、平原を採集地目指してジョギングしていると年若い冒険者とそれにカルガモのごとくついていく子どもたちを発見した。


――いつもよりちょっと村から離れているね。


年若い冒険者たちの名前は、ダリル。

やんちゃな男の子で、俺と同様に絵に描いた冒険者に憧れるルーキーだ。

ナーナ村初めての村出身冒険者で、17歳になった先月ギルドに登録を出した。

それらしい冒険者に憧れる同士ということで、村に来てそうそうに仲良くなり、レイナさんが忙しい時は共にギルドでご飯を食べたりもしている。


彼の仕事はもっぱら村の子どもたちが野草の採集をするときの護衛をすることだ。

貧しい開拓村の住民が生き残るには、子どもだってやれることはやらなければならない。その仕事が薬草や食べられる草の採集で、護衛がルーキーかつ村出身の彼というわけだ。

ナーナ村は育ての村で恩もあるし護衛料がもらえるならと言ってダリルは護衛依頼を受けている。


ただ、不満がないわけではない。

ダリルもいつかは己の力で世界に名を馳せたいのだ。

子どもの護衛は危険も少なく、かつ自分も採集に参加できるので実入りは悪くないのだが、いかんせん腕を高める機会に乏しい。

それが彼には不満らしい。

ちょくちょく愚痴を聞いている。


俺にもその気持ちはよくわかる。


「やあ、この辺に居るなんて珍しいね」


軽く左手を挙げて挨拶をする。

村から3、4キロは離れていて、子どもを連れてくるにはいささか距離があると思う。

一昨日、一緒に参加させてもらった時にはもっと村近くで野草を探していた覚えがある。


「ああ、ユーキか。この辺りで訓練してたんだ。結構遠いんだな」


ダリルも片手を挙げて挨拶を返す。

後ろでは子どもたちが、「え、レイナさん?」とか「ひゅーひゅーダリルラッキーじゃん」などと騒いでいる。


子どもの数は4人。

年齢には幅があり、8歳ぐらいから15歳ぐらいの少年少女で構成されている。

刺激の少ない彼らにとって俺は格好の獲物だったようで、すぐにダリルとのカップリングが作られた。

実際ダリルとよく話しているのも原因だろうね。


「どこか行くんだったら私も連れてってくれない?」

「いいよ。ただ、今回は野ウサギの狩りだからいつもとは勝手が違うかもよ?」


大丈夫か? と心配してくれるダリル。

彼は冒険者になったばかりの俺にとても世話を焼いてくれていて、なにかと教えてくれる。

実際何も知らないからさぞ心配をかけているだろう。

「うーん。たぶん大丈夫。駄目でも勉強させてもらうから」


子どもでもウサギ狩りをするんだ。やり方がわかれば俺だって能力に頼らずともできるだろう。

ウサギなどの小動物でも、何羽は狩れれば野草採集よりずっと実入りがいい。

どの世界でも肉は高い。


「そうか。なら俺は問題ない」


嬉しそうに何度か頷くダリル。


年は上だけど、冒険者としては後輩の俺。

彼は後輩ができたことが嬉しいのだ。

俺としても気兼ねなく接することのできる友人兼先輩が居るのは助かっている。


「私も付いていって皆の狩りを見せてもらっていい?」


ダリルではなく、後ろの子たちへもお伺いを立てる。

あくまでダリルは護衛である。


「いいよー」「僕、すっごい上手なんだよ!」「……うん」


小さな子は口ぐちに、思春期前後の女の子も照れたように頷く。

満場一致で可決だ。


「そんじゃ、案内よろしくね。ダリル」


汗を拭き拭き、カルガモ部隊の一番後ろに参加する。



歩くこと、数十分。

ずいぶん離れたところまで来た。

これ、子どもの足だと二時間ぐらいかからないかな。


……健脚が恐ろしい。

それだけ切羽詰まる生活をしている証でもあるけれど、強いことは良いことだ。


俺が帰りのことを考えてげんなりため息を吐いていると、ダリルたちは荷を降ろし、巻いていた麻の網を広げ始めた。

どうやらここがウサギ狩りのポイントのようだ。


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