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ちょっと私がさあ、本気でサンダーストーム撃ったら脳が破壊されたんだが(笑)  作者: 熾火慎之助
第七章「希望」1

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第七章「希望」2

(まったく、無茶をするわね・・・)

アズサはヒカリの勝利を見届けて思った。


しかし、他人の心配をしている暇はない。


ナイトメアがアズサに襲いかかろうと警戒しながらにじり寄ってきていた。


この羊の魔族の魔法マイクロスリープは対象をコンマ5秒眠らせることができる。


対象となった者は意識が飛ぶため、その間にナイトメアが高速で移動して距離を詰められると、まるで時間が切り取られ瞬間移動してきたように錯覚するのだ。


(一定の距離を保たなければやられる)

現時点でアズサはここまで理解していた。


コンマ5秒で近づいて攻撃まで行える距離にナイトメアの侵入を許せば、無防備の状態を襲われ一撃必殺となる。


だが、戦闘の始めにアースニードルでナイトメアを追いやっておいたことが、能力の理解のために活きていた。


<セレクトスリープ>


動き回っているアズサに対し、ナイトメアが新たな魔法をかける。


アズサのもとに紫色の星屑のような光が降りてきて、彼女はアースニードルを封じられたと感覚的に理解した。


(ナイトメアは相手の技術さえ封じることができるのか)

アズサは思う。


そしてアースニードルによる牽制ができなくなったことで、次の魔法による対策が迫られていた。


アズサはすぐに右手を突き出した。


<ショットストーン>


地中から浮き上がった岩石がナイトメアに向けて乱れ飛ぶ。


しかしナイトメアは逞しい腕で飛んできた

それを払い落とし、また一歩アズサとの距離を縮めた。


<セレクトスリープ>


今度はショットストーンを封じられたことをアズサは理解する。


(なるほど、こうやって獲物を追い詰めるタイプね)

アズサは感心した。


しかし、これでは容易に魔法を見せられない。


<ストーンウォール>


突然アズサの目の前に石の壁が出現し、お互いの姿を遮る。


しかし、ナイトメアはすぐに石の壁に近づいて、その剛腕を振り回して粉々に粉砕してしまった。


崩れ去った石壁の向こうにアズサが立っており、すでにコンマ5秒必殺の距離である。


<マイクロスリープ>


手の届く距離にいたアズサの身体はナイトメアの剛力によってぐちゃぐちゃに引き裂かれた。


しかし、その遺体はやがて土のようにボロボロになって崩れていく。


<ソイルダミー>


アズサは石壁の向こうで土人形と入れ替わっていたのだ。


「どうやら、そのマイクロスリープ。視認している対象にしか効果がないようね」


すでにアズサはナイトメアの背後に回っている。


アズサの周辺から持ち上がった石が、彼女の手のひらに集中し、すぐに長剣を生成した。


<ストーンブレイド>


アズサが岩石の長剣で袈裟斬りを放つ。


しかし、効果はあったが致命傷ではない。


アズサは急いで後ろに飛んだ。


コンマ5秒の外側まで。


<セレクトスリープ>


まずナイトメアは振り向いてソイルダミーを封じた。


そして、すぐに飛んだアズサを追いかける。


<マイクロスリープ>


ナイトメアはアズサを完全にコンマ5秒の距離に捉えた。


しかも、今度はソイルダミーを封じ込めており、身代わりの可能性はない。


ナイトメアがトドメの剛腕を振り上げる。


しかし、今度はナイトメアの身体は動かなかった。


ナイトメアの後ろで羽交い締めにする何かがいたのだ。


「傀儡魔法(かいらいまほう)、ブラウンジャイアント」


アズサはマイクロスリープ前に、この自動で動く土人形を地中に生成していたのである。


そして、アズサが拳を振りかぶると地中の石が浮き上がり拳に集中し始めた。


それが豪快で鋭い岩石の拳を形成していく。


<梓流対魔雄滅殺術、火箭岩拳(かせんがんけん)>


「ドーンッ!」

アズサが気合いとともに拳を突き出す。


そしてそれがナイトメアの腹部を突き抜け、そのまま飛んでいって後方の全てを破壊し尽くしていった。


「ふう・・・」

塵になったナイトメアを見届けたアズサが一呼吸し、辺りを見回す。


犠牲は大きかったが、とにかく賢者の村は守り抜いた。


すぐにアズサはヒカリを回復専門の者に預けて、長老に報告に向かう。


「アズサ。よく駆けつけてくれたな。おかげでこの村を守り抜くことができた」

長老はまずアズサを労った。


「いえ・・・その言葉はヒカリにおっしゃってください。私は任務を遂行することもできませんでした」

結果的にアズサは七魔雄の1人を倒しただけで、賢者を連れて来る任務はヒカリが全て行っていたことになる。


「今回のことはもちろん前例のないことだ。七魔雄を撃破することができた時点で奇跡の偉業と呼べる。残る問題は残る七魔雄の1体と魔王の封印だが・・・」


この時点でジムが七魔雄の1人であることを2人は知らない。


「リョウ(炎)とエイシン(氷)を亡くした今、残る賢者はアズサ(地)、ヒカリ(雷)、スズ(風)、バン(金)となってしまったわけだが」


「チアキ様に手を貸してもらうのはどうでしょう?」


「チアキはもう魔法を使える状態ではない。そして娘のノゾミも悪いが力不足だ。だが、心配するな私が5人目を埋めよう」


長老も元々、炎の賢者だった。

50年前に魔王を封印した1人とも言われている。


「スズは体調が回復し次第、村に来るよう伝えておきました。残るはバンが強力してくれるかどうかですが。魔王復活の時期はまだ判明しないのですか?」


「魔王復活は明日だ」


長老の言葉にアズサは驚いた。

これでは今からアズサが動いてバンを連れてきていては間に合わない。


「魔王はこの村で復活し、この村で封印しなければならない。どうやって封印が解かれるのかはわからんが、予言では明日封印が解かれるとでている。だからアズサ、今お前がこの村を離れてはならんのだ」

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