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ちょっと私がさあ、本気でサンダーストーム撃ったら脳が破壊されたんだが(笑)  作者: 熾火慎之助
第四章「風の園」

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第四章「風の園」2

一方でアオナ達はスズが乗っているであろう馬車を見つけ猛追していた。


馬車は人間の歩行速度とあまり変わらず、走れば追いつくことができる。


馬車には二十数人の歩兵が平行しており、その兵とアオナ達が激突する。


「まともに戦うな!攻める側という利点を活かせ!」

アオナが若者を叱咤した。


アオナ達は兵数で劣るが、賢者狩りは馬車を守らなければならない問題を抱えている。


必然的に兵数を戦闘に回すことはできないのだ。


「回り込め!」

アオナは2人の若者を引き連れて戦場を大きく迂回し、馬車を追撃した。


守備兵は6人いる。


2人の若者は大きく横に広がり、1人ずつ兵を引き剥がしていく。


アオナの眼前に4人の兵が残り、その4人に向かってアオナは手をかざした。


<エレクトリックショック>

雷魔法の基礎である。


弾ける青白い光の玉が4人を襲って感電させた。


(あとは車輪を破壊し馬車を止めてしまえばいい)

アオナは思う。


すると、馬車の中から1人の美形の男がふわりと降りてきた。


「俺は賢者狩りのイテタキ。お前達は風の園の兵ではないだろう。なぜ俺たちを襲う?」


「私はアオナ、雷の賢者の弟子だ!スズ様を返してもらう!」


「ほう、それは良い・・・」

イテタキはそう言って不敵に笑い、分厚い長剣を鞘から抜いた。


刀身が水晶のように透き通っている。


(なんだあれは・・・)

アオナは思ったが、すぐに剣を抜いた。


イテタキが間合いに入る前に、アオナが手をかざす。


エレクトリックショック!


イテタキは自身に放たれた雷の玉を悠々と剣で薙ぎ払う。


「な、何ッ!?」

アオナは叫んだ。


魔法を剣で防ぐなど本来不可能なはずである。


「素晴らしい剣だろう?<流雷剣ディスチャージ>。ヒカリを倒すために急ぎで作らせたんだ」


「ヒカリ先生を・・・」


アオナが言い終える前に、持っていた剣が宙に舞っていた。


「ふ、死ね」

イテタキがアオナを斬り伏せようとした瞬間、その背後を別の雷撃が襲った。


イテタキは咄嗟にそれに反応し、剣で防いで飛び退がった。


「間一髪、間に合ったな」

声のする方にはヒカリが立っていた。


「先生!」


「そいつは私が引き受ける。お前は馬車を追ってくれ」


「気をつけてください。そいつには魔法が効きません」

アオナはそう言って馬車を追っていった。


「ふふ、会えるのを楽しみにしていたよ。ヒカリ」


「そいつは嬉しいね」

ヒカリは手槍を構え、じっとイテタキの様子を見た。


イテタキは一定の距離を保ち、ヒカリの周りを練り歩いている。


「魔法が使えない恐怖を噛み締めるといい」


「早く来いよ」


少ししてイテタキは地面を蹴って高速移動し、ヒカリの足に刃を向けた。


しかしヒカリはそれを槍で払い、そのまま旋回させ、前傾姿勢となったイテタキの背を石突で打ち据えた。


「うぐうッ・・・」


イテタキは転げ回りながら身を退いて、立て直そうとしたが、そこにヒカリの連続突きが襲いかかる。


(くッ・・・何が起きているんだ・・・)

イテタキは思った。


気力を振り絞って、連続突きを剣でいなしても、ヒカリはさらに勢い付いて連続突きの中にバリエーションを加えていく。


「ははは、有利なのは私だよ。お前が魔法を封じたように、私はお前の剣技を見切っている。それに私は棒術の方が得意でね」


前回戦った時は剣対剣だった。


やがてヒカリの螺旋突きがイテタキの防御をすり抜け横腹を抉る。


「ぐああああッ・・・」


イテタキが悶絶し地に膝をつくと、ヒカリは攻撃をやめた。


「敵はお前らだけじゃない。逆に魔力の節約になったようだな」

ヒカリはニヤリと笑い、肩で息をするイテタキを無視して馬車を追った。


ヒカリが馬車に追いつくと、黄緑色のローブを着た髪を2つに結んでいる女性を抱えたアオナがいた。


「スズの様子は・・・?」


「手当ては受けているようですが、意識が朦朧としています」


ヒカリは付け焼き刃の回復魔法をスズに施した。


「かなりの血を失っている。急いで帰ろう」

ヒカリはそう言って歩を進めようとしたが、それに釘を刺すような気配を感じた。


「七魔雄だな?姿を表せ!」


「違いますよ」

ヒカリ達の背後にいたのは、胡散臭い小太りの中年男だった。


しかも神聖な衣装を身に纏っている。


「私はオーヴ。賢者狩りの教祖でございます」


「なんだと!?」

ヒカリは驚いた。


教祖がこんなところで堂々と、しかも宿敵の前に姿を現し何を企んでいるのだろうか。


「風の賢者を渡していただけませんか?」


「渡すわけがないだろう」


「魔王の封印を解こうとしているのは、闇の賢者です。その居場所を教えましょう」


闇の賢者。魔法使いとして素晴らしい実力を持っているが、その習得と鍛錬方法が異端として賢者達から批判されている存在。


(確かに奴ならばやりかねないが・・・)

ヒカリは思ったが、


「スズを渡すのは論外だ。それにこっちはお前を捕らえて拷問し情報を引き出せばいい」

とオーヴを脅迫した。


「くくくッ・・・」


「何がおかしい?」


「嘘だよ!ばあッ!」

そうオーヴが言うと、その身体が真っ二つに裂け、中からまるで餓鬼のような骨と皮だけの細長い怪物が飛び出した。


「俺は七魔雄<ブランチ>!死ねやヒカリッ!」

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