49話
「ああ、リンクが来る3日ほど前に龍大樹を訪れに来た」
「ちょ、ちょっと待ってください!初代国王が何で今も生きているんですか!?それに復活って‥‥」
「落ち着け、初代国王‥‥アル・クォーツの事から話そう。アルは活発な奴で誰に対しても明るく、優しく接していた奴だった」
ん?授業で使う資料で見た時は、病弱そうに見えたけどな。何かあったのか?
「ちょっと良いですか?」
「なんだ」
「そもそも王様ってアル・クォーツ‥‥様とどんな関係なんですか?」
「うむ、親友と言う奴だな。実を言うと我は昔、他の種族を嫌悪していた。」
「え!?」
「紆余曲折があって、アルと殺し合いをする事になったのだが負けてしまってな。アルは我を殺さずに友達になろうと言いよった。クックッ、それから他の種族と仲良くなろうと思い始めたのだ」
よ、良かった〜アル様が負けてたら人類滅んでたんじゃないか?それにしてもドラゴン族の王様に勝つってどれだけ強いんだよ‥‥。
「我に勝ったアルは、大陸中の人間に賞賛された。かつては6つの区域に分けられていた大陸だが、アルを王にし一つの国として纏められた。その国がアルカディア王国だ」
学校では、昔の事なんてあんまり教わらないから知らなかったな。
「その後、アルと妃のカディ・トュノアは病死し、アルとカディの息子のプノーレ・クォーツとなった。ここまでが我が知っている事だ」
アル様とカディ様でアルカディアって事か。それにしても、病死ならなんでアル様が復活したんだ?‥‥はっ、蘇生魔法か!一体誰がそんな事を‥‥。
「もしかして、アル様が復活したのは誰かが蘇生魔法を使ったからですか?」
「いや、これはアルが龍大樹に訪れてから聞いた話だが、真実は違ったのだ」
「真実?どこが違ったんですか?」
「アルは死んではいなかった。そして、ある人物にカディは殺されたのだ」
「殺された!?」
待て待て待て。そんな重要な事なら何で表に出ていない!
「うむ、アルとカディは昔から仲が良かったのだが、もう1人仲が良い男がいた」
「まさかその男に‥‥」
「その通りだ‥‥男の名はエピレ・バース。我は一回あったが、プライドが高く歪んだ男だった。二度と会いたくないな」
バース‥‥クルトの先祖か!一族揃って性格が終わってるな。
「カディ様が殺されたのはわかりました。だけどアル様はどうなったんですか」
「エピルと戦った。エピレは魔法の天才だった。それこそ、神に愛されていたと思うほど。しかし、アルには及ばなかったがな」
「アル様の方が強いなら尚更意味がわからないんですけど」
「‥‥人間の間では禁術魔法になっているらしいが、エピレは無属性の憑依魔法を使った‥‥」
憑依魔法‥‥?禁術魔法の本にそんなのがあったような無かったような。
「その憑依魔法って、どんな魔法なんですか?」
「簡単に言えば、自分の精神を他の生物に移す魔法だ。移ったら二度と自分の身体には戻れない。そして、元の生物の精神は眠りにつく」
「じゃあ、憑依魔法をアル様に使ったんですね」
それなら納得できる‥‥それじゃあ、アル様に移ったらエピルがカディ様を殺したって事か‥‥?酷い話だな。
「‥‥違う」
「えっ?じゃあ誰に‥‥」
「アルの妃のカディに憑依したのだ‥‥」
「なっ‥‥!」
「アルも流石に、中身がエピルとはいえ身体はカディだったから攻撃できなかったみたいだ」
「‥‥どうなったんですか」
「アルは致命傷を負わされ、死にかけた直前にエピルはカディの身体で自殺した」
「‥‥は?」
アル様は目の前で妻を殺された挙句、何も出来なかったのか‥‥‥いや、アル様は死んではないと言っていたから、この後に何か起きたのか?
「その後、アルはオリジナル魔法で自信を封印した」
「封印?」
「ああ、リンク。お主はアルカディア城で全てを無に帰す一撃射たなかったか?」
「空に向けて、3回くらい射ちましたけど‥‥えっ、まさか!」
「我の予想通りだな‥‥お主の全てを無に帰す一撃でその封印が解かれたのだ」
う、嘘〜そんな上手い話があるのか?まさか、あんな所に人が封印されているなんて思わなかったぞ。
「なるほど‥‥でも、良かったですね。また外に出られるなんて」
「いや、出ない方が良かったかもしれん」
「な、何でですか!」
「彼奴はバース家を滅ぼすつもりだ」
「滅ぼす?」
「ああ、カディをエピルに殺された恨みだろうな。殺したのはエピルだが、怒りの矛先は今のバース家に向いている。恐らく皆殺しだろうな」
「でも、アル様は人に対して優しくて明るいはずじゃ!」
「ああ、だがアルの立場も考えてやってくれ」
「‥‥‥」
俺は何も言えなかった。確かに俺も、アリスが憑依されて殺されたらそうかる気しかしなかったからだ。
「すまぬ、どうか我の頼みを聞いて欲しい」
「頼みですか?」
「‥‥アルの親友として、アルの暴走を止めて欲しい。頼む」
そう言い、王様は頭を下げた。
「ちょっ!頭を上げてください!」
「頼む‥‥本当は我が止めに行きたい。だが、ドラゴン族が人間の街に行ったら混乱を招いてしまう‥‥この通りだ」
「王様‥‥‥わかりました。その頼み、引き受けます」
「感謝する、リンク・ノイズ。これはお礼として受け取って欲しい、龍王の加護」
「これはっ‥‥!」
リンクの目に魔法陣が刻み込まれ、右目が黒色からドラゴン族の王と同じ黄金色の瞳に変わる。そして、目の前には2枚の葉っぱがヒラヒラと宙に浮かんでいた。
「右目は我の龍王の加護による加護だ。いつもより魔力操作がやりやすいだろう。かつ、右目に魔力を込めると、生物の魔力の流れが見えるようになる。宙に浮いている葉は龍大樹の葉だ。食べるが良い、もう一枚は親しい人間に渡すなり、自分がもう一回食べるなり好きにしろ」
俺はそう言われ、右目に魔力を込めると王様の魔力の流れが見えた。
なるほど、こういう感じか。綺麗な流れだな、一切ブレがないし止まっているように見えるほどスムーズだ。
龍大樹の葉を一枚食べると、魔力量が爆発的に上がった。
こ、こんなに増えるのか!今なら龍大樹も壊せそうだな。まあ、しないが。
それに即効性が凄いな‥‥もう一枚はアリスにでも渡すか。
「ありがとうございます」
「うむ、よろしく頼むぞ」
「はい」
俺は礼をして部屋を出た。




