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48話

遅くなってしまいすみません。次の話ももしかしたら一週間後とかになりそうです。

 龍大樹を歩いて数十分。リンクの身体には異変が起きていた。


 上へ行くほど身体が重くなっている‥‥?動の魔力で重力魔法は効いていないはずだが。それに、なんだか気持ち悪いな。


「リンクさん、大丈夫ですか?」


「ああ。ちょっと身体が重くなってきたのと、少し気持ち悪いだけだ」


 そう答えると、ルンちゃんは心配しているのか、震え出した。ルンちゃんは平気そうだな、何でだ?


「もしかしたら、ここは魔力濃度が濃いからかもしれないですね」


「魔力濃度?」


「はい、龍大樹は魔力を吸って育つと言いましたよね?」


「ああ」


「そのせいです。空気と一緒に龍大樹は中で古くなった魔力も放出しています。上に行くほど葉が多いので、その分魔力濃度も濃くなります」


 国にいたら魔力濃度とか気にしないからな。魔力酔いみたいな感じか。ルンちゃんはモンスターだから気にならないんだな。理解理解。


「なるほど、我慢するしかなさそうだな」


「すみません。頑張ってください」


「頑張るよ。それじゃあ進もうか」


 ルンちゃんを撫でて、安心させて再び歩き始める。

 頑張ると言ったものの、やっぱりキツイな。頭がクラクラしてきた‥‥なんとかしないと。でも、どうしたら良いんだ?周りの魔力を利用して魔法を使った所で結局、魔法を使った後の魔力が周囲に霧散するだけだ‥‥ん?霧散‥‥?あっ!俺の周りの魔力をもっと散らせば良いのか!


「ベニちゃん!ルンちゃんを背中に乗せてもらっても良いか?」


「良いですけど、何をするんですか?」


「まあ見てなって」


 ルンちゃんをベニちゃんの背中に乗せ、俺は纏っていた動の魔力の流れを速くする。そして、動の魔力の範囲をさらに狭めた。

 すると、症状が軽くなりさっきよりはマシになった。うん、快適だな!

 ベニちゃんは、急に元気になった俺を見て困惑していた。


「何をしたんですか?」


「簡単に言えば、俺の周りの魔力を弾き飛ばした。おかけで魔力濃度が薄くなって快適だ」


「器用ですね〜」


「褒めてもなんも出ないぞ、改めて行こうか」


 工夫によっては、魔力だけで出来ることもまだまだありそうだな。魔力を放出して探知機みたいにするとか。歩きながら色々試してみるか。


「あの〜リンクさんが王の息子を倒した魔法って、どういう魔法なんですか?実は私、リンクさん達と王の息子が戦っている時に上空から見ていたんですけど‥‥」


 考え事をしていたらベニちゃんが話しかけてきた。

 あ〜全てを無に帰す一撃(オールロスト)の事か。あれが魔法に見えたんだな。


全てを無に帰す一撃(オールロスト)って呼んでるんだけど、ただの形状変化の応用で魔法じゃないぞ」


 すると驚いたのか、ベニちゃんは目を見開いて口をあんぐりさせた。ちょっと面白かったのは内緒だ。


「え、え?形状変化であの威力ですか?エンシェントドラゴンってドラゴン族の中で一番硬いんですよ?化け物ですか?」


「誰が化け物だ!魔力のコントロール次第だよ‥‥多分弓の形が一番威力が出るな。ちなみに、今はあの時よりも強力だぞ」


「やっぱり化け物じゃないですか‥‥」


 ベニちゃんはボソッと言うが聞こえてるからな?ハァ‥‥無能から化け物にランクアップか?いや、ランクダウンか?喜んで良いのかわからねえな。


 さらに歩き続けて数十分、俺の目の前には入り口よりも大きい扉があった。

 そして、扉が開いていないのに圧が凄い‥‥エンシェントドラゴンを前にしたようなプレッシャーだ。


「リンクさん、この扉の向こうにドラゴン族の王がいます」


「ああ‥‥」


「私は扉の前で待機しています。ルンさんもここで待機させますか?」


「そうだな、よろしく頼む」


「わかりました」


「ふぅ‥‥」


 俺はルンちゃんを撫でてから扉に向かう。この先にドラゴン族の王が‥‥。

 俺は意を決して扉を開けると、長い通路の先には汚れが一切ない全てを浄化するような透き通った白い身体に、宝石のような輝きを放っているこの世の全てを照らすような黄金の眼の龍がいた。


「あっ‥‥」


 言葉が出ないとはこういう事か‥‥‥。

 美しい‥‥純白の龍を見てその一言が俺の頭の中を埋めた。まるで芸術だ。一眼見た瞬間に心を奪われる。

 俺は落ち着いた後、一礼をしてから王に近づき跪いた。


「人の子よ、頭を上げろ」


 澄んだ声だな。聞くだけで心が安らぐ。


「‥‥はい」


「先ほどは魔法をかけてすまなかった。我が息子を倒した者の実力が知りたかったのだ。申し訳ない」


 だから重力魔法をかけてきたのか。攻撃系の魔法じゃなくて良かった‥‥


「いえ、俺こそ大事な子供を殺めてしまいました。すみません」


「いや、息子はどの道殺すつもりだった‥‥ちゃんと育てたつもりだったのだがな‥‥」


 そう言い、王は寂しげな顔をして俯いた。どっちにしろ殺すつもりでも申し訳ないな‥‥罪悪感が凄い。


「その‥‥殺した俺が言うのもなんですが、エンシェントドラゴンは強かったです。ドラゴン族として、強者としての誇りを持ってました」


「そうか‥‥」


 しばし無言の時間が続いた。その後、王は顔を上げ喋り出した。


「人の子よ‥‥確かリンク・ノイズと言ったか?」


「はい」


「我が息子を倒した技を、我に射って欲しい」


「え?」


 何て言った?全てを無に帰す一撃(オールロスト)を王に向かって射つ?いやいやいや、無理に決まってんだろ!


「いや!それは無理ですよ!」


「頼む‥‥」


「見せるだけじゃ駄目なんですか?」


「ああ‥‥息子を倒した技を受けてみたいと血が騒いでおる。それに、受けたら少しは息子の死んだ時の気持ちがわかると思ってな‥‥」


 いや、絶対わからないだろ‥‥めちゃくちゃ俺に怒ってたし‥‥でも、ここまで頼まれたら断れないよな〜。


「‥‥わかりした。だけど条件があります」


「言ってみよ」


全てを無に帰す一撃(オールロスト)って呼んでるんですけど、これは魔力を乱す魔力を使っています。魔力の練りが甘いとすぐ魔法が消えるので、危なくなったら避けてください」


「なるほど‥‥その魔力で我の魔法を打ち消したのか、了解した」


「はい、それに威力もあるので本当に気をつけて下さい。それじゃあいきますよ?」


 俺は左手に魔力で弓の形を作り、全てを無に帰す一撃(オールロスト)の準備をする。


「ほう。人間にしてはレベルが高いな」


「ありがとうございます。準備は良いですか?」


「ああ、いつでも来い。ちなみに龍大樹は丈夫だから気にせず射て。ドラゴン族が一斉に全力の魔法を撃っても問題ないレベルだ」


 えぇ‥‥この樹ってそんな丈夫だったのか。なら特に問題は無さそうだな。


「わかりました。それじゃあ行きます!フッ!!」


 王との距離が近いため、いつもより早めに動の魔力を包んでいる静の魔力を解除した。

 魔力の矢は一瞬で王の顔へ迫る。


「速いな、グラビティコア」


 拳大の魔力の塊が数個出現し、縦一列に並んだ。

 グググ‥‥魔力の矢とグラビティコアが宙で拮抗している。しかし、全てを無に帰す一撃(オールロスト)は少し軌道が下にずれただけで、徐々に押し始めた。


 あの魔法、相当魔力が練られているな。全てを無に帰す一撃(オールロスト)でも直ぐに消せないってちょっとショック‥‥今のでわかったが、最初の重力魔法は手を抜いてたのか。本気でやられてたらペチャンコだったな。


「ぬっ!」


 チッ‥‥!ズドォォォン!


 全てを無に帰す一撃(オールロスト)はグラビティコアを押し切り、後ろの龍大樹にぶつかった。龍大樹には大きな凹みがあった。

 こ、壊れなくて良かったぁぁぁ!ドラゴン族が一斉に全力の魔法を撃っても壊れないって言ってたから普通に撃っちゃったよ‥‥。


「なっ‥‥!龍大樹が凹んだだと!?なんという威力‥‥」


「初めて全てを無に帰す一撃(オールロスト)の軌道をずらした人‥‥龍を見ましたよ。それにあんなに早く魔法を使ったのに魔力の練りが凄かったです」


「何百‥‥いや何千年も生きているからな。魔法の扱いには自信がある。それに我の身体に傷をつけるとは恐ろしいな‥‥息子が倒されたのも納得だ。感謝する、リンク・ノイズ」


 王の身体には、そこそこ深い傷が付いていた。

 恐らく、わざと当たったんだろうな。あの魔法の発動速度からして、身体能力も間違いなくトップレベルのはずだ。


「いえ、身体を傷つけてしまい申し訳ございません」


「気にするな、それより本題に入ろうか」


「本題ですか?」


 あれ?そもそも何でここに来たんだっけ?確かエンシェントドラゴンの話と全てを無に帰す一撃(オールロスト)について聞きたいって話だった気がするんだけど。


「うむ、アルカディア王国の初代国王が復活した」


「初代‥‥国王ですか‥‥?」


 しょ、初代国王?アルカディア王国って確か500年以上前に出来た国だよな?それに復活ってどういうことだ?

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