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47話

 夏季休校が、終わるまで残り1週間。リンクは龍の里に行こうとしていた。

 リンクは、人がいないマギア草原の奥にある森にいた。


「え〜っと、この輝石に魔力を流せば良いんだよな。ルンちゃんは、念の為に離れていてくれ」


 ルンちゃんが離れるのを確認してから、リンクは輝石に魔力を流した。

 輝石に魔力を流した瞬間、輝石が優しい光を放ち始めた。


「おぉ、この龍の顔に見える紋章が魔法陣の代わりか」


 輝石が輝いてから数分、上空から赤色の龍がやって来た。


「お待たせしました」


 喋れるのか!エンシェントドラゴンと違って、蛇みたいだな。足も4本あるわけじゃ無いし、強いて言うなら小さい手が2本あるくらいか。


「全然待ってないですよ。ここまで来るのに早かったですね」


「お気遣い、ありがとうございます。王の客を待たせるわけにはいかやかったもので」


 エンシェントドラゴンと全然違うな‥‥落ち着いてて大人の対応だ。


「それと、基本的に敬語入りません。王にだけ、気をつけてくれれば大丈夫です」


「そう‥‥ですか。すいません、緊張しているので、慣れたらいつも通りの口調で話します」


「わかりました。それでは私の背中にお乗りください」


 そう言い、目の前の龍は背中の鱗を一枚だけ捲らせ、背もたれの様にしてくれた。そんな事もできるのか‥‥意外と便利なんだな。


「ルンちゃん、おいで」


 ルンちゃんは、俺の服の中に入った。


「ほう、モンスターと交友的な関係なんですね。珍しい‥‥」


「ルンちゃんは、賢いし人懐っこいんですよ」


 ルンちゃんは嬉しそうにプルプルしている。


「正直羨ましいですね。私達も人間や亜人と仲良くなりたいのですが、まだ蟠りがあって‥‥」


 ドラゴン族にも色々あるんだな。まあ、人間も基本的には他の種族とは仲良くしたがらないけどな。


「その内仲良く慣れますよ。それでは、失礼します」


 俺は、龍の背中に跨った。

 おぉ、意外に乗り心地が良いな!鱗も思っていたより硬くない。


「乗り心地は大丈夫ですか?」


「はい、むしろずっと座っていたいくらいです」


「それは嬉しいですね。一応、速度は落として行きますが、落ちない様注意してください」


「わかりました。ルンちゃんも、飛べるけど気をつけるんだぞ?」


 ルンちゃんは輪の形になり、了解の意を伝える。うん、やっぱり賢い。


「それでは行きますっ!エアコントロール」


 ビュン!と、龍は勢いよく天高く飛んだ。

 おお!速度を落としても、このスピードか。結構速いけど、エアコントロールで俺の周りの風を捌いてくれている。

 かなり気が利く人だな。いや、人じゃなくて龍か。


 道中、モンスターに襲われるハプニングが有ったが、赤龍が撃退してくれた。

 やっぱドラゴンって強いんだな、強そうなモンスターも一瞬で殲滅させてたぞ‥‥。

 しかも、余裕があるのか何体かは魔法を使わないでそのまま食べてたし‥‥あの光景は地獄だったな。できれば二度と見たくない。


「リンクさん、あそこに見える大きい木の根本が私達の里、龍の里です」


 前方には雲にまで届きそうなくらいの、大樹があった。


「ここまで遠くに来たことが無いから、わかんなかったけどこんなに大きい木があったのか」


 リンクは赤龍と喋っている内に、緊張がなくなり普通の口調で喋れるくらい仲が良くなっていた。


 それにしても意外だ。これは偏見だが、ドラゴンといえば火山とか、洞穴とか、環境が厳しい所に住んでいるイメージがあったからな。


「大きい木だな。それに、周りが木に囲まれていて落ち着けそうな良い所だ」


「ありがとうございます。あの木、龍大樹(りゅうだいじゅ)と呼ばれているのですが、龍大樹は水分じゃなくて魔力を吸って成長します。そのため、龍大樹の葉を食べると保有魔力量が上がったり、身体の細胞が活性化して魔力の通りも良くなります」


 へえ、水じゃなくて魔力を吸ってるのか。不思議な木だな。

 それに、葉を食べるだけでそんなに強くなれるのか。他の人に知らせないようにしないとな。


「その葉って誰でも食べれるのか?」


「ええ、但し魔力が暴走する恐れがあるので、一枚しか食べてはいけないルールがあります。人ならば葉の半分だけ食べれば十分でしょう。ルンさんと分けて食べてはどうでしょうか」


「ありがとう!楽しみだな、ルンちゃん」


 ルンちゃんも楽しみなのか、服の中でブルンブルン暴れている。暴れてても可愛い奴だな〜このこのっ!


「それでは降りますね。しっかり鱗に掴まってください!」


「へ?う、うぉぉぉぉ!!!」


 まさかの垂直落下!?怖い怖い怖い!臓器が浮いている感じがして気持ち悪いし、スピードが速すぎる!


「どうですか!?楽しいでしょう!?」 


「いやぁぁぁぁぁ!!」


 何を考えているのかわからないが、急にテンションが上がり、宙で螺旋を描くように降下しやがった!

 落ち着いた龍だと思ってたのにぃぃぃ!!視界がグルグルして気持ち悪い‥‥。


「楽しそうですね!これはどうですか?」


 赤龍はグイッと背をそらし、そのまま円のように一回転する。

 うぉぉぉ!そんなパフォーマンスは求めてねえ!!覚えとけよぉぉぉ!!!



 無事?に龍の里に着いた俺は、少し酔ってしまったので、木陰で休んでいた。


「ハァ、ハァ‥‥ウェェ‥気持ち悪い」


「す、すいません。人間を乗せるのが初めてだったものでハシャいでしまいました‥‥」


 ぐっ、悪気がないのがわかっているから、責めるに責めれねえ。さて、十分休めたからそろそろ行くか。


「帰る時は気をつけてくれ。もう休んだから行こうか」


「は、はい!改めて、ここが私達の里、龍の里です。王の下まで、案内をするのでついてきてください」


 今から、ドラゴン族の王様に会うのか。

 緊張するけど、楽しみだな〜。それに、色々なドラゴン族を見てみたい。


 リンクは、赤龍について行き、龍大樹の下へ向かった。

 龍大樹に行く途中では、小型の緑の竜や大きい黒色の竜など様々なドラゴン族がいた。リンクが通ると、竜達の視線が集まる。


「思ってたよりも、ドラゴン族は種類が多いんだな。あとめっちゃ見られるんだけど」


「意外ですか?他の大陸にいる、獣人のような感じですよ。見られるのは人間が来るのは初めてだから、珍しいんだと思います」


「そういうもんか。あとさ、呼ぶときに不便だから失礼だけど、あだ名をつけて良いか?」


 リンクがそう言うと、赤龍は驚きと喜びが混ざったような表情で勢いよく振り向いた。


「良いんですか!?むしろこっちからお願いしたいです!」


「そ、そんなに嬉しいのか?」


「はい!ドラゴン族には名前をつける習慣がないですからね。それにあだ名で呼んでもらえるなんて友達みたいじゃないですか!」


 名前をつける習慣とかないのか‥呼ぶときに困らないのか?関わりがないからわからんな。


「そういう事なら。う〜ん、どうしようかな」


 赤龍はワクワクした様子でリンクを見ている。


「ドラゴン族には性別とかあるのか?」


「種類によりますね。性別が無い場合は自分で卵を産みます。性別がある場合は交尾してますね。ちなみに私は雌です」


「へぇ〜人間と全然違うな」


 どうしよっかなー、赤いから赤ちゃんとか?‥‥流石に可哀想だな。赤、レッド、紅‥‥ベニちゃん!決まりだ!


「決めた!赤色だけど、紅色から取ってベニちゃんな!」


「ベニちゃん!ありがとうございます!」


 めちゃくちゃ簡単に決めちゃったけど、喜んでもらえて良かった良かった。


「ベニちゃん、引き続き案内よろしく

 ぅ!」


「わかりました!」


 歩く事数十分、リンク達はやっと龍大樹の下へ着いた。


「着きました。少し右に回ると中に入れます」


 い、意外に遠かったな。大きすぎるせいで近くにあるって思っちまった。

 上を見ても葉っぱだらけで何も見えないな。それにしても、木の中に入れるのか‥‥不思議だな〜。


 リンク達は右に回ると、高さが数十メートル程の大きな穴が空いていた。


「これが入り口か〜大きいな」


 中を見ると、上も横も下も太い枝でびっしり詰まっていた。上の方には、感覚を空けて魔道具が飾られてある。魔道具から優しい光が発せられ、割と明るい空間となっている。


「ドラゴン族が入りやすいようにしましたからね、こんなものですよ。さて、入りましょうか」


「ああ」


 リンクの片足が入り口に入った瞬間。重力が増し、足が動かなくなる。


「ぬぁっ!?片足を入れたら重くなったんだけど!」


「あ〜多分、王の仕業ですね。客人に対してなんて事を‥‥お許しください。王はリンクさんを試しています」


 一体何を試すって言うんだよ‥‥動の魔力で打ち消すか。

 リンクは魔力展開の要領で、動の魔力を体の表面に纏う。

 すると、足にかかっていた重力が消えていつも通り動かせるようになった。


「さっきの重力魔法のせいで逆に違和感があるな‥‥」


 今度こそ入り口に入り、軽く体を動かしているとベニちゃんは驚いた表情でこちらを見ていた。


「な、何で平然と動いているんですか?」


「魔法を打ち消したから。所で王様って一番上にいるのか?」


「無茶苦茶ですね‥‥はい、リンクさんが言う通り王は龍大樹の一番上にいます」


「そうか‥‥」


 俺の事を無茶苦茶って言ったけど、龍大樹の一番上からピンポイントで、俺に魔法をかけてくる方が無茶苦茶だと思うんだか。

 魔法陣が無かったから詠唱魔法か、上の層から魔法陣を俺に重なるよう移動させたかのどちらかだな。ははっ‥‥どっちにせよヤバいことには変わりないな。


 リンク達は龍大樹の頂上を目指し、歩み始めた。

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